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感想・レビュー・書評
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フランスの人類学者がロシアのウクライナ侵攻を7年前に予言していたかのような本だ!ドイツの台頭により第4帝国ともいうべきドイツの支配が広がりつつある中で、今後ウクライナがドイツなどEU、NATOに入っていくことを予想し、それがロシアにとっての脅威になるとはっきりと書いている。米国の存在が薄れ、ドイツの膨張という点は少し違うように思うが、EUをドイツが支配し、フランスはその隷属国になった!とのこの人の言葉はある意味で当たっているのかもしれない。フランスのサルコジ、オランド政権への厳しい言葉は、フランスの現状を嘆く著者のやっかみがあるように感じて少し鼻じらみの感は強かったが…。この本を通して初めて知ったが、ウクライナは1991年の独立の際には人口が5200万人だったのに、2014年時点では4500万人に減っており、これは教育を受けた青年層が国を離れてしまうという社会の静かな解体が進んでいるとの説明。今回のウクライナ問題の遠因が単純なロシアの侵攻という前に、何かあったのかと考えさせられてしまった。
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戦後のドイツとアメリカの関係、EUの中でのドイツの役割、EUとロシアの関係
フランス人の著者が皮肉たっぷりに記述するも、政治思想について行けないところがある 勉強不足... -
面白いのだが、辛辣に過ぎるところが結構あり、読みにくいことも。特に古いインタビューなど。
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Kindle
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今の私たちの認識に「違うよ」と投げかける、そういう驚きを感じながら読ませていただきました。ヨーロッパはEUで一枚岩とは言わないまでも、共通の問題に対して団結しているように思ってはいました。しかしながらそれは幻想で、実際はドイツが主である、国家間の階層が出来上がっているということは、荒唐無稽とは思えない説得力がありました。著者の語り口に引きずられると、ドイツを第二次大戦のナチスのように見てしまいかねない、そんな危うさを感じました。
ロシアに対しての、今までの偏見に対しては変えられました。あの国は女子の活用にも、若者の教育にも学ぶことが多いものがあります。民主主義国家が必ずしも正解とは盲信してはいけないと戒められたように思います。 -
"政府への貸付は、マルクスが見抜いたとおり、富裕層の持つ金の安全化だ!"
ある動物番組で印象に残っているのだが、狸(哺乳類)は生存戦略としてわざと性格の違う子どもを産み分けるらしい。種としての全体の戦略でもあるのだろう。人類種生存戦略として多様な思想がその役割を持つのかもしれない。
しかし今日、世界ではそのための多元性が失われているのではないだろうか。本書を読むと、一部の超富裕層の金の安全化のために骨抜きにされているように思えてくる。
国家に、そのエリートに真に仕事をさせるために市民が連帯せねばならないだろう。現システム維持は金持ちも結局不幸にする。全人民の幸福を願って。
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E・トッドの著書は価格が高価で、結構購入までいつも躊躇するんですが、今回は新書で価格もリーズナブル。ということで早速購入して読んでみました。
いつもの学術論文とは体裁が違い、メディアでのインタビューをまとめた形なので、口調もくだけた雰囲気を醸し出してました。
が、しかし私が読みたかったE・トッドの本では無かったです。こんなに、偏った口調のものは読みたくないなー。と真っ先に思ってしまいました。
仏人の知識人だと最近は、ピケティなども有名ですが、彼と同じ匂いがするのは、仏人繋がり。というだけではないかもしれないですね。この2人は、ヨーロッパの大陸のインテリが何を考えているかが、よく分かる所は好感がもてますが…
ただし、この著書で触れられている「ドイツ帝国」を米国ネオコンに、「ドイツに従属するオランド」を米国ネオコンと、つるんでいる日本の政治家に置き換えると、にほんの状況との相似形に見えます。
その部分は、読んでいて実があったとは思います。日本もフランスも先進国の社会が硬直化している国は、似たような問題を抱えてるんだと、この本を読んで、認識できました。