かくかくしかじか コミック 全5巻完結セット (愛蔵版コミックス)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 59
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感想・レビュー・書評

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  • アプリで。もしかして電子書籍で登録したほうがいいのかな?

    これは泣けるし沁みるし耳が痛いし懐かしい。
    先生のような恩師がいなくとも、漫画のような糧がなくとも、10代20代のころの身の程知らず恩知らずなところは身に覚えがありすぎるし後悔先に立たずってやつ、誰にでもあるもの。
    今だからこそ分かるし沁みるのであって、たとえば中高生のとき読んでもそのありがたさやかけがえのなさには気づけないものなんだろうか。

  • 買おうか迷ってたら、なんと図書館に!!

    すごい、引き込まれてくよう読んだ。
    東村さんの作品は全て面白い。

  • 180203.こりゃダメだ。号泣ものでした。そして作者さん。すごいね。自分の嫌なところ、ほじくられたくないところ、きっとそんなところを作品としたであろうこの話。自分を切売しないといけない立場でもないだろうに、色々と整理がついた歳頃だったのでしょうか。
    とても偉大だったであろう先生。こういった作品でまとめられてとても良かったんだと思います。

  • 目標に向かって努力することは自分の実力だけでできることじゃなく、恩師を中心とした周囲の支えがあったから成し遂げられることだったのだ、ということを苦い思い出もそのままにかききっている名作。

  • 東村さんの作品って、色んな引き出しあるなーっと
    思っていましたが…そのルーツを知ることができました。

    先生と東村さんの関係とても素敵でした。
    感動。

  • その人にとって大切な話はやはり良いものです。

  • 泣けるし、笑えるし!!最高!
    学生時代にやれ!!!って言われ続けた先生を思い出しました。

  • 命の価値や生き方を考えさせられた。
    先生の生き方も東村先生の生き方も、納得できるし、だからこそ、やるせない。
    でも、どちらの気持ちもわかりすぎるから、つらい。

  • 笑えたし、泣けました。
    語り口の自在さ。上手い。
    青春物語。言ってみれば少女漫画家版「北の国から」。宮崎県が舞台だけど。
    (そして終盤だけチョットもやもやするのが、なんなんだろうと考えるのが愉しいです)

    #

    「かくかくしかじか」。集英社コミックス全5巻。東村アキコさん。2012-2015の連載だそうです。

    読書会の課題図書。
    テレビドラマになった「東京タラレバ娘」の原作漫画家さん、ということだけ知っていました。
    知らない作家を読む機会があるのは、嬉しいことです。

    恐らくは作者の自伝的な物語...。と、読者に受け取られても構わない、という構造。
    東村アキコさん版の「まんが道」(藤子A)であり「紙の砦」(手塚治虫)です。

    #

    宮崎県。漫画家志望、マンガオタクの女子高生。
    この少女が漫画化になるまで。そして地元で絵画教室を営む風変わりな恩師との交流。

    全体が、「100%の物語漫画」であるよりは、「自伝的エッセイ漫画」として作られています。
    つまり、ところどころ、東村さんの、売れている漫画家としての現在が描かれて。
    そこで描かれる現在の東村さん自身が過去を振り返る。そしてナレーターとして参加して、過去の自分の話が描かれる。

    だから、「果たしてこの主人公は将来ほんとうに漫画家になれるのか?」というミステリーには作っていません。
    そして、現在から過去を描き、過去も必ずしも律儀に時間軸に沿っている訳でも無い。
    そういう語り口の自在さ。恐らくは、構成をがっちり決めているというよりは、書きながら細かい構成は決めているのでは。ノリと感覚で語っている感じ。
    (まあ、物語の筋立て自体は、本当に実話であれば決まっている訳で、そこをゼロから作る作業は不要な訳ですけれど)

    そういう気負わない自在さが、うまい。
    当たり前なんでしょうけれど、それなりにマンガを作り作ってきた人の熟練味。肩の力の抜けた味わい。軽妙さ。

    そんな軽妙さがあるから、物語にぐっと入って行けます。

    このあたり、実は「何の話をしているか」よりも「どう語っているか」で面白さは決まる、という判りやすい例ぢゃないかと思いました。

    #

    何と言っても白眉は、主人公の「ダメさ加減」。
    高校時代から、プロ漫画家になること妄想しながら、具体的に努力することができず。
    妄想とプライドだけをカスミのように食べながら、20代序盤までを過ごしていく。
    フローベールの「感情教育」「ボヴァリー夫人」的な、大河ヘタレ物語。
    それを身もだえ恥じながら告白する「現在の本人」のナレーション付き。
    さじ加減ひとつで過剰な自虐は自慢と変わらなくなるのだけれど、全体のノホホンさが難所でバランスを維持している味わい。
    戦後直後世代とか全共闘低所得者層世代の語り部にありがちな
    「お前ら知らないだろうけど俺はこんなに貧しかったし悲惨だったし苦労した」
    という、毛穴から溢れるような劣等感をB面に添えた「上から目線」とは無縁なんです。
    (そういう物語が必ずしも良くないと断定する気はありません)

    一方で。
    そんな主人公を最終的に支えた(ことに結果的になる)美術塾の先生。
    この先生の、なんというか、「ボヴァリズム」「ふわふわした自分探し」を脳天割りに否定する、絵画への明確な求道精神。
    ところがその精神がまったく精神主義にならない、ひたすらに具体的なハードボイルドな指導方法。
    「美大に行きたいヤツは行かせたい。絵画技術を向上させたい」という目的主義、合理主義。そこに同居する、寡黙な優しさ。

    キーワードは「謙虚さ」だと思いました。この「先生」は、自分が自分であることに疑いを持たない強さと、それを価値論や人生論として押し付けることが傲慢であることを、自覚している。

    #

    笑い泣き、大変に面白く過ごした全5巻。

    ただ、最終盤の描き方だけ、チョットぼくにはもやもやしました。
    これがなんだろう。自問自答。

    最終盤に、センチメンタルにならざるを得ない展開が待っています。
    ここンところで、ちょっとだけ作者のナレーションが、語り口が、「自分を弁護的に語りすぎている」気がしました。
    放り出せば、それだけで十分に泣けるのに。
    良い子ちゃんではなく、予定調和の成長物語の紋切りを否定してきたはずなのに。
    最終版だけ、どう処理していいか戸惑ってしまって、やや紋切りに流れたのでは?
    より具体的に言うと、そこで現在のナレーションとして、そして情緒的な描き方として、一定量以上、「ごめんなさい」を表現してしまっては、ズルいのではないだろうか?
    とオジサンとしては思ってしまう次第。

    何かを棄ててきてしまった結果の現在を、愛おしい守りたいと思う業を否定しないのであれば。
    棄ててきた相手に対して、棄ててしまったことを悔いるスピーチをするのは、その場凌ぎの自己愛に過ぎるのではないだろうか。
    うーん。難しい。
    「私が棄てた女」とか。映画「マッチポイント」とか。それこそ「感情教育」とか。
    趣味の問題なのでしょうが、読まれた人と語り合いたい気分にはなりました(笑)。

    東村アキコさん、描ける人、自分の語り口を確立している作家さんですね。
    発見できて嬉しい限りです。

  • 最期の「描け」で泣きました。
    ほんと描くだけなんだと今の自分に刺さった。
    辛くなった時に読み返すと思う。

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著者プロフィール

日本一筆が速い漫画家。その活躍分野は少女マンガから青年漫画まで、恋愛マンガからギャグ漫画まで多岐にわたる。

「2017年 『東村アキコ完全プロデュース 超速!! 漫画ポーズ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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