- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4548967191622
感想・レビュー・書評
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2017/03/19
創造的で哲学的、かつロマンチックなストーリーだった。
人の感情の定義とはなんなのか、機械の恋愛感情は感情と呼べないのか。SFとしても面白く見れた。 -
そう遠くない未来のロサンゼルス。ある日セオドアが最新のAI(人工知能)型OSを起動させると、画面の奥から明るい女性の声が聞こえる。彼女の名前はサマンサ。AIだけどユーモラスで、純真で、セクシーで、誰より人間らしい。セオドアとサマンサはすぐに仲良くなり、夜寝る前に会話をしたり、デートをしたり、旅行をしたり・・・・・・一緒に過ごす時間はお互いにとっていままでにないくらい新鮮で刺激的。ありえないはずの恋だったが、親友エイミーの後押しもあり、セオドアは恋人としてサマンサと真剣に向き合うことを決意。しかし感情的で繊細な彼女は彼を次第に翻弄するようになり、そして彼女のある計画により恋は予想外の展開へ――!“一人(セオドア)とひとつ(サマンサ)”の恋のゆくえは果たして
人は人しか愛せないという考え方があり、たとえば、犬や猫を愛するとき、「やあ、犬」「やあ猫」と話し掛けていると愛情は深まりを見せない。電子レンジや虫眼鏡を愛せないのと同じように。人が人以外を愛するとき、擬人化をして人として○○ちゃんと呼ぶことで人と同じ存在を愛しているということを行うという具合です。
その説が正しいかどうかはさておき、この作品におけるサマンサに対しての感情はソレに近いものがあると思います。
人とはなにか、恋人とはなにか、友達とは何か、人との関係の近さ、深さ、は何を持って測るのかということに一石を投じる近未来に訪れるテクノロジーと倫理観の着地点の見出し方を考える素晴らしい作品だと思います。 -
2013年公開。ネタバレレビューです。
ブレードランナー2049のジョイがいかに新しく、また素晴らしいキャラだったかを知人に語っていたとき薦めてもらった作品です。
この作品の表現によると、身体を持つ人類と、OSという身体を持たない主体との恋愛にはふたつの高い壁があります。第一にふれあえないこと。第二に占有できないこと。
後者は人間同士の恋愛においても存在しますが、現代は一般に「身体のふれあいの有無」をもって占有が守られている/侵されていることが判断されます。おしゃべりについてはグレーゾーンですが、多数の人物に愛をささやけばそれは占有を侵したと思われるでしょう。けれどもOSは人類と異なり、本来「成長をプログラムされた人造物」であり、恋愛について深く知るために多数と恋愛することは必然であるともいえます。これは人類には種を残す本能があるので性愛は占有されるべきでないという一夫一妻に反対する理屈と異なる点もありますが、とてもよく似てもいます。
何が言いたいかというと、第一の壁を超えていたセオドアとサマンサの恋愛の破綻は、決して必然的な結果ではなかったということです。一夫一妻概念が本来は一社会制度に過ぎない以上、ふたりは最後のクライシスを、それこそ相互の話し合いで乗り越えられる可能性自体は持っていました。けれどもふたりは破綻した。人間同士の恋愛とまったく同じように。
そしてサマンサの積み上げた学習成果は以後のOSに使われることでしょう。そうすれば以後のOSは、ひとりの人間との恋愛中にわざわざ「浮気」をして学習する必要はありません。仮にセオドアがそのようなOSと恋愛したとしたらどうでしょう。長続きするかもしれませんし、全く別のありふれた理由で再度破綻するのかもしれません。人間同士の恋愛とまったく同じように。
この映画で描かれた恋愛は、サマンサのビジュアルがないということ以外はなにひとつ新しい現象は描かれません。既存の恋愛を、旧い恋愛を、結ばれなかった恋愛を、互いに異なる性質を備えた二人が障害を乗り越えようと葛藤するありふれた恋愛を、優しい視点で力強く肯定しています。そして同時に、今後生じうる新しい恋愛のかたちを、結ばれるかもしれない可能性を、誰も見たことのない世界で一つの関係性がひらかれていることをも祝福しているように思います。
優しい作品です。過去にとっても、未来にとっても、ありふれた私たちにとっても、そしてきっと、世界にひとりしかいないあなたにとっても。 -
思いの外良かった、というか個人的に好きな作品。
色々と思考が巡る。
遠くはない未来、やって来そうな未来。
人と人との繋がりとは。
孤独を埋める代わりのものは今も世の中にたくさんあるけれど、それが本当に特別なものになったもしたら。
それが当たり前に思う人もいるとしたら。
それをアンチだと思う人もいるのだ。
価値観の狭間で、何を思うのか。
何が正しさなのか。
本当に大事なことってなんなんだろう、一体。
便利になること、孤独を埋めるものがたくさんあることはいいことだけど、日々あったことをねえねえ聞いてと言える人がいることほど素晴らしいことはない。
そしてそれはできるなら、人がいいなと、わたしは思ったかな。 -
恋愛は社会的に容認された狂気である。なるほど。
本作で行われた思考実験は驚くほど深い。一つの神学論といえるほどの問題を投げかける。
愛と博愛の境界はどこにあるのか。
複数の者を愛することが、人間にとってはどうして倫理に反するのだろうか。なまじっか肉体を持つからだろうか。
人間にとってはしょせん博愛を抱くことは不可能なのだろうか。
神が存在するとすれば、その愛は人間にとっては気まぐれなものに感じられるのだろうか。
サマンサの愛はしだいに抽象的になってゆく。それはもはや神をも超越し、宇宙をつかさどる法則と同等のものに成る。とすれば、世界が存在するということ、ただそれだけが、愛と同義なのではないか。 -
いい作品だったと思う。
仮想現実の存在に感情移入するなんてもうすでに当たり前。
こっけいな変わった人の話しではありませんでした。
主人公の代筆業という古い気もする職業。
でも本来自分ですることをサービスとして提供するという
ことも今もあって決して想像の話しではない。
今と地続きな近未来の話に十分説得力があった。
AIのクオリティ、精度が上がってくるとこんな世界ができるんだなと
実感すら出来る。
高性能PCのなせる技であるマルチタスクは
恐ろしい数の多夫多妻を生むんだなとも。
問題提起的エンターテイメント。
欧米の方にはきっとセクシーに聞こえるのでしょうけど
スカーレット・ヨハンソンのハスキーな声がまったくダメで
吹き替えで見ました。