辞書には載らなかった 不採用語辞典 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 三省堂国語辞典の編纂者である著者の、辞書には載らなかった不採用語を集めた本。
    用例そのものよりも解説の方が多く、それが驚くほど面白い。
    新版をつくるためには、載せたい言葉を様々な媒体から採集する。
    一万数千語集めて半分以上は不採用語となり、更に何割かは不採用となるらしい。
    さて、どんな理由で載せられなかったのか。

    第1章 思わず言い間違った?まだ定着していない言葉
    第2章 辞書にあったら楽しそう。ユーモアのある言葉
    第3章 こんな言い方もあるとは。バラエティに富んだ言葉
    第4章 いつかは全国区に。方言あるいは方言風の言葉
    第5章 行けると思ったのに。最後に落選した言葉

    ↑この5章の「いける」という言葉は4章に載っている。つまり「方言」だということ。
    徳島で「大丈夫」の意味で普通に使うらしく、直訳すると東京語(?)の「いけてる」と同じになる。でも最近はさほど聞かれなくなったように思う。
    定着したのかそれとも古くなりつつあるのか。。

    他にも面白かったものをいくつか載せてみる。
    1章に「誰かしか」「どこはかとなく」「腹ただしい」「移ろぐ」というのがある。
    他にも「のべつなしに」「おぼつく」「思いよがり」「気持ちかった」等々。
    元の言葉はすぐ分かります・・よね?
    間違って使われて、批判もされず拡散したというものだ。
    これは文字を見ただけで大笑いした。
    何となく意味が通じてしまうから生き残っているのかも。
    いくら使用例が多くとも間違いは間違い。
    それでも採集して審議するのかと、少々同情もしたわ。

    2章には、よく聞かれる「ガチな」がある。
    相撲用語で真剣勝負を「ガチンコ」といい、略したものが「ガチ」。
    皆さま、喜んでください。これは三省堂国語辞典に載ったそうです。
    不採用だが要望が多いものとして「ググる」もある。
    だが私のように「ヤフる」専門の人間もいるわけでこれはボツ。
    「ヤフーでググった」と言えるようにまでなれば採用するのかな・笑

    3章では「電凸(でんとつ)」が出てくる。
    メディアや団体への電話突撃を表す言葉で、面白くてもボツ。
    「イタ電(イタズラ電話)」と同じく、その行為を正当化する言葉だからというのが理由。
    うん、こういう判断基準は大事かと思う。

    一番面白かったのが5章で「アブラギッシュ」が出てくる。
    現代語として定着していれば俗語でも積極的に載せるらしいが、これはボツ。
    そもそもが悪口だし、言われて嬉しい人もいないだろうということ。

    辞書の編纂という仕事がどれほど大変か、あらためて知ることになった。
    時代とともに言葉が変化しても、元の言葉を知らなければ変化にさえ気が付かない。
    そう言えばある女優さんは「雰囲気」をずっと「ふいんき」と言っていたそうで、思い込みで覚えるこうした例は多そうだ。
    使い慣れている言葉の、思いがけない語源や用例が出てくる。
    ネットで手軽に調べているこの頃だが、辞書も開いてみないとね。意外な発見もあるかもしれない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      調子に乗って、、、明鏡の第3版が11月に出るんですって

      此方は"完全規格外の国語辞書"
      みんなで国語辞典!
      ...
      nejidonさん
      調子に乗って、、、明鏡の第3版が11月に出るんですって

      此方は"完全規格外の国語辞書"
      みんなで国語辞典!
      https://www.taishukan.co.jp/item/minkoku/
      2020/09/06
    • nejidonさん
      猫丸さん
      わぁお!これ、いいですね!
      中身も価格も・笑
      これ一冊でかなり楽しめそうな気がしますよ。
      忘れないように保存しておきますね...
      猫丸さん
      わぁお!これ、いいですね!
      中身も価格も・笑
      これ一冊でかなり楽しめそうな気がしますよ。
      忘れないように保存しておきますね。
      ありがとうございます!!
      2020/09/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      まだまだ気になっているコトがあるのですが、此の本読んで頭を整理してからにします。
      nejidonさん
      まだまだ気になっているコトがあるのですが、此の本読んで頭を整理してからにします。
      2020/09/06
  • 「舟を編む」で辞書作りの面白さを知り、手にした本。一つ一つの言葉を大切にし、辞書に採用するかどうか、こんなに悩みに悩むプロセスがあるんだと感動した。

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著者プロフィール

香川県生まれ。国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。新聞・雑誌・書籍・インターネット・街の中など、あらゆる所から現代語の用例を採集する日々を送る。著書に『辞書を編む』(光文社)、『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『辞書には載らなかった不採用語辞典』(PHPエディターズ・グループ)、『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』(PHP研究所)、「日本語をつかまえろ!」シリーズ(金井真紀・絵 毎日新聞出版)など。

「2023年 『けいごって しってる?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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