戦国の作法 村の紛争解決 (講談社学術文庫) [Kindle]

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  • 神、人を食うより。扮装解決のための生贄として乞食を養うこと
    既読

  • 「解死人」・「老若」・「逃散」・「逐電」・「勧文・解文」などのキーワードについて、同時代における意味を丹念に解説するスタイルに接し、同業者が同書を「必読書」と呼ぶ理由を知った。

    個人的には、やはり自検断の話が最も参考になった。惣中に殉ずる村人の犠牲に褒美や補償を与え、村役も耕作も全面的に惣中で肩代わりするという、文字通り「村請」の態勢が遅くとも戦国期には形づくられていたこと、そしてそれは、惣中からの逸脱に対する制裁=「地下をはづす」という、共同体からの排除・追放の措置と表裏の関係にあったこと。

    これを藤木氏は「自検断の態勢」と呼んでいるが、村々の検断の実現は、個々の村の自検断から領主の検断権へというようにタテの体系をなしていたわけではなく、領域を超えたヨコの検断の共同がつねに機能して自検断の実現を支えていたこと、荘園領主たちの検断権もこれに関与し、依存することで維持されていたことも同時に指摘されている。

    こうした構造を近世期に連続するものと見なしてよいか否かを判断する力は自分にない。村落史を研究している人と議論してみたいものだが。。。

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著者プロフィール

藤木 久志(ふじき ひさし)
1933年 新潟県に生まれる。新潟大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科修了。群馬工業高等専門学校専任講師,聖心女子大学助教授,立教大学教授,帝京大学教授を歴任。現在,立教大学名誉教授。文学博士。日本中世史専攻。[主な著書]『豊臣平和令と戦国社会』(東京大学出版会,1985年)、『戦国の作法』(平凡社,1987年。1998年に平凡社ライブラリー,2008年に講談社学術文庫より増補版刊行)、『雑兵たちの戦場』(朝日新聞社,1995年。2005年に朝日選書より新版刊行)など多数

「2019年 『戦国民衆像の虚実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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