人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA / 中経出版
4.05
  • (121)
  • (194)
  • (85)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 1226
レビュー : 131
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (242ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2015年の出版のため、すでにこの業界ではだいぶ古くなってしまった情報が含まれているが依然として全体を概観するというためには最も役に立つと思われるのが、東京大学の特任准教授である松尾豊先生が出版された「人工知能は人間を超えるか」が、この領域を最初に学ぶには良いと思う。技術的な内容は最小限にして、AI研究の歴史的な内容を概観するとともに、現在起こっていることにどのようなインパクトがあるのかをわかりやすく書かれている。

    この本の中で特に強調されており、また最も重要なことは、現在のAI研究を牽引している「Deep Learning(深層学習)」が何故にそれほど重要なのかということだ。一言で言うと、この技術を使うことで、AIが「何に注目して学びを行うのか?」を人間が考える必要がなくなるのである(実際にはそんな単純なものではないが)。これまでは、AIに何かを学ばせるためには、人間がその現象を捉えるためのモデルや変数を考えてプログラムしなければならなかったのだが、Deep Learningを利用することでそういった「現象のモデリング」の問題を回避して学習を行わせることが出来るようになった。


    一方で、2018年の現在から見ると、著者が想定していたことが想定しているスピードで進んでいないこともわかる。特に重要かつ残念なのは、この技術は日本にとって極めて重要であると言う提言があったにも関わらず、日本ではまだまだこの領域に投入されるリソースが足りていないということである。この領域を長年引っ張って来た米国はもとより、急速に力をつけている中国にも圧倒的な差をつけられているのが現状である。
    その最も大きな要因が、松尾先生がすでに指摘されているように「AIの発展により直接的にビジネスの結果が改善する」産業が日本には非常に少ないと言うことがあげられる。
    実際には、日本にはAIとハードウェアの組み合わせにより改善が見られる分野は多くあるのだが、まだまだ経営者の視点がそこまで向かっていないというのが現状だというのが、私の率直な感想だ。とはいえ、これから少しずつではあるが日本企業のAI活用事例を発表できるようになっていくと思う。すでに遅れてしまっているのは事実だが、あと1年・2年で「なんちゃってAI」ではない、産業現場におけるAI活用は急速に日本で広まっていくはずだ(と期待している)。

  • 人工知能とかディープラーニングとかよく聞くけどわかんないけど知りたい、というひと必読。

    フレーム問題で人工知能がつまづいた、ってあたりまでぼんやり知っていて、なのに最近また人工知能ブームで、ディープラーニングってやつが話題で、えっニューラルネットなの? 随分昔に「学習が難しすぎる」って話にならなかったっけ? ググってもディープラーニングよくわからん…。という私のもやもやした疑問に全部答えてくれた本。

    過去の人工知能ブームから段階を踏んできっちり最小限かつ丁寧に説明しているので、予備知識ゼロでも読みやすいと思われます。

  • いま読める類書のなかで、もっともバランスがとれた見方ができているものではないか?

  • 序盤は人工知能の概要・歴史について記されている。
    それらについてざっくりと解説されているため、人工知能につい専門的な勉強を行ったことのない読者には人工知能の全体像をつかむのにいいかもしれない。
    そして後半にかけては、ディープラーニングの登場により特徴表現の獲得を可能にした人工知能が今後どのような方向に向かっていくのかが記されている。
    その中で大事なことは、人工知能を生かすも殺すも自分たちの意思次第である。これらの分野について専門的な勉強をして来なかったからといって、人工知能と向き合っていかないことは危険である。一人一人が、人工知能をどう活かしていけば良いのか、それによってどう社会を良くしていけばいいのかを考える義務が今日にはあると考える。

  • 「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」松尾豊

    人工知能ネタが好きなので買ってみました(^-^)

    ソフトバンクのpepper君が誕生したり、自動運転の車が開発されたり、ここ数年は人工知能ブームです。
    同時に、人工知能の発達により、いつの日か人工知能が人間を超えるときがくるのではないか、という不安や、今ある仕事がなくなってしまうのではないか、という心配もでてきています。

    やはり子を持つ親としては、大人になった我が子が無職でニッチもサッチもいかない状態になるのは避けたい。
    そんな思いから細々と知識を得ているというワケです。

    この本の前半では人工知能の歴史と、これまでの人工知能がどういう仕組みで作られていたのか説明しており、後半では、これからどうなるのか、どういう心構えでいればよいか、の作者なりの考えが記載されています。
    仕組みの部分は、多分かなりわかりやすく書いてくれてるんだと思うんだけど、文系脳の私には超難しかった〜〜。
    ここらへんはもう適当に雰囲気だけつかんだ感じです。


