月刊群雛 (GunSu) 2015年 05月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 新作よりも連載の方が破壊力があったと初めて感じた5月号。もちろん、新作も及第点なのですが、連載組の出来はなかなかのものでした。最終回2本+「承」の部分だったからでしょうか。あと、トルタル含めて「次の一手」が楽しみな作品も多かったですね。
    ポジショニングはライト×ベタ。最近ベタな作品が多いですね。私としてはありがたいのですが、そろそろシュールやヘビーの作品も読みたい気分。
    MVPは「夢を継ぐ」と非常に悩んだのですが、初見時のインパクトの差で「DJ五所川原」を推します。この連載を単行本の流れで読み直すと、新しい面白さを得られるのではと思ったり。連続ドラマみたいな作品でした。逆に「夢を継ぐ」は前編と後編でひと呼吸置きたいね…笑

    ・芦火屋与太郎『夢を継ぐ』
    感想を言うとネタバレになりそう…
    オチは私が予想した通りだったのですが、それに至るまでの過程は予想外の場面が多かった。結局登場人物の誰にも感情移入できなかったのだが、そういう部分がこの物語の肝だったのかもしれない。あと、参考文献欄にあった町山智浩氏の本も買おうかな

    ・晴海まどか/合川幸希『ギソウクラブ』
    一方、こちらは美羽に感情移入しまくりでして…笑 関西弁という道具も含め、周りと馴染めず浮いてしまう境遇をしっかりと炙り出していると思います。ストーリーも起承転結の承の部分としては非常に良い出来映え。多面的に各々の人物や風景を描写するのは大変だと思いますが、この先の期待値も高めに維持したいところです。

    ・幸田玲『未来からの贈り物』
    構成的にはもうひとヤマあっても良かったと思うが、異なる2人の視点が一つのシーンへと収斂されていく流れが心地よい。「仕合わせ」というテーマを最後まで物語の中にしっかりと染み込ませているのではないでしょうか。

    ・ハル吉『デリヘルDJ五所川原の冒険』
    今までの作品も面白かったのだけど、最後の最後でとんでもないホームランを放っていきました!
    クドカン的なテイストだと以前評した事があるのですが、クドカンも軽妙な流れが続く中で突然シリアスをぶっこんでくる事がある。そのギャップでストーリーにハマってしまうのです。で、今号の五所川原も突然シリアスに。滑稽なシーンもたくさん有るのだけれども、それが戦う相手の不気味さを増幅させることに成功していますね。
    色々含みを持たせた終わり方だけど、はっきりと決着させて欲しいなあ。2時間枠でのスペシャルドラマ化に期待←

    ・青海玻洞瑠鯉『Le COQ』
    今までよりも光を感じるイメージ。といっても、明るいという意味合いとは違う光を感じる。全体的に初夏の気分に合った詩といったところか。
    そんな訳で、「夏がくるから#####しよう」が特に好き。この時期独特の解放感や自由さが、人を不思議な行動へと導いていくことありますよね? 夏の最中にスポーツ観戦していると、何となくこの詩の中身にも心当たりがあるような部分があったので…。

    ・神楽坂らせん『ふたりのブルベ』
    読み終えたあと、思わず物置からクロスバイクを引っ張りだしてしまいました。私は行動範囲10kmで自転車のパンクも修理できません…。
    それはさておき、バディものだけど「異質性」よりも「同質性」を肝にしてストーリーを組み立ててきたのに驚き。でも、こも年代の女性ならではで、相互の共感を強調した方がお話的には正解なのかなとも思ったり。
    「自分との戦い」を強いられるスポーツほどチームワークというか、共感できる味方の必要性を痛感させられます。本作もそういう要素にしっかりと切り込んでいますね。

    ・初瀬明生『迷作ミステリー傑作選』
    不満を挙げるならば、題材の割には「笑い」の量が少なかったというところです。
    初瀬氏の強みはシンプルな構成が生み出す隙の無い物語であり、この作品もそれが存分に発揮されていると思います。故に、そんな隙の無さが「笑い」を生み出すパワーを弱くしてしまったのではないでしょうか。
    はっちゃけたな! と思わせる描写が有っても良かったのかもしれません。話者のキャラクターをより作りこんでピン芸人のネタみたいにしたり、アンサイクロペディアみたいにテキストで攻めたりと、改善アプローチは色々とあると思います。
    今回の経験が次の作品、特にミステリーやヒューマンドラマといった氏の得意分野でどう生かされるかに期待したいところです。

    ・平乃ひら『パレード』
    こういう平行世界を描く作品はすごく好きです。私はわりとRPGの登場人物とかに異様に感情移入しちゃうたちなので。ストーリーが切ない流れになる時とパレードの描写とのギャップがまた素敵。
    あと、昔「世にも奇妙な物語」で香取くんがドラマのエキストラを演じているうちに、現実とドラマの世界が区別できなくなる云々という話を思い出しました。

    ・表紙
    おおっ、今までと雰囲気が違ってカッコいいね! フォントと題字の位置が独特!?

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