美女と野獣 [DVD]

監督 : クリストフ・ガンズ 
出演 : ヴァンサン・カッセル  レア・セドゥ  アンドレ・デュソリエ  イボンヌ・カッターフェルト  エドゥアルド・ノリエガ 
  • アミューズソフトエンタテインメント
2.87
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4527427658981

感想・レビュー・書評

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  • LA BELLE ET LA BETE
    2014年 フランス+ドイツ 113分
    監督:クリストフ・ガンズ
    原作:ヴィルヌーヴ夫人『美女と野獣』
    出演:ヴァンサン・カッセル/レア・セドゥ/アンドレ・デュソリエ/エドゥアルド・ノリエガ

    コクトー版を見直して、原作も読んだので、以前テレビで一度見たけどこちらのフランス版も再度観賞。おおまかなあらすじは共通なので、この映画ならではの特徴を中心に。ネタバレあるのでご注意。ちなみにこちらの原作は一般に普及しているボーモン夫人版よりも古いヴィルヌーヴ夫人版らしく、これは未読なので原作との比較はできないのだけど、フランス映画なのでコクトー版リスペクト、かつ監督が日本のアニメやゲーム、特撮が大好きというのが本作観賞ポイントかも。

    まず冒頭、幼い二人の子供に、母親(おそらくベル自身と予想はつく)が「美女と野獣」の絵本を読み聞かせている形で物語はスタート。他の映画では端折られがちな、商人の父が裕福だった頃から、船が嵐で沈んで貧乏になり、田舎に引っ越し、までの描写がわりと具体的。お父さんが野獣の薔薇を手折ったのち、野獣はとくに「娘を寄こせ」とは言わず、別れを告げる時間はやるから1日で戻ってこいと条件を出すも、ベルが進んで身代わりになりやってくる。基本的に本作は猶予時間がいつも1日で短い。のちのベルの帰省も1日。

    原作=古い民話の形に忠実な、三人兄弟&三人姉妹、ベルは末っ娘。そして兄姉全員にちゃんと固有の名前あり。他の映画や原作ではだいたい、意地悪な姉二人は目立つけれど兄たちの存在は希薄、人数を減らされたり出番はほぼなかったりするけれど、本作では姉たちより兄たちにクローズアップ。姉二人は、意地悪というより単におバカな感じで、憎めないコミカルなキャラとして描かれてます。

    さて、コクトー版では一人に減らされていた兄、こちらでは三人健在ながら、三男トリスタン(ルーカ・メリアーヴァ)だけが優しい性格でイケメン、上の二人は荒くれ者、とくに長男マキシムが最低で、脛かじりのくせに父親にも横柄、賭場で借金を作り、ただでさえ一家は破産しているのに、さらなる借金を背負いこみ、野獣の元から一時帰宅したベルの宝石や馬を盗み、財宝目当てで荒くれ者どもと一緒に野獣の城に乗り込む展開。

    この長兄マキシムに借金を返せと迫るならず者ペルデュカス(エドゥアルド・ノリエガ)が、基本的にはコクトー版でジャン・マレーが二役演じた兄の友人アヴナンの役割なのだけど、なぜか占い師の恋人アストリッドとの関係などがクローズアップされて、二人は本筋と無関係なところで準主役的なエピソードをもらっている(ちょっと謎)

    さて、ベルに話を戻すと、演じるのはレア・セドゥなので、無駄にセクシー。今回子供に読み聞かせ設定なので露出こそしませんが、いつでもどんなときでも胸の谷間は惜しみなく披露。意地悪な姉に苛められたりはせず、むしろお前も手伝え!とばかりにこき使う強気キャラ、もちろん野獣に対してもめっちゃ強気で、罵倒したり駆け引きや取引を持ちかける。ドレスもディズニー版より大人のデザイン、野獣のお城の造形なども、少し頽廃的な廃墟感があり、美術面は好み的にはディズニー以上かも。

