ダイヤモンドHarvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2015年 04 月号 [雑誌]

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  • / ISBN・EAN: 4910059690458

感想・レビュー・書評

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  • いま話題のIoTについての論文が掲載されています。
    IoT関連では4つの論文が掲載されています。

    それぞれの論文の趣旨をメモがわりに、ご紹介します。
    ---
    ■IoTという新たな産業革命-村井純
    慶応大学の村井さんの論文です。村井さんといえばWIDEプロジェクト。ネットワークやさんでは村井さんを知らない人はいないでしょう。
    IoTを実現するためには2つの課題があるとのこと
    ひとつはプライバシー
    もうひとつは発生したデータの持ち主
    これらの課題は今でも議論されているものだし、データの持ち主という点では、4番目の論文でも議論されています。

    また、IoTでサービスの概念が変わり、さらには物つくりも変わっていくことを語っています。
    とりわけデジタルファブリケーションが実現し、3Dプリンタが普及していくことを予想しています。
    そのような世界の中では、QIPが重要になってくるとのこと
     Qは品質管理(quality control)
     Iは知的財産権(intellectual property)
     Pは製造物責任(product liability)
    技術がプラットフォーム化されていくためには、実用化と標準化が必要ということで、まだまだ多くの課題を乗り越えていく必要があるとのことです。

    ■IoT時代の競争戦略-マイケルEポーター、ジェームズE.ヘプルマン
    接続機能を持つスマート製品により、業界構造と競争のあり方が変化し、企業は新たな脅威と機会にさらされるといっています。
    それは、「モノ」の本質が変化してきているから。
    接続機能を持つスマート製品の機能や性能が増大し、それが生み出すデータ競争がこれからの競争となっていきます。

    接続機能をもつスマート製品に対応するためには、企業は「テクノロジースタック」と呼ばれる新しい技術インフラが必要だそうですが、製造業にはまず備わっていないとのこと。
    また、接続機能を持つスマート製品のケイパビリティは
    モニタリング→制御→最適化→自律性
    の4つに分けられ、各機能は前の段階の機能の上に成り立っていきます。
    こうした接続機能を持つスマート製品は業界の競争に影響を与えます。具体的には5フォースに影響を及ぼし、結果、業界構造に変化が及ぶといっています。
    そしてその影響の変化をもっとも強く受けるのが製造業だそうです..

    さらに、接続機能を持つスマート製品の機能や性能の向上により、業界内の競争状況が変化し、さらに事業領域が拡大してきます。
    製品

    スマート製品

    接続機能を持つスマート製品

    製品システム

    複合システム
    となって、競争の基本が個々の製品から関連性の強い製品システム、複合システムに移行することになります。
    本論では、ディアアンドカンパニーやAGCOの例をあげ、AGCOでは農業機械売りから灌漑システム、天候、穀物価格、先物取引までも、つなぐ取り組みを始めているそうです。

    こうした環境下で競争優位を実現するためには、10の新しい戦略の選択肢に迫られるます。
    1.接続機能を持つスマート製品の機能や特性のうち、どれを追及するか
    2.製品とクラウドにそれぞれどらくらいの機能性を持たせるべきか
    3.OpenシステムかCloseシステムか
    4.すべて内製か外注か
    5.製品、サービス価値を最大化するためにどういったデータを取って分析するか
    6.製品データの使用権とアクセス権の管理
    7.流通チャネルやサービスを中抜きにするか
    8.ビジネスモデルを手直すか
    9.製品データを第三者に販売するタイプの新規事業にのりだすか
    10.事業の範囲を拡大するか
    これらの選択肢について判断し、整合性をもたせて相乗効果を発揮するように配慮する必要があるとのこと。

    接続機能を持つスマート製品で業界構造が変わる。そこで勝ち残るためには、上記をどう判断し、組み合わせて独自の戦略を築くかがポイントということですが、こりゃ難しい(笑)

    ■GEが目指すインダストリアルインターネット-マルコイアンシティ、カリムR.ラカニー
    GEの提唱するインダストリアルインターネットとはオープンでグローバルなネットワークによって、機器、データ、人を結びつけ、大量のビジネスチャンスと成果ベースのビジネスモデルを創出することです。

    そのために、ソフトウエア開発力を強化し、GE全体で機能するソフトウエアプラットフォームとしてPredix、ソリューションとしてPredictivityを構築してきました。
    これにより、アプリケーションの新規開発の効率を高め、保守効率を改善し、クラウドへの接続が可能となるそうです。

