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- / ISBN・EAN: 4562474164207
感想・レビュー・書評
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もっと暗いお話だと思っていたけど、実際はまるで何かに抱きしめられているような、優しさに満ちた作品だった。
ショートタームの施設で過ごす子供達とスタッフの交流が軸として描かれていましたが、どこにも押し付けがましい、いやらしさを感じないのは、主人公のグレースを中心に、大人たちが「上から目線」で保護してあげている雰囲気が全くなく、本当に対等に年上の姉や兄の様に子供達と交流しているから。
施設で過ごす10代の子供達の声にならない叫び声が目の奥から響いてくるようでとても痛かった。
グレースも彼氏のメイソンも、みんな辛い過去を通ってきたからこそ分かる痛み。
使い古された言葉だけど、本当の痛みが分かる人が本当の優しさを持っているんだなと思う。
18歳で社会に出る怖さを隠せないマーカスや、虐待に怯えるジェイデン、そして自閉症で人形が手放せないサミーも、みんな壊れやすくて、本当に厄介だけど、きっとここにいたかけがえのない時間のおかげで、グレースとメイソンの様にきっとここでもらった温もりを同じように誰かに与えられる大人になっていくんだろうと思う。
家族じゃないと絆が作れないわけではない。ちゃんと真っ正面から相手を見れば、相手も心を開いてくれることがあるかもしれない。
ケアマネはもちろん綺麗事だけではいられない時に危険な仕事ではあるけれど、この作品はデスティン・ダニエル・クレットン監督が施設に行かなければならない子供達の心の奥までちゃんと見つめて、どう大人がぶつかっていくべきなのかを社会に問題提起しようとした、非常に重みのあるそれでいて温かみのある作品だと思う。
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