    魔法アイテムとしては、おなじみ鏡の代わりに、ベルの部屋にある泉がその役割を果たし、さらにその水はどんな病気も治す効果があるので、帰省時ベルの父の窮地を救ったり、ラストで野獣の命を救ったり。馬がお城に戻るときの呪文は「何よりも愛しい」。そして特筆すべきは、ディズニーですら出さなかった、謎の小動物タドゥルの存在。基本的には犬っぽいのだけど、耳が長く目が大きい不思議な生き物。ネタバレしてしまうと、もとは王子の猟犬たちだったのが、魔法でこんなものに変えられてしまってたわけですが、人懐こく、ベルを癒してくれるマスコットキャラ。

    そしてこの映画の最大の特徴は「野獣の過去」への言及。なぜ野獣が野獣になったか、の理由づけがきちんと設定されている点。そしてそれを、ベルが野獣と出会ってから毎晩、夢に見る形で明かされていきます。王子だった頃の野獣(ヴァンサン・カッセル)は狩りが趣味で「黄金の雌鹿」を狙っているけれどいつも失敗。美しい妻がおり、彼女は王子の狩りをやめさせたくて仕方ない。しかし王子は妻との約束を破り黄金の雌鹿を追いつめ射殺す。鹿はみるみる妻の姿に。彼女は森の精であり、彼女の死を怒った父=森の神の呪いで、王子は野獣に、猟犬たちはタドゥルに、王子の従者たちは彫刻に変えられてしまった。

    ベルはこの一連の悲劇的物語を夜ごとの夢で知り、実家から野獣の元への帰路を急ぐ。上の兄二人はならず者ペルデュカスと一緒にベルの乗ってきた馬を使って野獣の城へ泥棒に行っており、ベルは優しい三男に連れられ城に戻る。ここで泥棒たちと野獣の元従者の巨大彫刻(まるで進撃の巨人)の戦いがあり、ならず者仲間は踏み潰され、ペルデュカスとアストリッドと兄たちだけが生き残っているが、駆け付けたベルをペルデュカスに人質に取られて、野獣は苦戦、ついに黄金の矢(彼がかつて妻を射殺した物)を刺され倒れてしまう。

    ベルの登場で途端に改心した兄たちはベルと野獣を守って魔法の泉へ。ベルの愛で野獣は人間の姿に戻り…。これはこの映画だけでなく実写化全部に当てはまることですが、ベルがどのタイミングで野獣を愛するようになったのかはこの映画でもやや消化不良。ただ、こちらはベルが夢で野獣がかつて人間の王子だったことを知ってしまっているので、そこはちょっとずるいかもですね。そして、野獣が人間の姿に戻ると同時に、ペルデュカスが蔦に絡まれていく描写があったのは、コクトー版での、アヴナンが入れ替わりに野獣になったのと照合しているのかも。

    ラストは、兄たちも改心し、冒頭で子供たちに読み聞かせていた母親がベルだったことが判明、二人は王子の国へ行きました、のような抽象的な終わり方ではなく、ベルが気に入っていた田舎暮らし、お父さんと同居で花屋を営んでいるというとても現実的な生活感あふれる終幕。兄たちはこの物語を絵本にして出版し、印刷・出版業で成功、というオチもつく。

    さて最後になりましたが、この映画に不満を持つ人の大半は「王子が王子らしくない」点がきっとお怒りポイントになるんじゃないでしょうか。演じたヴァンサン・カッセルは1966年生まれなので撮影時すでにアラフィフ、年齢的にもキャリア的にも、日本で言うなら佐藤浩市くらいのポジションの俳優。私自身も、王子=ヴァンサン・カッセルというキャスティングについては初見時に「人間のときからずっと野獣やないか!」と突っ込んだものでした。王子というよりは王様の年齢、過去回想などみるにつけてもまあ「領主」というのが一番しっくりくる感じ。ベルの末の兄のほうがよほど万人がイメージする王子さまルックス。

    見慣れてしまえば、まあおフランスだし、ベルもセクシー系だし、大人むけ「美女と野獣」も悪くないわね、という感じ。ディズニー版が好きな人にはおすすめできないかも。個人的にはこっちのほうが好みでした。

    ちなみにディズニー版感想はこちら
    https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B073XKYW9L

