日系・外資系一流企業の元人事マンです。じつは入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう。 [Kindle]
- すばる舎 (2015年4月27日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (140ページ)
感想・レビュー・書評
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新井健一『日系・外資系一流企業の元人事マンです。実は入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう』(すばる舎、2015.4)
早稲田政経を経て大手重機メーカーに入社、人事部で勤務するうち上司に「20年後の自分の姿」を見てしまったことをきっかけに外資コンサルに転じ、やがて人事コンサルとして自立した著者による人生戦略論。
ひとことでまとめると、「キャリアを会社任せにするな」というごく当たり前の指摘です。
一般社員には知らされない「人事システム」という魔物。人事部員もまたサラリーマンであり、自らの人生を守らねばならい以上、彼らの行動は会社の方針に忠実なものにならざるを得ない。という環境要因から、まず「会社があなたに何を求めているのか」を読みとり、その上で自分の目指すキャリアとすり合わせ(場合によっては脱出)していくべし、とのガイダンスになっています。
本書の中核をなす「人事システム」の考察。それは人事制度の運用を本質としつつ、入社した社員を社風に合わせて改造していく仕組みであり、評価基準や上司の言動からその全体像を推測することができる、とされています。
出世主義者でもまったり派でも、ゲームのルールを知らずに人生を人任せにしてしまうほどもったいないことはありません。役所ではこの種の残念でマジメな人も多く、「俺を使ってくれるところに行くんだ」などと放言して使い潰されていった者も多くおります。
著者は、人事システム=会社のルールは、「今時点の勝者が作るもの」としており、その仕組を前提としてどう生き抜くべきかが語られています。
いわく、本来「戦略」とは選択と集中、資源を集中投下するため「やらないことを決める」ためのものであるが、しかし、職務等級の整理が不十分な大企業ではあれもこれも評価基準に盛り込んでしまい、用をなさないものになってしまっていると。
こんなものに振り回されるのは人生の損失です。
【本文より】
◯人事コンサルタントはみな知っている。ある会社の人事制度は、他の会社の人事制度とは全く違う、ということを。ということは、会社により、社員の成長や夢の実現、幹部になれる可能性や幹部になるための要件、権限移譲の範囲や程度、〈がんばり〉の定義や〈がんばり〉への報い方、そして職場環境は異なるということになる。
◯「人事制度は、現在のキャリアの勝ち組が社員の何を良しとするか、しないかという〈主観〉をなるべく客観的に明示しようとする試みに過ぎない」
◯制度は、緻密に設計されていればいるほど、標準からの逸脱を嫌う。
◯大変ドライに聞こえるかもしれないが、会社があなたに提供する〈確実な〉報酬は、〈カネ〉か〈ポスト〉しかない。
◯社内を、まずは生き残り、そして勝ち残るためには、何より戦いのルールを熟知していることが大前提になる。
◯あなたが会社の都合に流されてキャリアのかじ取りを手放すのでは、あまりにも心もとないし、会社はあなたの無私の献身を称え、報いてくれることも決してない。少なくとも、あなたが望むようには、だ。
◯〈栄光への階段〉の刻みと人事異動が、あなたの出世のスピードを決めるのは間違いない。そう考えれば、あなたの費やすひと〈世代〉の先に役員のポストが待っているのか、課長のポストが待っているのかは、その時間を務め上げる前から分かりきっているのだ。
◯あなたのキャリアを実現するために大切なものは何か?ここで注意していただきたいのは、「あなたの会社が、あなたに提示するキャリアを実現するために大切なものは何か?」ではない、ということだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示