    GEのサービスモデル進化として、箱売りから顧客の業績を向上させるソリューション売りへ、従来の故障したら修理する契約から成果を保障する契約へ
    と顧客価値を高めるように変えてきています。
    そのためにクライアントとの顧客エンゲージメントが重要となります。
    さらに、サプライヤーや販売業者、開発業者などでエコシステムを構築するために、さまざまな形でのパートナシップを試行しています。
    さらに驚きなのが、競合相手との連携もやっているとのこと。

    さすがGE。やっぱりすごい!
    全事業で利用可能なソフトのプラットフォームを作っちゃうのもすごいですが、販売側のチャネルの改革もすごい!
    そしてソリューションとして、成果ベースの契約に切り替えるところがすごい。
    まさに「もの」から「こと」へを実践している会社です!

    ■データは誰のものか-アレックス・サンディ・ペントランド
    「データの企業への帰属は確立していない」という立場からデータのニューディールを提唱しています。
    これは、データを収集される側の個人に有利なようにデータ所有権を見直す政策のことです。
    具体的にはどのようなデータが収集されるかを可視化して本人の意思により収集を認めるかを決めるようにすべきといっています。

    これは、そのとおりですが、しばらく世の中の動きを見るしかないかなっと..

    ---
    ということで、これから考えていかなければならないのはやはりIoT時代の競争戦略ということになるのかなと思います。
    すでにGEのインダストリアルインターネットがひとつの答えとなっていると思いますが、今後、どんどん業界構造が変わり、ビジネスモデルが変わり、そもそも、会社の事業内容も変わっていくかもしれません。

    まさにIoTの衝撃!
    今後どうなっていくんでしょう。

  • ビジョンが面白い。分かりやすくなくてよいん

  • ポーターの論文「IoT 時代の競争戦略」が読みどころ

  • ■書名

    書名:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2015年4/01号 [雑誌]

    ■概要

    │特集│
    IoTの衝撃

    デジタル・ファブリケーション時代が到来する
    IoTという新たな産業革命
    村井 純 慶應義塾大学 環境情報学部長・教授

    「接続機能を持つスマート製品」が変える
    IoT時代の競争戦略
    マイケル E. ポーター ハーバード・ビジネス・スクール ユニバーシティ・プロフェッサー
    ジェームズ E. ヘプルマン PTC 社長兼CEO

    製品価値からサービス価値への転換
    GEが目指すインダストリアル・インターネット
    マルコ・イアンシティ ハーバード・ビジネス・スクール 教授
    カリム R. ラカニー ハーバード・ビジネス・スクール 准教授

    コンピュータ・サイエンスの第一人者に聞く
    【インタビュー】データは誰のものか
    アレックス・サンディ・ペントランド MITメディアラボ 教授

    │HBR翻訳論文│

    【経済システム】
    「タレント・エコノミー」の光と影
    CEOの巨額の報酬に正当性はあるか
    ロジャー L. マーティン 元 トロント大学 ロットマン・スクール・オブ・マネジメント 学長

    【戦略】
    依存する関係から、交渉できる関係へ
    強大なプラットフォームに抗う4つの戦略
    ベンジャミン・エデルマン ハーバード・ビジネス・スクール 准教授

    【ダイバーシティ】
    食い違う男女の認識
    なぜ女性は経営会議で堂々と発言できないのか
    キャスリン・ヒース フリン・ヒース・ホルト パートナー
    ジル・フリン フリン・ヒース・ホルト パートナー
    メアリー・デイビス・ホルト フリン・ヒース・ホルト パートナー

    28
    デジタル・ファブリケーション時代が到来する
    IoTという新たな産業革命
    村井 純 慶應義塾大学 環境情報学部長・教授

    38
    「接続機能を持つスマート製品」が変える
    IoT時代の競争戦略
    マイケル E. ポーター ハーバード・ビジネス・スクール ユニバーシティ・プロフェッサー
    ジェームズ E. ヘプルマン PTC 社長兼CEO

    72
    製品価値からサービス価値への転換
    GEが目指すインダストリアル・インターネット
    マルコ・イアンシティ ハーバード・ビジネス・スクール 教授
    カリム R. ラカニー ハーバード・ビジネス・スクール 准教授