    人工知能の本を読むと、改めて「人間ってすごいなぁ」と思いしらされます。
    人間の子供が当たり前にできていることもまだ人工知能はできないことが多いんですよね。人類スゲェ。

    人工知能の発達やロジックは、幼子が知識や経験を習得していく姿と共通する部分もあります。(人を真似して作ってるんだから当たり前と言えば当たり前ですが。)
    なので、こういう本を読んだあと、自分の子供を眺めていると、
    「あ〜、この人は今、脳内探索木をひとつひとつ試しているところなんだなぁ」と観察しながら妄想してみたりして、なかなか楽しいです。
    大人にとっては無駄なことをしているようにしかみえないの、で「こうやるんだよ」とか「それは違うよ」と答えを与えてしまいたくなるんですが、それは彼が自分で学ぶことにらならないんだなぁと思うようになります。

    人工知能の概要を学ぶことで、人の学習方法について改めて学ぶことができたような気がします。


    以下、印象に残った箇所。
    -------------引用-------------
    2 0 1 4年 、英国デロイト社は 、英国の仕事のうち 3 5 %が 、今後 2 0年間でロボットに置き換えられる可能性があるという報告を発表した 。年収 3万ポンド (約 5 5 0万円 )未満の人は 、年収 1 0万ポンド ( 1 8 0 0万円 )以上の人と比べて 、機械に仕事を奪われる確率が 5倍以上高いという 。さらに 、オックスフォ ード大学の研究報告では 、今後 1 0 ~ 2 0年ほどで 、 I T化の影響によって米国の 7 0 2の職業のうち 、約半分が失われる可能性があると述べている。
    --------------------------------
    やはり、今の職はかなり減るのですねー。車の運転とか、工場作業とかはヤバイんだろうなぁ。
    てか、今の私の仕事だってかなり危ういような気が。。。


    --------------引用--------
    日本でも目を引くプロジェクトが立ち上がっている 。ロボットは東大に入れるか 。 2 0 2 1年までに東大入試合格を目指す人工知能 「東ロボくん 」のプロジェクトである 。 2 0 1 4年 1 1月に行われた全国センタ ー模試の結果 、偏差値は前年の 4 5 ・ 1を上回る 4 7 ・ 3となり 、全国の私大の 8割に当たる 4 7 2大学で合格可能性が 8割以上の 「 A判定 」が出たと話題になった 。
    ---------------------
    東大合格を目指した東ロボくんというのがいて、東大合格目指して頑張っているそうなんですが、何にビックリって、偏差値47.3で、全国の私大の8割以上でA判定がでるということにビックリよ!
    偏差値47.3より上の私大って日本に2割しかないわけ?もう少し頑張れよ、日本の私大。。。。


    ------------引用-------------
    そもそも学習とは何か 。どうなれば学習したといえるのか 。学習の根幹をなすのは 「分ける 」という処理である 。ある事象について判断する 。それが何かを認識する 。うまく 「分ける 」ことができれば 、ものごとを理解することもできるし 、判断して行動することもできる 。 「分ける 」作業は 、すなわち 「イエスかノ ーで答える問題 」である 。
    -------------------------
    学習の根幹となるのは「分ける」という処理。
    なるほど。私たちは学ぶ時、脳内で分ける作業をしているのか。
    学習の根幹を意識したり考えたりしたことなかったけど、すごい本質な気がする。

    ----------------引用------------
    人間は特徴量をつかむことに長けている 。何か同じ対象を見ていると 、自然にそこに内在する特徴に気づき 、より簡単に理解することができる 。ある道の先人が 、驚くほどシンプルにものごとを語るのを聞いたことがあるかもしれない 。特徴をつかみさえすれば 、複雑に見える事象も整理され 、簡単に理解することができる 。
    -----------------------
    上の文章と関連してますが、人間は特徴をつかむことに長けていて、人工知能にとっては、この特徴をつかんで分類して理解するというのがとても難しいことだったらしいです。
    これが、ディープラーニングってやつでちょっとだけだけど人工知能でもできるようになってきました。
    こういうの読んでると、人間っていう生き物の特徴とか、自分たちが無意識で何をして学びを得ているのかというのが見えてきてとても面白い。



