バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [Blu-ray]

監督 : アレハンドロ・G・イニャリトゥ 
出演 : マイケル・キートン  ザック・ガリフィアナキス  エドワード・ノートン  エマ・ストーン  ナオミ・ワッツ 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.44
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感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142105615

感想・レビュー・書評

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  • 映画が始まって画面に現れるのは宙に浮く男。
    彼の独白「なんでこんな事になったのだろう」。
    いや、こっちが聞きたい。

    男が振り返ったらマイケル・キートンだった。
    彼が演じるのは、20年前にバッドマンというヒーロー映画で大人気…じゃなかった、バードマンというヒーロー映画で大人気だったが、現在は過去の人となった俳優リーガン・トーマス。
     はい!私はマイケル・キートンとティム・バートン監督から始まったバッドマンシリーズは全作見てました!

    …しかしそんな栄光からも20年。コミックヒーロー映画で大人気にはなったが、自分は本当は真面目な舞台がやりたいんだ。
    そこでレイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」を演出・脚本・主演して、初日も間近に迫っていた。そう、自分が俳優を目指したのは、バーでレイモンド・カーヴァー本人に認められたことがあるからだ!(…のちに、ある人から「カーヴァーは酔っ払っていて誰にでも同じこと言ってんだろ」と否定されたが)
    しかし共演者が稽古中に怪我をして、代役に呼んだブロードウェイ俳優マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)はいけ好かないやつだった。

    さらにリーガンにはバードマンの幻影がまとわりつき「世間は文芸なんて求めてないんだよ、バードマンに戻っちゃいなよ!」とか言ってくるし、リーガンも自分がバードマンのような超能力が使えるという妄想が日常化している。
     バードマンのコスチュームは、マイケル・キートンによる自己パロディってところでしょうか。バットマンとバートマンのマスクから見えるマイケル・キートンの唇が同じで懐かしい 笑。

    映画の特徴は、全編ワンカットであるかのように撮られたカメラワーク。カメラを回すことにより時間と場所の移動を短縮させたり、超能力やバードマンの具現化など妄想が現実に侵食してきたり、前衛芸術的というか、目まぐるしいというか。

    登場人物たちもみんな賑やかというか、かなりやかましい。
    ヤク中保養所から出てきてリーガンの付き人をしている娘のサマンサ(エマ・ストーン)、サマンサの母親で元妻、リーガンの子供を妊娠したという女優(恋人はいっぱいいるからあなたの子供じゃないかもしれないけど、結婚してほしいわけじゃないから良いわよね、という関係)、「あんたの舞台なんか見ないけど酷評することは決まってる」と言い放つ芸術ジャーナリスト、この舞台でブロードウェイ進出を目指す女優(ナオミ・ワッツ)。
    そんな中でも一番喧しいのはやっぱりリーガンで、すぐに「もう舞台は中止だ!」と投げ出そうとする。
    認められたい反面、拒絶されたら怖い、過去にバードマンとして大成功しているだけに、この年になってからの酷評はきつい。むしろアメコミヒーローのやってた自分が高尚な演劇なんてバカにされるのはわかりきってるし、周りのみんなも好き勝手やってるし、もう辞めたっていいじゃないか!
    …そもそも、マイケル・キートン主演のバッドマンシリーズって、ハリウッドで名優と呼ばれる人たちが嬉々としてコミック悪役を演じた最初の映画だったのではないでしょうか。
    アカデミー賞常連のジャック・ニコルソンが白塗りで「月夜の晩に悪魔と踊ったことがあるか?」とか、ダニー・デヴィートがよちよち歩きのペンギンとかを演じたから、今日のアメコミ映画繁栄の元になったと思いますが、しかし当時はアカデミー賞俳優がそんなのに出るのかーみたいな風潮もあったと思います。
    それをこの「バードマン」でも「リーガン・トーマスなんて所詮はコミックヒーローで当たっただけの一発屋。文芸界に何の用?」みたいな扱いなのでしょう。

    …それでも舞台は初日を迎えるんだが、本番中に大トラブルが続発!しかしここはヤケになったリーガンが一世一代の好演技をしたために、舞台は大好評大成功!
    その大トラブルにあたりリーガンは大怪我をしたんだが(映画の画面としてけっこう怖い)、それさえも成功話の美味しいネタになった。