    90
    コンピュータ・サイエンスの第一人者に聞く
    【インタビュー】データは誰のものか
    アレックス・サンディ・ペントランド MITメディアラボ 教授
    (From amazon)

    ■感想

    特集の一つが何を言いたいのかさっぱり分からず、ほぼ全部飛ばして
    しまいました。

    最近、この本を読むときに1ページ読んで何言っているか分からない
    時は読まないようにしています。
    恐らく私の知識不足なのですが、そのまま読んでも結局最後まで何
    を言いたいのか分からない事がほとんどなので。

    で、今回はIoTの特集でしたが、そこまで有益なのは自分にはなかった
    です。
    IoTが可能性があるのが分かりますし、リスクがあるのも分かります。
    でも、言っている事がそれだけなのですよね、結局。

    リスクの方については、ニューデリー政策など面白いインタビュー
    があり勉強になりましたが、可能性の方は「う~ん」という感じです。
    可能性があるのは分かるし、その詳細を説明されているのですが、
    今一つイメージできないんですよね。その内容が。
    具体的に説明されているのですが、本当にそうかな?と思うような
    ものばかりだった気がします。

    でもIoTとビッグデータが今後どうなっていくかは、どのタイミング
    でどういう問題が起きて、それにどう対処するかで変わっていくで
    しょうね。非常に楽しみではあります。

    ■気になった点

    ・問題はデータを誰の管理下に置くかです。
     適任なのは当人と考えています。

    ・発言を力強いものにする。

     ~~ではどうでしょうか?
      ⇒私は、~~を強く提案します。

     どちらかといえば賛成です。
      ⇒全くその通りです。なぜならば~~

     多分~~ではないかと思います。
      ⇒私が強くお勧めしたいのは~~です。

     賛成です。
      ⇒全く同意見です。その理由は~~

     ~~できるかもしれません
      ⇒私のプランを説明します。

     では、くすればどうでしょうか?
      ⇒~~を提言します。

  • 【IoT時代の競争戦略】
    IoTによるビジネスモデルの変化について書かれている。
    色々なことが書かれていたけど、特に気になったのは、IoTに関連するサービス提供においてはシステム構築等の初期費用が高くなるから顧客に継続して利用してもらってコストを回収することが重要になり、IoT技術を使えば顧客毎の情報を集めてきめ細かい対応がしやすい、と言うこと。
    業務用プリンタは消耗品交換や保守で稼ぐと聞くが、これに近くなるのかな。
    初期費用が大きくなることから、「買って所有する」と言う形式が少なくなってシェア形式が流行るということに繋がるように思う。
    携帯電話のキャリアみたいに、継続して利用することを条件に値引きし、月額利用料で回収するのもその形かな、個人的には好きではないが。
    ちょっと違うかも知れないけど、個人向けの銀行業務も近いんじゃないかと思う。
    最近窓口に行くことが多いけど、丁寧な対応をしてくれる割には窓口対応では費用は発生しない、と言うのもお金を預けること自体が銀行にとっては利益なんだよね。
    製造業においても、「利用してもらえること自体が利益」みたいなモデルを考えられればより発展するだろうし、今それを考えるいい機会な気もする。

    【強大なプラットフォームに抗う4つの戦略】
    サービスを提供する個別の店と、それらをまとめて利用者に情報提供するポータルサイトについて、ポータルサイトが取る中間マージンが多すぎるという問題について。
    普通に考えれば、個別の店は広報のためにポータルサイトに掲載する(そのための費用を払う)方がいいが、ポータルサイトも情報の網羅性を担保するためには全ての店を掲載したいという弱みがあり、それをうまく活かした方がよいと言う話。
    ITと言うより、マーケティングに関するせめぎ合いといった印象。
    利用者視点で「こーゆーまとめサイトがほしいな」と思うことはあっても、ここまで考えたことはなかった、新鮮だった。

    【なぜ女性は経営会議で堂々と発言できないのか】
    女性管理職も増えてその力も認められる一方、会議では十分活躍できていないという。
    女性が増えつつある状況として、
    ・まだ女性出席者が少ないから肩身が狭い。
    ・男性が積極的にフィードバックしない。
    という原因もあるが、単純な性差として、
    ・感情的になりやすい。
    ・会議前後にぐだぐだしない→男性がそのときに行っているある種の根回しをしない。
    ・会議後に気まずさを残してしまう→気を遣ってしまう。
    があるとのこと。
    ぱっと見、男女が逆転しているような印象を受けるし、俺が女性よりな感じさえ受ける。
    これからはこういった人も活用する形が必要、と言う話。

