- Amazon.co.jp ・電子書籍 (179ページ)
感想・レビュー・書評
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言葉の意味を理解しながらも、別の視点から捉え直してみる。そうした考え方がきっかけとなって、この本を手にとった。
人と人とは絶対に分かち合えない部分がある。そのことを理解していないと、「裏切られた」と思ってしまう。
自分の似た考え方の人との関わり合いを深める一方で、どうしても価値観の違う人を遠ざけているのではないだろうか。
この本では、カウンセラーとしてでなく、普段、人とコミュニケーションを取る上で、大切なことが多く書かれている。
読んでいて首肯する場面は多くあったが、果たして実際にそれが自分ができているかどうか。そういうことを考えながら読んでいく。
この本の中で、シンプルな表現でかつ、大切だな、と思ったのは、
『共感の最初のレッスンは「考えるな、感じろ」です。』
と述べられている箇所だ。
感じることは簡単。でも考えることを素通りして「感じる」ことは思っているより難しい。
そしてそれは、共感することを育んでいくほど、より難しくなると私は思う。なぜなら相手が何が言いたいのかを「考えて」しまうからだ。
共感に関して、多くの章立てをすることで、わかりやすく、ポイントをしっかり押さえた構成となっている。
そのため、すぐに読み直しができるところもよい。
手元に置いておきたい本が1冊増えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「共感は、響き合う波紋のごとし」
京大教授で学生支援センター長も務める著者が「共感」をテーマに書き下ろした本。臨床心理士さんのおすすめで手に取る機会を得ました。
─私の共感の捉え方は(中略)オーソドックスな心理学における共感の捉え方とはかなり違っている
著者自身があとがきでそう述べている、という所がまず興味を引きました。共感概念自体が曖昧なのに、そこからさらに離れて我が道をゆく。これは楽しみでしかない。と思って読み進めました。
─「共感が働く」とき、それはすぐさま(中略)共感している人がまったく意図していなくても表現されます
この一文が非常に印象的でした。まるで共感が垂れ流れる?という予想外の発想。ですが冷静に、そして論理的に説明され、共感ってただのON/OFFじゃないんだなと納得させられます。
作品の前半部はこうした共感とは、という作者なりの捉え方が展開されていき、新しい理解が深められていきます。
─ピカソは晩年になって「ようやく子どものような絵が描けるようになった」と言ったそうですね
(それほど、簡単でシンプルな物事ほど難しいことの例として)
後半部では、カウンセリングに用いる際の共感テクニックが臨床例を交えて解説されています。どれもうんうん、そうそうと頷けるような話なのですが、それはピカソの話を引用するほど、著者が渾身の言葉でやさしく書いてくれているからだと思います。
─共感は「純粋なもの」というイメージに過剰なまでに彩られています(=純真無垢なものじゃないよ)
最後の方のこの一文にまたもひっくり返りました。共感できる人って何だかピュアでイイ人で誰からも好かれる!なんて幻想だったんだ。共感は、あざとく模倣し、時にはフリをしてでも、進歩させていくもの。それを盆栽だとたとえて表現されているのが、本書が専門書ならず広く一般書としても触れられて欲しいという願いからなのではないかと感じました。
目次の章立が多くてぱっと見ヤバそうですが、3時間ほどで読めました。各章短いのでKindleなんかオススメです。
ぜひ広く多くの方に読んで頂けると良いなと思ってオススメします☆ -
大変勉強になった。
「傾聴」というと、「透明性」と書いてあったりして、あまりカウンセラーの色を出さないのがいいのだと、それが「共感」なのだと思っていた。
また、なるべくクライエントの口から出てきた言葉をそのままつなぎ合わせ、鏡のように、忠実に「反射」するのがいいと思っていた。
ところが、そうでもないことが、本書を読んでみてわかった。関わりの中で、全存在を賭け、カウンセラーがいっぺん自分を投げ出してみることが必要なようだ。
自分はカウンセラーとして、リスクを負いたくなかっただけかもしれない。それで「オウム返し」に近い共感を、しようとしていた。
共感とは、思ったよりクリエイティブなアクションであった。「気持ちの共感」を学ぶ上で、本書は絶好である。 -
とても読みやすい本です
プロの臨床心理士で悩んでいる人に向けてのアドバイスです -
さらりと読めた。
・自分のことを話すことも共感のひとつ
・驚いた時は素直に驚く反応を
・共感があれば平和になる
このあたりが心に残ってます。 -
共感はプロセスであり、判断せずに反応を保留して、ありのままに感じること。
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Kindle Unlimited。ワークショップのファシリテーターをする事があるので、スキルアップの為に読んでみた。読むまでは、同意できないときに共感できないと感じていたが、同意と共感は違うということがよくわかった。一読しただけでは身につかないので、購入して何度も読み返したいと思う。
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プロ心理カウンセラーによる「共感」という言葉をキーワードにしたカウンセリングというか、相談対応の入門書。会社や家庭など対人関係をより円滑にするために、相手の感情を理解したうえでの言動をとるために手に取った。言葉を額面通り受け取っては、大やけどするという言葉と心は全く一致していないことをつくづくと痛感した。
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人の言うことを受け入れられず、自分の考え方から抜け出せないと強く感じていた時に出会った一冊。
後半はどちらかというとカウンセリングの技術に寄った内容なので、日常的に身近な人に役立ちそうな前半が、私みたいな普通の人にはオススメです。