宇宙はどうして始まったのか (光文社新書) [Kindle]

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  • 初めて宇宙や量子論の本を読む人ではなく、一度なんらかの本を読んで、わかったような……わからないようなとなっている人向け。
    そう、それが疑問だったんだよ!ということにわかりやすく解説してくれる。
    物理学者が言う宇宙が始まる前の「無」とは何か。それは感覚的に理解し共感できるものではなく、数式上そうなる、という状態とのこと。
    宇宙を表す数学について、本書には式が登場しないが、見てみたいな、でも見ても理解できないから式が理解できるように勉強したいな、と思わせてくれる。
    宇宙の始まりは観測するまで未確定で、観測するから1つに決まる、という理論は心底驚いた。なるほど、それもありえるのか……興味深い。
    観測し量子を決定づける人問題(それは人である必然性がなく、ではどこまで観測者になり得るのか、哺乳類か、蟻か、花か、原生生物か、そもそもそれらを構成する個は不確定の量子の集合体だが、どのサイズから?)についてを踏まえるとまた、色々と考えてしまう。
    時間と空間がない世界から見て、生と死とはなんだろう、そもそも生きている状態……意識と電気信号と感情について、どういうことなのだろう、と本書を読みながら空想は広がり、怖いような、いつかくる死と無の恐怖感が不思議と少し和らぐような。

  • インフレーション: 宇宙を急激に拡げ、均す
    なぜ宇宙がこれほど大きいか
    なぜ宇宙はどこも同じような状態をしているか

    ホィーラー・ドウィット方程式:
    解を求められない上に解釈も謎

    物理学者の言う「無」は、イメージではなく、数式上の表現。

    無境界・境界条件:
    南極点に達すると、そこより南はない、というような状態。

    光は、ビッグバン後38万年以後しか見えない。
    それ以前は、宇宙が小さすぎて、光がまっすぐ進もうとしても、光以外の物質にぶつかる。

    量子論は、計算の処方箋。
    エキスパートは、使い方をマスターしている人であって、意味を理解している人ではない。

    「粒子が、A点からB点に移動した時、経路は1つである」というのは、量子論では間違い。
    可能なすべてのルートを同時に通っている。

    重力を解明するには、天の川銀河系と同じくらい巨大な加速器が必要。

    光は、真空を伝われるという例外的な波。

    太陽系は、銀河系を、2億年かけて一周している。

    宇宙は球の表面のようなもの。果てはない。
    宇宙とは、時間と空間そのもの。

    ※人間原理の説明はぜんぜんわからなかった。

    量子論は、観測結果なしには構築され得なかったと思われる理論。
    時空間外では量子論が通用するかはわからないが、観測もできないので、量子論で戦うしか無い。

    ?量子論では、ある時点での観測行為が、過去の物理的な状態を決定する、ということがあり得る。

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著者プロフィール

■松原 隆彦(マツバラ タカヒコ)
高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所・教授。博士(理学)。京都大学理学部卒業。広島大学大学院博士課程修了。
東京大学、ジョンズホプキンス大学、名古屋大学などを経て現職。主な研究分野は宇宙論。
2012年度日本天文学会第17回林忠四郎賞受賞。
著書は『現代宇宙論』(東京大学出版会)、『宇宙に外側はあるか』(光文社新書)、『宇宙の誕生と終焉』(SBクリエイティブ)など多数。

「2020年 『なぜか宇宙はちょうどいい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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