  • ディズニーの美女と野獣を思い描いていた。それとは違っていることが
    逆にとても新鮮だった。
    いつの間に野獣を好きになったの?ということを中心に
    ふたりの間の感情がわかりやすく描かれていない。
    お城が襲われる件で登場した巨人に
    「巨人?」と一瞬戸惑いもあった。
    けれどそれ以上のものがあり、引き込まれた。
    ディズニーの美女と野獣がとても好きなので
    実写となるともっとがっかりする部分があると思っていましたが
    こちらはこちらで、とてもよかった。
    こんなに観てよかったと思うとは思っていなかった。

  • あれ?美女と野獣ってこんな風だったっけ?と思って観てたら、ディズニーではなくフランス版だった。
    シックでオトナな感じ。
    特に後半のCGは不自然&やり過ぎ感満載で、ディズニーやハリウッド映画には及ばずだけど、衣装は素敵。
    ストーリーには入り込めなかった。

  • ディズニーの実写版映画「美女と野獣」も最高でしたが、フランスのこちらの映画も映像が本当に美しく、ベルが野獣のどこに惹かれたのか、愛するに至った過程が?とか、巨人はなんだったのか?と色々突っ込みどころはありますが、こちらはこちらで楽しめました。

  • クリストフ・ガンズ監督、同•サンドラ・ヴォ=アン脚本、2014年仏独作。レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、アンドレ・デュソリエ、エドゥアルド・ノリエガ、イボンヌ・カッターフェルト出演。

    <コメント>
    •美女と野獣は何度か映画化されている。
    ①1946年フランス(ジャン・コクトー監督)
    ②1991年アメリカ(ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ監督)
    ③2009年オーストラリア(デヴィッド・リスター監督)
    ④本作
    ⑤2017年アメリカ
    このうち①②を観たが、①はオカルト的で美しくなくテーマもよくわからなかった。以下、②と比べてのコメント。
    •②と本作とは別物の映画として観た方がいい。
    ②はテーマが「愛」で明確。愛とは、求めることではなく、ありのままの相手を受け入れること。ベルを束縛していた野獣が、病気の祖父のために家に戻ることを許したとき、野獣はベルをきちんと「愛」し始めた。
    本作でも、1日だけ家に戻りたいと言うベルを野獣は受け入れるのだが、そこへの伏線が何もない。ベルが野獣にダンスで反発した直後なので、帰宅を許されることと繋がらないし、野獣の「戻って来なければ自分は死ぬ」とのセリフも宙に浮いている。
    ディズニーみたいにロマンチックな食事会や小鳥との戯れ、有名なダンスシーンまではいらないが、ベルとの関係性を近づけるワンクッションがないと話が繋がらず、脚本に素人レベルの落ち度があるように感じる。
    •ただ、グラフィックは綺麗だし、巨人が現れるとかプリンセスが金鹿の分身だとかのアイディアはよかった。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    商人である父(アンドレ・デュソリエ)、3人の兄、2人の姉(母はベル出産時に他界)と暮らすベル(レア・セドゥ)の生活は裕福だったが、所有する3艘の船が沈没し破産、田舎での貧困生活が始まる。沈没船が見つかり父は長男と港に行くが積み荷の宝は借金のかたに取られ、長男は行方をくらます。父は探しに出るが道に迷い、野獣の住む城に行き着く。たまたま用意されていた食事を貪り、たまたまあった姉たちが望んだドレスなどを手に帰路につく際、ベルに頼まれたバラを一輪摘む。突然野獣が襲い掛かり、バラの代償に命をもらう、但し家族に別れを告げる1日の猶予を与えられる。
    家で事情を話すと、ベルが父の身代わりに城に向かう。
    ベルは野獣に厚遇されるが所詮は囚われの身で、あれこれ命令され反発する。ベルは一度だけ自宅に帰ることを申し出、必ず戻ること、戻らなければ野獣が命を絶つ約束でそれを認められる。
    この間、ベルは何度かの夢で、これまでの野獣の経緯を知る。ベルは庭にプリンセス(イボンヌ・カッターフェルト)の墓を見つけていたが、彼女が野獣の子を身ごもったものの、野獣は金の子鹿を狩らない約束を破り鹿を射抜く。鹿の正体はプリンセスで、森の神に人の姿にしてもらっており、約束を破った罰として、野獣の姿にさせられ、バラで覆われた暗い城に閉じ込められたのだった。
    兄たちは戻ったベルの服から宝石を見つけ、借金取りのゴロツキ、ペルデュカス(エドゥアルド・ノリエガ)に献上、もっと宝を得るべく一行は古城に。
    城内で宝石を略奪する様子に野獣は怒り、衛兵の巨人を使って反撃。野獣がベルの兄を殺しかけた時、ベルが現れ止めに入る…無駄な反転が多いので中略…野獣はペルデュカスに金の矢で刺され、古城や巨人は崩壊、野獣も死にそうになるも、ベルらが古城の泉に投げ込む。崩壊時にペルデュカスはバラのツタに巻き込まれて死ぬ。野獣は一旦死ぬが、ベルの愛の涙で復活、人に戻る。
    場面は、ベルが、子らを寝かしつける読み聞かせに以上の話をした設定に変わり、農作業をする元野獣と抱き合って幕。

