ビッグデータ・コネクト (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • サイバー犯罪対策課の万田警部と、冤罪で因縁のできた武岱がSE誘拐事件の捜査で協働する。警察側は過去の事件も冤罪だと考えていなくて、両者の思惑が事件捜査の裏側で交錯し、緊張感のある場面が続いて一気に読まされる。テーマは個人情報とビッグデータ。導入時に議論があり、まだ普及が進んでいるとは言えないマイナンバーカードが絡むのは著者の問題意識を反映した社会への警鐘か。日本国内に住民票がない僕はマイナンバーカードも貰えないので、当事者意識がないのだけれど。最後、ちょっと哀しいなぁ。

  • 2015.5.2 毎日新聞 エンタメ小説紹介欄

  • この方の作品は初めて。おもしろかった。

    攻殻機動隊やpsycho-passのような近未来の犯罪捜査系のSFが好きで、多重下請構造にいるSEの職歴があり、CentOS5が古いとかなんとかにニヤッとするウェブ系エンジニアも楽しめる。

    攻殻機動隊やpsycho-passのような、絶妙な後味の悪さも個人的に好み。

  • 一気に読み終わりました。いやぁ、面白かった。

  • 「ビッグデータ・コネクト」(藤井太洋)[Kindle版]を読んだ。藤井太洋さんと同時代に生きてリアルタイムで氏の作品が読める幸運を噛みしめている私である。あー面白かった。これまでの作品に比べると少し大味かなとも思うけど、やはりキャラクターの作り込みは流石である。

  • ITシステム開発の重層的な下請け構造を描いているのは興味深い。マイナンバーなど、ビッグデータが孕むリスクについても考えさせられる。ただ、ストーリー展開、主人公・武岱のキャラクターとも、ちょっとリアリティに欠けるか……。

  • 「ビッグデータ・コネクト」 藤井大洋


    京都府警サイバー犯罪対策課の万田は、ITエンジニア誘拐事件の捜査を命じられた。
    協力者として現れたのは冤罪で汚名を着せられたハッカー、武岱。二人の捜査は
    進歩的市長の主導するプロジェクトの闇へと...。
    行政サービスの民間委託計画の陰に何が?ITを知りつくした著者が描くビッグデータの危機。
    ―――「BOOK」データベースより―――


    タイトルだけだとIT本かと思ってしまいますが、小説です。
    こんなにITワードがふんだんに盛り込まれた小説というのを私は初めて読みました。
    ワードがたくさんでるだけで、それなりに説明もしてくれるので、IT畑じゃない人も
    もちろん大丈夫だと思いますが、IT畑の人にとっては、業界あるあるだらけなので、
    より楽しめると思います。

    小説は、正解が書かれていない分、自分で色々考えを巡らせてしまったりします。
    読んだ後もやもや考えてると日常生活に支障がでるので、最近は気軽に読めるやつしか読んでなかったのですが、
    久しぶりにやっぱり読んだら色々考えてしまいますね。。。
    この小説では、
    ・コンピュータウィルス
    ・個人情報保護とか、情報漏えいとか
    ・ITエンジニアの社畜的勤労精神
    ・炎上プロジェクトの発生メカニズム
    ・多重請負
    などなどの社会問題をあぶり出します。

    事件自体は解決しますが、社会問題については何の解決策も出さないまま終わってしまうので
    読んだあと、どうしたらその問題を解決できるのか、色々考えます。。
    (まぁ私ごときが考えて解決できる問題ではないんですけどね…。)

    多重請負は問題もあるんだろうけど、企業間にとってはwin-winなところもあるから
    成り立ってるワケだし、どう解決するのがベストなのでしょうね。。。

    などなど。
    色々長い感想文を書いていたけど、スマホの操作ミスで消えちゃったので、感想文はここまで。

  • なんだか妙な読後感というか、とても、ざわざわと、読み終わったあとに現実とリンクしている事柄の多さ、危機感、そんなものに襲われるような気がしました。
    主人公と天才プログラマーのバディものはいくつか読んできましたが、男の友情などではなく、ただ一度の信頼が彼らを結びつけた。
    そしてまた、彼は帰ってくる気がしてならない。

  • IT関連の仕事(とくにエンジニア)をしている人にとってはすごく共感できて楽しめると思いますが、いろいろな面で全く笑えない話です。業界の悲惨さ、個人情報、某国の動きとかがリアルすぎて怖い…
    一方で、個人情報を守るにはここまでやらんとアカンのか、とか、そんな仕様あかんやろ、とか、エンジニア的に参考になる点もあると思います。ただこの話のオチは先に気づかないとダメだと思いますが…

    で、これを読むまで知らなかったんですが(え)、佐賀県武雄市の図書館がモデルになっているようないないような感じみたいですね。
    http://matome.naver.jp/odai/2136473417197240601

    いろいろと考えさせられる、風刺小説でもあるのかなあと。ってか我々はもっと知らないといけないですね…

    この記事からたどり着いて読みましたが、かなり大満足の一冊でした。
    http://hon.bunshun.jp/articles/-/3558

    藤井太洋さんの作品はガンガン読んでみようと思いました。

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著者プロフィール

1971年、奄美大島生まれ。2012年7月、SF小説『Gene Mapper』をセルフ・パブリッシングで電子出版。同年の国内キンドル市場で、最も売れた文芸・小説作品となる。13年、『Gene Mapper -full build-』(早川書房)で単行本デビュー。15年、『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞と第46回星雲賞を同時受賞。19年『ハロー・ワールド』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞している。他の主な著書に『アンダーグラウンド・マーケット』『ワン・モア・ヌーク』などがある。

「2022年 『第二開国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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