    しかし全くわからなかったのがラストシーン。
    病院のリーガンは、大成功記事(「酷評する」と言っていたジャーナリストもちゃんと見て、べた褒め記事を書いていた)を見ても落ち着いていると言うか、どこか他人事の感じすらある。
    そしてラスト。良いように読み取れば過去のバードマンの栄光を乗り越え新たな飛躍をした。そのまま読み取れば自殺した。
    前者ならいいんだが、ここまでひねくれた映画の作り方をしてそんないい終わり方になる?後者だとしたら、一世一代の好演技でも骨に染み付いた自分自身をひっくり返すことはできなかったのかということと、いったいどこからがリーガンの妄想だったの?
    「ラストでびっくり★」という終わり方はたくさんあるが、奇を衒うだけだったり、普通に終わるとダサいと勘違いしていて余計な捻りを加えているものはスッキリしない。ひねくれた主人公のひねくれた映画なんだから、ラストくらいはスッキリさせてくれよ。

  • かつての大ヒットヒーローアクション映画「バードマン」に主演し、一躍スターになったものの、その後はヒットに恵まれず、一発屋扱いの俳優リーガン。彼は舞台役者として再起をかける。

    しかし、彼の頭の中にはいまだバードマンが存在する。バードマンはハリウッドのヒーローアクション大作こそが彼にふさわしいと語りかける。さらに元妻、娘、共演俳優、批評家などからプレッシャーを受け、思うままにならない舞台に悩むリーガン。ついにバードマンは実在として彼の前に現れる。リーガンは再びバードマンとなるのか、OR?

    全編ワンカットという特殊編集と、ドラムによるBGMは観ているこっちが緊張してしまい、ストーリーに没頭できなかった。が、それが、様々な受け取り方ができるこの作品における監督の狙いだろう。結局、舞台での出来事はすべてリーガンの夢の中だった、と考えたい。

    ところで、作中でケツを見せる男こと、エドワード・ノートンは未だに健在。そんなノートンに負けじとマイケル・キートンはブリーフ1枚で老体をさらす。このやられたらやり返すライバル関係こそヒーロー映画っぽい。

  • ヒーロー映画で大スターになったが、仕事も家族も失ってしまった。
    そんな男が、ブロードウェイの舞台で再起をかけるが・・・。

    人間ドラマをブラックコメディ風に描いたって感じかな。
    けっこう笑えました。

    アカデミー賞総なめも納得の出来栄えでした!

  • バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
    アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
    Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)

    2014年アカデミー作品賞受賞
    2014年年間興行収入78位、過去40年歴代オスカー受賞作品ワースト2位
    なんでしょう人気がないっていうか、誰が観たの?みたいな

    話題になったワンカット風の撮影、編集、ドラムソロをベースにしたクールな音楽
    嫌いじゃないよ、ドキュメンタリータッチで、雰囲気いいよ
    狭い廊下、階段行ったり来たり、劇場の舞台裏の感じ出てるね
    けっこー顔に近くよっちゃう、エマ・ストーンの目デカッ
    マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン 演技が熱いね

    過去の栄光にとらわれ、今置かれてる立場を認めず強がって見せる。
    弱い自分がジャマをし、過去スーパーヒーローバードマンを演じていた時の自分をダブらせる
    苦悩と葛藤

    もういちど輝くために、
    もういちど愛されるために、
    いったい何をすればいいのか?

    Alejandro G. Inarritu interview
    「時に自分ほどの天才はいないと思うのに、20分後には、いいや自分はダメだ。お終まいだと落ち込む。でもこの両極端な思いを支配している“エゴ”を映画にしたら、面白いんじゃないかと思ったんだ」
    「人は誰でもエゴを持っていると思う。主に政治家や企業の重役、支配者たちだ。この世界は人間のエゴの犠牲になりつつある。それに誰でも、自分のエゴの犠牲になる可能性があると思う。エゴが危険なものであるという考えに人々が共感してくれるといいと思っている。エゴは人を後押しすることもあるが、一瞬でダメにすることもある。エゴをのさばらせてしまうと恐ろしいことになる。大変なことになりかねない」
    「主人公は、一つ一つの出来事を乗り越えながら、人生の意味に疑問を抱き、真の人生を求めていく。だから様々な出来事を乗り越える内容を、今までとは異なったアプローチの仕方で、より軽く、ユーモアを入れながら、でもアイロニーはなしで描いたんだ。皮肉ももう疲れたし、むしろ退屈で怒りを感じるくらいだからね。
    もっとも同じ人生のある出来事、疑問に対して真面目に向かい合うと、自ずと答えは生まれると思う。それは悲劇であり、美しもあり、そしておかしくもあるんだよ」