  • ☆3.7

    原作に忠実という点や製作時期など、やはりディズニー版と比較してしまうとドラマチックさに欠けると感じてしまうのは否めないかなと思います。

    しかしこちらはこちらで、野獣の過去の愛や人間としての欲望や愚かさなど、美女と野獣という御伽噺を語る上で必要な要素が描かれているように感じました。

    ただ、ベルが野獣に恋に落ちる過程に関して言えば、いまいち決め手に欠けるというか少し物足りないかなぁ、なんて。
    もちろん、恋落ちる瞬間なんてすべからく劇的な物ばかりという訳ではないのだけれど。

    ラストシーンはよかったな。映像美と愛しさに溢れたあたたかいラストでした。

  • セットや美術はとても綺麗だったのに、話がびっくりするぐらい面白くなかったね…アニメーションとは切り離して観た方がいいやつでした。メルヘンが足りない

  • 王子が魅力的じゃないんだよなぁ…
    ただ女を乗り換えたようにしかみえないから、何故ベルが惹かれたかというのも同情のようにしか思えない。
    あと外見も野獣というよりスッキリしたスーツアクター…?
    印象に残ったのはレア・セドゥの胸やわらかそうだなぁということぐらいか。

  • 小学生の子供に見せても良いものか、検閲?目的で見てみました。
    ディズニーの美女と野獣とは、ストーリーが違っています。
    とは言いつつ、見る価値のある1本でした。

    でも小学生にはどうだろ・・・って感じです。

  • レア・セドゥ主演の新たな「美女と野獣」。以前ジャン・コクトー監督の作品も観たが、それぞれその時代の最新映像技術や価値観を反映した仕上がりになっていて面白い。
    舞台のセットが美しい。ベルのドレスの色・お城や周辺の野山の色など明るさと色調のコントラストを巧みに操っている。また、野獣やお城の犬たちを始めとした最新のCG技術を用いた演出も素晴らしい。一方で、音楽はまさに「古典的」でドラマチックなテイストのBGMを使用しており、新旧交々の雰囲気を感じる。
    細かなストーリーはかなり違う。レア・セドゥ演じるベルは現代女性らしい強さと傲慢さを含んでいる。また、ベルが6人兄弟の末っ子で、ならず者の兄や我儘な姉がいるという家族構成や、野獣が元々は黄金の女鹿の精霊を射た王子で、娘を殺された精霊の王が王子に野獣になる呪いをかけたという設定はこの作品独自のものだ。
    ラストはもちろん王子の呪いが解けるわけだが、ベルと共にお城で暮らすわけではなく、ベルとともにバラ園の農主となって「普通に」幸せな暮らしをするというエンディング。基本的にベルが子供へ読み聞かせるというストーリー展開だということは読めていたにも関わらず、唐突に現実に引き戻されたような気持ちになるのはちょっと残念だった。
    何はともあれ、Disneyしか見たことがない方はぜひ一度ご鑑賞あれ。

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