[新訳]ローマ帝国衰亡史・上<普及版> [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 有名なローマを題材にした歴史書。これは「原著の中から各時代の代表的な章をそれぞれ選び、これを訳して一冊にまとめたもの」とのこと。これで「ギボンを読んだ」と言ったらマウントを取られそう。

    勝手にもっと堅苦しい本だと思っていたが、意外に読めた。少なくともタキトゥスの『同時代史』よりは読みやすい。『ローマ人の物語』の方がもっと読みやすいけれども。また、この本では章と章の間に解説文が追加されているのもいい。「普及版」と書いてあるだけのことはある。

    面白さの観点から言うと、対象とする時代のせいで損をしているように思える。タイトルの通り、これは衰亡史である。上巻の対象は五賢帝の時代からユリアヌスの直前まで。ローマが落ちぶれていくため、読んでいてテンションが上がらない。やはりローマはアウグストゥスまでが面白い。リブートしよう。

  • 本書は18世紀末に書かれたローマ帝国史の代表作でもあるローマ帝国衰亡史の普及版ということで、代表的な章を抜粋して新訳として出版された本です。上下巻2冊しかないということと、訳も読みやすいので一気に読めます。上巻では初代皇帝アウグストゥスの時代から、4世紀にキリスト教を国教にしたコンスタンティヌス帝およびキリスト教内部の抗争までが描かれています。
     「文字が存在する限り本書は読み続けられる」と言われただけあって、抜粋版でも十分にその魅力を堪能できます。驚くべきは18世紀末という時代に書かれたにもかかわらず、極めて中立的かつ包括的に記載されているということで、同時代の経済学者アダム・スミスと同様に、この時代のイギリス人の視野の広さ、国際感覚は驚嘆すべきものがあると感じました。
     1点残念な点を挙げるとすれば、これは抜粋版であるので仕方がないのですが、各章の間に訳者による解説が数ページにわたって記載されていて、章の間を埋めています。この解説は、抜け落ちた章の間を埋めるという意味できわめて親切という見方もできると同時に、せっかく「ギボン」ワールドに浸っていたのに、この解説のせいでしばしば現実に引き戻された感もあり、功罪あると言えます。本書の購入を検討されている方は、あくまでかなりの抜粋版であること、「ギボン」ワールドの端緒は楽しめるが全貌ではないということを前提にしたほうがよいと思います。

  • ローマ帝国の歴史が細かく書かれています。
    上巻では初代皇帝アウグストゥスからコンスタンティヌス帝およびその子の時代までが書かれています。

    ローマ帝国を知るのに最適な1冊です。

  • 小さな人類は次第に大きくなっていく。

    そして、大きくなることとまた小さくなることを繰り返してきた。それは集合と分散と言い換ることができるし、結合と分割だとしても良いかもしれない。

    兎に角、巨大で絶対的なものとして印象付けられているローマ帝国。

    ローマ帝国の言語、ラテン語はイタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語の母体となった。もちろん、ゲルマン系のドイツ語、英語にもその影響は波及している。

    キリスト教の歴史はローマ帝国の歴史であり、ローマ帝国の歴史はキリスト教の歴史だ。キリスト教の勃興は何にせよローマ帝国によるし、ローマ帝国は滅んでしまったけれど、キリスト教によって姿を変えた帝国は成功し続けてきたようだ。

    ユスティニアヌスがまとめたローマ法大全は、国を治めるための法という体系のガイドとなった。法とは、習慣の蓄積とそれを支える価値観を引っくるめて実体化するものなのだから、現在のヨーロッパ的に出来上がっている国家が、そこから始まり連なってきているものだと捉えることができるだろう。


    王政が共和制になり、帝政に変わっていく。絶対君主制があったし、分割統治、共同統治も行われるようになった。帝国が変わっていく、巨大になっていく過程で、どう統治するのかも変わっていくしかなかった。周辺に対する防衛ととそのため軍事。抱えていく属州の運営と維持。そのどちらもを賄い、満足させていくことが必要とされる国家の姿。政治というもののあらゆるテストケースが込められている。

    太陽太陰暦のローマ暦が作られた。ユリウス・カエサルがエジプトから持ち帰って太陽暦のユリウス暦を始めた。閏年調整もここからだ。16世紀。微小な誤差が蓄積し続けてきたことによってできた大きなずれを正し、より正確な暦に更新したのがローマ教皇グレゴリオ13世だ。グレゴリオ暦が西洋暦となった。

    暦とはもっとも基本的なところで農業のサイクルとして表されていた。冬を超えて農業の季節がやってくる3月がはじまりであり、農業が出来なくなる12月が終いとなった。残りの1・2月ははじまりのヤヌス、振り返り反省するフェブルウスの月で死の季節扱いだ。7月にはユリウスがJULYと付けた。8月は初代皇帝アウグストゥスのAugustになった。帝国の誕生に働いたこの2人の親子だけが月の名前になっている。

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