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感想・レビュー・書評
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神、人を食うより。扮装解決のための生贄として乞食を養うこと
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「解死人」・「老若」・「逃散」・「逐電」・「勧文・解文」などのキーワードについて、同時代における意味を丹念に解説するスタイルに接し、同業者が同書を「必読書」と呼ぶ理由を知った。
個人的には、やはり自検断の話が最も参考になった。惣中に殉ずる村人の犠牲に褒美や補償を与え、村役も耕作も全面的に惣中で肩代わりするという、文字通り「村請」の態勢が遅くとも戦国期には形づくられていたこと、そしてそれは、惣中からの逸脱に対する制裁=「地下をはづす」という、共同体からの排除・追放の措置と表裏の関係にあったこと。
これを藤木氏は「自検断の態勢」と呼んでいるが、村々の検断の実現は、個々の村の自検断から領主の検断権へというようにタテの体系をなしていたわけではなく、領域を超えたヨコの検断の共同がつねに機能して自検断の実現を支えていたこと、荘園領主たちの検断権もこれに関与し、依存することで維持されていたことも同時に指摘されている。
こうした構造を近世期に連続するものと見なしてよいか否かを判断する力は自分にない。村落史を研究している人と議論してみたいものだが。。。
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