    賛否分かれるのもわかるな、ラストもワザとでしょ
    でも観て楽しかったよ
    山田君、イニャリトゥさんに5枚やってくれ。
    ★★★★★it was amazing

  • 何と言っても脚本!
    映画全体をワンカットで繋げるということは緻密に計算された完璧な脚本がないと不可能。撮影は困難を極めただろうと推測。

    マイケル・キートン
    エマ・ストーン
    エドワード・ノートン
    過去にアメコミ物の映画に出演経験のある3人をメインに据え、軽くアメコミ映画をディスる感じとか配役の妙が光る。

    そのマイケル・キートン演じるリーガンは過去にヒーロー物を演じ大ヒットした役者の役であり、その役のイメージを払拭するために舞台役者に転身しようとする。そして映画一本を演劇の如くワンカットで流れるように観せる。よくできた映画だと思う。
    あとバックに流れるジャズドラムがめっちゃかっこよかった!

    劇中のリーガンが使うあの能力。あれは彼の心の中の葛藤と思い見ていたんだけど、ラストで娘役のエマ・ストーンが病院の窓から見上げ、意味深の笑顔。彼女には何が見えていたのか…含みを持たせたラストは良かった。


    3.9点

  • 世界中で愛されているスーパーヒーロー“バードマン”。だが、バードマン役でスターになったリーガン(マイケル・キートン)は、その後のヒット作に恵まれず、私生活でも失意の日々を送っていた。
    再起を決意したリーガンはレイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、ブロードウェイの舞台に立とうとしていたが…。
    第87回アカデミー賞で作品賞をはじめ最多4冠受賞した話題作!

    マイケル・キートンの人生やヒーロー映画に対する嫉妬混じりの皮肉や映画人の批判など業界の風刺を絡めて、キートンたち演技派同士の演技合戦が満載で、何度も観て考えたくなる映画です。マイケル・キートンやエドワード・ノートンのエキセントリックな演技、町中で戦闘が起きたりキートンが空を飛んだりの現実と妄想が混じっての奇想天外な展開、実力派俳優にスターの座を脅かされ娘との溝が深まり狂気に追い込まれるリーガンの葛藤と苦悩、この映画の登場人物の愛を求めるあまり遠回りしてしまうどうしようもなさ、ユニークな内幕ものです。ラストの衝撃的な展開は予想外だが力強いラストでした。

  • 3.5。これは解説なしには理解しきれなかったなぁ…どうも映画を撮っている監督自身も投影されているらしい。アイアンマン的な映画への皮肉がたっぷり。現実と幻覚が入り混ざった世界観、まるで一本撮りのようにぬるぬると続いていく場面展開がユニークだった。見た人は色んな解説読むのおすすめ。それと合わせてトータルおもしろい。

  • 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」カメラワークが特殊。ワンカットが異常に長い。昔ヒーロー物の映画で大当たりし、今は落ちぶれた男の再起?の物語。ブロードウェーに出ようとする。コメディのようで主人公の心中はシリアス。

    町山智浩 アカデミー賞4冠!バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) - YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=iKUBy2Dppqg

    町山さんの解説とは違って、私は元気を貰うと言うより哀しくなってしまった。

  • この映画を、この物語をワンカット風に撮った意味を考える。落ちぶれた男が再起する様を克明に映すためか、あるいは舞台演劇の空気感を「大作映画をバカにする映画」に持ち込むという倒錯を演じたかったのか、三人称を含めてもあくまでこの物語は「彼」が主人公だということをはっきりと伝えたかったのか。
    私は正直わからない。
    それにこの映画は、見終わっても私の中の情報量は増えなかった。劇中劇で何を演じたのか。彼は何に失敗して、どのように失ったのか。結局彼は何を求めているのか(ただ名声を得られれば良いのか)
    ひとまず、映像としてはクールだったことは確かだろう。

  • バードマンという映画で一世風靡したものの、それは過去の話。今は齢をとり落ちぶれた主人公。
    脚色、監督、主演を努めた舞台に全身全霊を込め、再び演劇界でのの復活を夢見る。

    まるでワンカットで約120分物語が流れることに驚きだ。一体全体どうやって撮影したのか。どこでカットを区切っているのか分からない。ワンカットやドラムのBGMによってスタイリッシュさが生まれている。
    元妻に「愛している」と言い家族への後悔を口にする一方で、娘にはきちんと愛されている。
    様々な解釈ができる作品。

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