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- / ISBN・EAN: 4907953064188
感想・レビュー・書評
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『マグノリア』などにも出演する名優、ウィリアム・H・メイシー初監督作。
雑誌などで評判が良かったので観たかったのですが、ようやく観られました。
音楽含む芸術というのは作品それ単体を評価するのが基本なのは分かっているのですが、『誰』が作ったのか、というのも重要な事ですよね。
この映画ではその『曲』の制作者は冒頭で亡くなります。
関係者は悲嘆にくれます。
『彼』の両親は離婚して今は父ひとり子ひとりでした。
ホワイトカラーの父親は荒れ、仕事も住むところも無くします。
二年後、父親は一隻の船に住み、ペンキ塗りの仕事をしていました。
ふと『彼』の残した曲たちを自分で歌ってみようと思い立ち、行きつけのライブハウスで披露します。
その曲を聴いたひとりの若者の心に響きます。
若者は「絶対この曲はハモった方がいい」と言い「僕と一緒に歌ってみないか」と誘ってくるのですが...。
『誰』が作ったのか、というのと付随して『何故作ったのか』というのも曲を理解するのに必要ですよね。父親は曲を通して息子と向き合います。息子がいなくなった自分の人生とも。そこの過程をお涙ちょうだいに陥らず描かれています。後半に大きなサプライズというか観客の思い込みを覆すような事実が提示されるのですが、その事実が重いです。辛いです。
若者役におととし亡くなったアントン・イエルチェン。
自身もバンドをやっていたらしく、素敵な歌声を披露しています。
流れる曲も良い曲ばかりでした。
‘音楽映画にはずれなし’ですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
圧倒的でした。これは凄く好きな作品になりました。不慮の事故で28歳という若さで人生を終えてしまったアントン・イェルチンの数少ない作品の一つです。
この作品は監督名だけで購入してしまったのですが、ウィリアム・H・メイシーの65歳での初監督作品。ここから心境を見せてくれるのかと思いきや5年間はちょい役だけで沈黙しているんですよね。来年は70歳になりますが、期待大ですね。
「君の生きた証」
https://www.youtube.com/watch?v=lJ21alIg24k
息子の通う大学構内で起きた銃乱射事件で息子を亡くしたエリートサラリーマンの父親が、息子の残した楽曲を歌いだしたところからアントン演じるクェンティンら若者とバンドを組んでいく。
しかし実際に起きた銃乱射事件の真相とは……観ていて本当に切なくなってしまった作品です。父親として…彼の想いは最後のステージで綴られていく。 -
2015/10/2 こういう内容だったんだ!予告編の時点では分からなかった 父が息子の歌を歌ってバンドをやって うまくいってたのに バンドの子が裏切らたみたいに怒るシーンの予告編に何故かな?と思ってたけど、そーいう事だったのかと映画を観て納得した いいバンドだった。
途中から違う意味で、裏切られた感じはあったけど…加害者の立場からみる現実 加害者の事は被害を受けた者には許されない事だと思うけど…息子を想う親の気持ちにはラストの歌で泣けました。犯罪を許す事は、出来ないけど…犯罪を犯す理由になった事を真摯に受け止め 2度と若者が 折角の夢ある道を断つ事のない風刺になればいいなあって思います。 -
やり手の広告マンが大学生の息子を食事に誘ったが、息子は現れず、その時テレビに息子の大学で銃乱射事件が起きたというニュースが。
息子を失った男は仕事を辞め自堕落な日々を送っていたが、息子が残した音楽を演奏したところ、その音楽に惚れ込んだ若者とバンドをすることになり。。。
ラスト30分での衝撃がすごいとは聞いていたが、これは驚かされた。全く予想できず、でも考えてみればそれまでの微妙な違和感が全て腑に落ちる。この展開、見せ方は本当に素晴らしい。
でも。この映画が本当に素晴らしいのはそこから。大したこと、奇跡的な何かが起きない。ただ、今までより向き合えるようになっただけ。それは「大丈夫?」と聞かれ素直に「いや、まだ」と言えることであり、ただただ向き合って毎日を過ごすことでしかない。それをしっかりと描く最後の15分が本当に素晴らしい。
衝撃と感動がズシリと来る名作。これは確かにすごい。 -
中盤以降に見え方が変わる。それまでは単純に喪失からの再生と言う爽やかな内容として観ていられるが...。
答えは出ない。許し許されるなどの明解な落ちどころを望んでも与えられず、それでも忘れることも出来ず生きていく。酷であるが、人の業であり、行為による罪と罰である。
許されぬ存在になってしまったとしても、その存在を愛した存在がいる。
辛い。そんなの見たくないのに。でも、戻ることは出来ない。
良作。 -
死んだ息子に対する父親の態度への違和感が
伏線になっているが、勘のいい鑑賞者なら
ひょっとしてと気づくだろう。
とても難しいテーマをあつかっていて、
剥き出しの対立、絶対的な立場の違いを
あからさまに描かないで済むよう
音楽が緩衝材として扱われている感じ。
いくらでも批判はあり得ようが
難しい立場からの心情を描いて相応に見応えの
ある作品にしている手腕は評価されるべき。
歌、うめえ。
作者の人間性と作品そのものの評価は連動するのか否かや、犯罪や悪からうまれる表現は否定すべきものなのかなどにもからむテーマでもある。 -
これはなかなかの良作。死んだ息子が残した歌を父親が歌い継ぐという設定だけで泣けます。
しかし、このシンプルな物語にはミスリードはあり、中盤に明らかになるある事件の真相には不意を突かれました。この父親は悩みに悩んだ末に、やはり息子の歌を聞いてもらいたいと決意するのですが、ラストシーンで歌われた「Sing Along」という歌が実に素晴らしいのです(リチャード・アシュクロフトっぽいビリ・クラダップの歌声も良いです)。この映画では、ここまでもいい歌が多く披露されていたのですが、一番優れた歌をよくぞ最後までとっておいたものだと。このラストソングだけでも本作を鑑賞する価値はあります。 -
アントン・イェルチンさんが好きなため鑑賞。子犬めいた役が本当に似合う人。息子が途中まで作詞した曲を、父が引き継いで完成させた曲「Sing along」、深い愛を感じた。