夏目漱石「こころ」

  • パンローリング株式会社 (2015年6月11日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んたのは小学生か中学生ぐらい、読むたびに複雑な気持ちになる小説です。私にとっては哀しいとかひどすぎるとか感情が動かされるものではなくて、なぜだかただただ茫漠たる虚無の心持ちになる。あとに残るのは読んだという事実のみ。それは好きでも嫌いでもなく、必然的に心の中に帰結する感じ。幸福な物語ではないのに、過ぎ去った青春の、青さと白さ鮮やかな黄緑色を私の心に残していく。文章で読むのではなく音声で聴くのは新鮮な体験でした。良い時代になりました。

  • 学生時代に現代文の授業で読んで以来の、夏目漱石の「こころ」、Audibleで聴いてみました。
    結論として、とても面白かったです。
    学生時代取り扱ったのが本作の一部だった、というのもありますが、いや、滅茶苦茶面白いじゃん、学生時代の自分、気付けよ、この面白さに!

    ◆物語
    タイトルを「こころ」としただけあって、心情描写がとにかく繊細。
    「すべきだ」とわかっていても、「したい」と思っていても、なかなか行動に移せない「先生」。
    迷っているうちに状況が進んでいってしまう物語は、最近だとセカイ系の頃によく採用されていた物語フォーマットだった印象です。
    その物語で感じるような苛立ちを、文豪の傑作の中で見出すとは思っていませんでしたw
    流行り廃りは時代の流れの中で移り変わっていくものなので、セカイ系の頃にまた流行って、今は廃れているわけですが、若者(人々)の悩みのパターンというのは、僅かに形を変えつつも周回していくものだなぁと感じました。
    大まかな流れは知っていたけど、「先生」の悩み苦しみ、駄目な方向へ突き進んでいく感じに頭を抱えつつ、ハラハラしつつ、いたたまれない気持ちになりつつと、感情をかき乱されながら楽しめる作品でした。

    ◆朗読
    ひとりで朗読するタイプ。アイキャッチ?あり。
    上手いですし、染み入るところはとことん染み入る、素晴らしい朗読でした。
    ただ、特に序盤は声のトーンがあまり一定でないので、声の似た二人組で交代で収録していると思っていました。なので最初は、この演技は誰を指している演技だっけ、と混乱することもありました。
    先生の最後の手紙以降は安定しています。

  • 高校生の時に教科書で読んで以来、初めて全編を通じて触れました。先生がこんなにあれこれ考えないと動けない人であるということは当時は印象になかったのですが、再度ストーリーを追っていくことによって違う印象が残りました。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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