    ----------引用--------------
    おそらく 、生後すぐの赤ちゃんは 、目や耳から入ってくる情報の洪水の中から 、何と何が相関し 、何が独立な成分かという 「演算 」をすごいスピ ードで行っているはずである 。情報の洪水の中から 、予測しては答え合わせを繰り返すことでさまざまな特徴量を発見し 、やがて 「お母さん 」という概念を発見し 、まわりにある 「もの 」を見つけ 、それらの関係を学ぶ 。そうして少しずつ世界を学習していく 。
    ----------------------------
    人間は赤ちゃんでも特徴を捉え発見して様々な概念を学んでいるんですよ。そう考えると子供の無意味な行動にも全て学習のための必要な行動に思えてきて、そこを大人がむやみに介入するのはよくないことな気がしてきます。
    大人が正解をすぐに与えてしまうのは彼らがトライ&エラーで自ら学ぼうとしていることを奪っているのかもしれません。
    子供に色を教えたり、数を教えていると、これらの概念をどう伝えればいいのか日々試行錯誤しています。難しいけど面白い。



    無駄に不安がる前に、まずは人工知能と共に歩む未来をできるだけ正確に知ることが大事なのかな、と思うので、興味がある方は是非読んでみてくださいな。
    あと、中長期的に自分がどういうキャリアを築いていけばいいのか考えたい人や、子供が大きくなったときにどういう仕事が残ってどんな仕事がなくなるのか知りたいという人にもヒントをくれると思います。

  • 人工知能研究の今を知ることができる。ディープラーニングが持てはやされていることは知っていたが、その理由を本書で知ることができた。人工知能研究のこれまでとこれからの予測をもって、産業に与える影響を知ることができた。
    我が日本国が外国に遅れを取らず、情報産業を独占されないために投資の必要な分野であることを知れたことが一番大きい。

  • 最近流行ってるディープラーニングって何?という気持ちで気軽に読み始めたが、人工知能研究の歴史から始まる恐ろしい熱量の内容に圧倒された。人工知能に少しでも興味がある人にはぜひお勧めしたい一冊。

  • 一般向けの啓蒙書ですが、技術的な到達点と意味合いを正確に知ってほしい、という想いのこもった非常に面白い本でした。

    過去二度の人工知能ブームと今回のブームの違いを、ディープラーニングによる特徴量の自動抽出(=概念の獲得)に集約させて説明するスタンスで、同時に二度のブームから脈々と続いてる研究のテーマや流れについても解説しています。

    一般の人が思い描くような人工知能からするとまだまだ乗り越えるべき課題はあるが、汎用的な特徴量の学習手法が開発されることによって、ひとつの、しかし非常に大きな山を乗り越えた、という主張はよく伝わりました。

    一方で、本書にもありましたが「ディープラーニングでやってることは主成分分析と似たようなこと」という記述内容も印象に残りました。なぜディープラーニングで得られた特徴量表現だけが取り立てて「概念」としてシンボルグラウンディングされたのでしょうか。少し飛躍を感じなくもなかったです。

    しかし、これからを考えると楽しいですね。概念が獲得できるとして、その多様性はどうなるのか。人間社会のように多様な概念の相互作用はどうなるのか。現時点では特徴量表現と概念の対応付けは人間の(社会の?生命の?)仕事になってますが、そこはどう乗り越えるのか。

    今何をすべきか考えていきたいですね。

  • 著者も「おわりに」で書かれているように、素人でもAIが何かがわかるような資料を作ってと依頼された際の骨子だと言うように、素人でも非常にわかりやすいと思う。

    専門家はやっぱりシンギュラリティは来ない派が、多いですね。

    この本は3年弱ほど前の本だが、ブームはまだまだ終わってはいない。どの企業でも活用しようと躍起になっている。

    ただ、AIを謳う企業が多すぎて、ユーザ企業としては非常に選びづらい状況じゃなかろうか?

  • 人工知能の未来へ、示唆に富む提言。
    特徴量をパソコンが捉えられるようになるブレイクスルーが、パソコンに知能をもたらす。

    OSの問題はとても重要だ…

全131件中 1 - 10件を表示

プロフィール

東京大学大学院工学系研究科総合研究機構、知の構造化センター、技術経営戦略学専攻の特任准教授。専門分野は、人工知能、ウェブ工学、ソーシャルメディア分析。『人工知能は人間を超えるか』(KADOKAWA)著者。

「2018年 『マンガでわかる! 人工知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)のその他の作品

松尾豊の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
クリス・アンダー...
リンダ グラット...
ジャレド・ダイア...
ジェームス W....
ロバート キヨサ...
三浦 しをん
デール カーネギ...
ジェイムズ・P・...
トマ・ピケティ
エリック・シュミ...
有効な右矢印 無効な右矢印

外部サイトの商品情報・レビュー

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)を本棚に登録しているひと

ツイートする