    【世界標準の経営理論】
    プリンシパル・エージェント理論から考える、企業内のモラル・ハザードについて。
    主体(上司など)と代理人(部下など)がいたとき、利害の不一致や情報の不平等があると、ゲーム理論的な展開から互いに意図・行動が食い違ってお互い不幸になる、一方から見れば他方がまるでモラル違反を犯しているように見えるモラル・ハザードが起きることを記している。
    利害の不一致からこーゆーことは起こって当然と思っていたが、理論として研究されていること、また情報の不平等も原因としてあることは初めて知った。
    記事の中では、創業者一族により経営されている企業、特に婿養子を活用している企業は、理論的にも理想的で、実際良い実績を残しているとのこと、非常に納得できた。
    また情報の不平等については、運送業におけるドライブレコーダなど、技術の導入により解決している例も記されている、IoTやウェアラブルなどの情報技術も同様に活用できるのではないかと期待できる。

    【なぜ最高人事責任者は偉大なCEOになるのか】
    最高人事責任者が最高経営責任者には、特性や求められることが似た傾向があり、CEO候補者としてCHROも考慮するべき、あるいはキャリアとして有効であるとのこと。
    誌上での頁は前後するけど、「世界標準の経営理論」を見てもこれはスゴい妥当だと思う、どちらの役職もプリンシパル・エージェント理論による問題の解決が求められるから。

    本書の目次等の詳細は以下を参照。
    http://www.dhbr.net/ud/backnumber/54f69910abee7b70cf000001

  • 特集は「IoTの衝撃」。マイケル・ポーターの最新論文ということで興味深く読みました。

    「モノ」が接続機能を持つことによって存在意義が変わろうとしている。より大きなシステムとの連携が可能になり、競争の構図、バリューチェーンが変化する。場合によっては、オープン・アーキテクチャーが求められ、ビジネス・モデルの変更を余儀なくされる。この変化にいち早く気づき、ビック・ピクチャを描いた者だけが、より大きな事業機会を得ることができる。

  • 先月(3月)は読んだ本が7冊だけとなってしまいました。
    長大な本を数冊読んだこと。なにかと忙しかったことが
    要因だと思いますが(本当は、FFレコードキーパーで遊んでしまったことかも)。
    HBRを毎月読み始めて2年くらいですが、初めて当月中に
    読み終わることができませんでした。
    でも今月号は『IOTの衝撃』というテーマで。本当に
    面白い、いい内容でした。
    日本のインターネットの創設者?の村井純氏や
    マイケルポーター教授がIotによって変わる世界や
    可能性、新たな競争戦略について論文を書かれている
    第3の変革(第3次IT革命)としてとらえているということは、
    本当にIOTは世の中を変えていく可能性があるのでは
    と思える内容でした。
    同時に読んでいた『パーソナルデータの衝撃』に書かれてある、パーソナルデータの行方。PDS・QS・VRMなど
    Iotに支えられていくものだと思いました。
    また、今回の世界標準の経営戦略論はエージェンシー論理。これもまた、情報の非対称性。利害の不一致。これらがプリンシパルとエージェントの間で起こってモラルハザードを起こすという論理というか現象だとおもうのですが、これの対処法としてのモニタリングの一つとしてIOTを位置付けていくと、情報の非対称性が解消されていく世界が広がるかもしれません。そうなると本当に変革・革命が始まるような気がします。

    先だって読了した『パーソナルデータの衝撃』の内容も、このIOTも冷静にこういうテーマ・論理・サービス・があるのかというようなうけとめではなく、わくわくするような世界が変わるようなもののように受け止めれる気がします。

  • IoTの衝撃は、いかほどのものか。

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著者プロフィール

1913年(大正2年)、「経済雑誌ダイヤモンド」の創刊とともに誕生し、2013年(平成25年)には創業100周年を迎えた。「ダイヤモンドのように小さくともキラリと光る」が創業の精神。現在、「週刊ダイヤモンド」「ダイヤモンド・オンライン」などの各種メディアでタイムリーなビジネス情報をダイバーシティ社会に提供するとともに、ビジネス書から生活実用書、経済小説まで、幅広い出版物とメディアを世に送り出している。本書は、同社経営情報編集局・出版編集部で制作。

「2022年 『相続&事業承継で頼りになるプロフェッショナル 2022年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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