火花 (文春e-book) [Kindle]

著者 : 又吉直樹
  • 文藝春秋 (2015年3月15日発売)
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (92ページ)

火花 (文春e-book)の感想・レビュー・書評

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  • 十分面白かった。特に、漫才のシーンはネタそのものに感心したし、姉のエレクトーンとプロポーズの花火のエピソードは泣きそうになった。上石神井駅が出てきたのにもニヤリ(僕の高校の最寄り駅だ)。著者のこれまでの人生を凝縮したかのような物語で、「新人離れした衝撃のデビューアルバム」として後年まで名盤扱いされる類のもの。次はお笑いにまったく関係ない物語が読みたいな。

    さて、三島賞落選の際はあんなに好感度が上がったのに、いざ芥川賞を獲ると叩かれるという、残念な日本人的ジェラシーが炸裂しているため、僕なりに擁護したい。
     
    まず、芥川賞・直木賞受賞作=万人が拍手喝采する名作、なわけがない。そもそも芥川賞は無名の新人を対象とした賞だよ。面白い面白くないは個人の受け取り方なので構わないが、「芥川賞なのに」面白くないから「芥川賞も本作も又吉もクソ」という論理は前提が間違ってる。
      
    また、古館伊知郎の「芥川賞と本屋大賞の区分けが無くなった」発言は愚劣の極み。これだけメディアが発達して物語を提示する場が多岐に渡れば、一部の才能のクロスオーバーが発生するのは当たり前。ジュンブンガクは清貧にピュアにジュンブンガクたるべき、人気芸人の作文ごときを偉大なる諸先輩の偉業と並べるな、という古い価値観と差別意識が明白。安心して無視しましょう。

  •  正直に言って、芸人さんが処女作で芥川賞を取るなんてちょっぴりアヤシイと思っていた。
     又吉さんは好きな芸人さんだし、読書好きなのも文章が上手なのもよく知っているけど、芥川賞を取るほどのものなのかなあ……と思っていた。吉本が話題作りのために金を積んでやらせたことなのではないかと、ちょっとだけ疑っていた。
     しかし最初の一文を読むやいなや、その疑念はすっかり消えた。いや、たとえ金を積んでいたとしても、『火花』は芥川賞に恥じない、きちんとした小説だった。純文芸らしい真面目な文体におかしみが滲んでいて、個性的で好きな文章だと思った。
     一般の人が花火でプロポーズする場面や、神谷さんが真樹さんと別れるときに徳永に勃起させる場面、スパークス最後の漫才など、ぐっとくるシーンがいっぱいあった。最後の漫才で終わっていたら物語として綺麗だったかもしれないけれど、それをあえて台無しにするような神谷さんとの再会からラストへの流れは、「美しい世界を台無しにする」という神谷さんの言葉に重なっていて、とてもよかった。

     神谷さんという先輩芸人は、破滅的で無茶苦茶だけど、お笑いに対しては子どもみたいに純粋だ。どことなく又吉さんが尊敬している太宰治みたいな人だと思った。
     天才は多かれ少なかれ世間の常識からはみ出しているものだとは思うが、どんな創作物も受け手の存在を無視できない。ましてお笑いならばなおさらだ。観てくれる人が笑ってくれなければいけないし、ましてや絶対に傷つけてはいけないものだからだ。
     だからお笑い芸人は、世間に受け入れられる範囲内で自分たちの笑いを模索するのだが、神谷さんは世間を気にすることなく、自由に「面白い」を追求する。
     徳永はそんな神谷さんを尊敬し、畏怖し、嫉妬し、少しだけ侮蔑する。神谷さんの才能に憧れながらも、世間に適合できない彼をちょっと見下げているのだ。この複雑な感情は、お笑いに限らず、凡人が天才に抱く普遍的な感情として共感できると思う。

     どうでもいいけど、吉祥寺から上石神井は歩くと結構遠い。

  • 新春2冊目。
    オーディオブックで読了。
    言葉の美しさと、知的さと、人間臭さと、現実とバーチャルのバランス感。
    経験がこのように作品になるのだ…と学ばせてもらいました。
     
    また、芸人の世界を垣間見させていただいた気持ちになりました。
    これもまた、創作。
     
    途上の感じで終わったのは、又吉さんもまだ、人生を謳歌している途上だからだろうなぁとも。

  • 又吉さんの本は他にも読んで面白いと思っていたので、試しに読んでみたところ、どんどん引き込まれました。
    先輩の痛々しいまでの描写、素人ではできないと思います。

  • まさに文学という感じ。1つ1つの文章が遠回しな表現で自分には少し難しかった。

  • 話題の本

    文章をかける人尊敬します

    内容より、ちょいちょい入るくだらない笑いのネタが大好きでした

  • 素直に感動した。グッときた。広義の"ものづくり"をやる人には響く言葉が多い作品。
    愛に満ちた小説で、純粋に創作と向き合った姿勢が作品そのものへ反映されていて、なんていうか読んでいて幸せを感じる文学だった。
    読み始めてしばらくは、「技術的に"芥川賞"が納得かといえば疑問は残るし、いわゆる"文学的表現"の必然性に乏しい」と感じていたが、次第にそんなことを忘れてしまうほどに読み耽ってしまった。

    些細なことで悩んで苦しんで笑って泣いて。そういう"純文学らしさ"にも満ちているので、"純文学"の入門書としても良い本だと思う。

    "芸能人"だから賞を取れた側面は間違いなくあるが、"芸能人が書いた本"だから叩かれもすると思うが、そういう"disり"に対しても真摯に向き合っているのが好感度が高い。爽やかな作品だ。

  • 30代、長い体調不良。
    この作品の登場人物に自分が出てきそう。
    俺は世間に向かって火花を散らせただろうか。

  • すごく感動したりはしなかったけれど
    文章の流れとかリズムとかことばの選び方とかは良くて
    すんなりに物語に入っていけました。

    主人公・徳永がお笑い芸人なので
    そこはやっぱり著者又吉と重なってしまうので
    もう徳永=又吉で読んでしまいます。
    それがこの作品では吉と出たかなと思うし
    そこが無名の作家からするとちょっとずるいと思えるとこかも。
    でも作者の顔が見えるというのは作品によっては逆効果の場合もあるかも。

    最後の最後がちょっと「え?」という展開で
    私的にはちょっと肩透かしを食った感じでした。
    もう少し違うエンディングを期待してたかな。
    その手前の盛り上がりはすごく良くて
    その場で舞台を見ているような臨場感があり
    ちょっと泣いてしまいそうになりましたが。

  • ようやく読んでみた。

    やはり芸能人が書いていると言う目線で読んでしまう。だから、「これは実際には誰のことなんだろうか」とかそんな風に思ってしまう。

    途中途中で、とても切なくなってくる描写が折り込められていて、何かぐっとくる時がある。

    でも、何だか全体的には何かが物足りない気がする。なんだろ。主人公が神谷さんに対して、神谷さんになりたかったとか、神谷さんにそんなに褒めて貰いたかったとか、その辺りがエピソードからあまり感じる事が出来ずに、ドキドキ感が良くわからずなので、最後の方の神谷さんに対する描写を読んで、「あ、え?そうだったの?」と言う様な肩透かしをくらうのかな。

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