この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫) [Kindle]

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  • 池上本の愛読者ならば、今さらという内容だが、東工大の1年生向けの現代史講義じゃしょうがない。高校生、大学生向けとしてはピッタリ。

    しかし、この本を本当に読むべきは、学生を教える教育者たちだろう。著者ほどの準備と理解をして授業に挑んでいるのか、学生たちの将来を考えているのか。教壇に立つことはプロ教育者としてのプライドを持たなければならない。

    ところで本書で説明される日教組の歴史について、公立学校の先生は教えるのだろうか。

  • 「はじめに」に書いてあった
    「歴史を教える人にとって、戦後史は現代そのもの。自分が経験してきたことは歴史と感じません。ところが、自分が経験していない人にとっては、それは歴史なのです。この認識の落差が、戦後史を空白にしてきたのだと思います。」(P11)
    「たとえば2001年9月のアメリカ同時多発テロ。多くの大人にとって、これは現代のニュースです。それが、東工大の学部生にとっては、小学校低学年のときの出来事でした。親たちが騒いでいるのは見ていても、その意味はわからないまま。なのに、親や大人たちは、わざわざ教えてくれることがありません。その空白を埋めようというのが、私の講義の目的です。」(P11~12)
    に触発され、時々日経の連載でも読んでいたこともあり、親世代として私も息子にどう説明していくとよいのか、その参考になればと思い、本としてきちんと読んでみることにした。
    とは言っても、私自身も、戦後復興や55年体制、三井三池炭鉱の話はそもそも生まれてないし、学生運動や田中角栄氏のことも幼いときのことなので、覚えていると思っていることも、実は後から見た映像や本からの知識なのかもしれない。そういう意味では、はからずも私自身の空白を埋めることができたと思う。
    ただ、池上さんは「歴史的な出来事を、現代の視点から切って捨てることは容易ですが、それでは歴史から学ぶことはできません」(P269)とおっしゃり、例えば学生運動の講義で、東工大も学生寮の規則を改正への抗議で全学ストになった話、そしてそれを学生が笑ってしまったことについて、「なぜあんなに皆が怒っていたのか。いまとなっては追体験できないけれど、それが、あの時代の空気だったんだ」(P208)とおっしゃる。全体を通じて感じるのだが、つまり池上さんは、その時代の空気感を理解することが歴史から学ぶということなのだとおっしゃりたいのだろうか?歴史上の出来事を経験した者と、経験していない者の落差を埋めるために必要なこととは、経験した者が当時の空気感を伝えることなのだろうか?
    もちろん、大事なことではあると思う。しかしながら、それを伝えることに熱心すぎると、結局は年寄りの価値観の押し付けで終わってしまうことにならないか。どんなに頑張っても、当時の若者と今の若者とは置かれた状況はまるで違うわけで、たとえは悪いが、富士山を静岡側から見るのと山梨側から見るのとではその印象はまるで違うのに、それを山梨に居ながらにして静岡から見える富士山を感じろと言っているようなものではないのか。
    経験した者としなかった者の落差は厳然として存在してしまう。経験した者として、経験しなかった者に伝えていくことは大事なことはあるけれど、経験した者だけが知っている空気感を強調することが、経験していない世代に「伝える」ということに、本当になるのだろうかと思わずにいられなかった箇所もあった。
    私は、落差を「埋める」のは無理だと思う。むしろ、私達大人の方が、学生の側に立って、経験していない者から見ると、私たちが経験したことはいったいどう見えてしまうのか(上にあげた例のように、当時の学生運動は今の学生には笑ってしまうようなことなのだということ)を謙虚に受け止めることのほうが、「歴史から学ぶ」ことにつながるように感じた。

    *登録ミスで、本当は紙の本で読みました。

  • 特に日教組が面白かった。また、政党のところなど、これから学ばないといけないことが多くあった

  • 日教組とゆとり教育の章が面白かった。
    確かにこれは学校では教わらない。
    学芸はリベラルアーツの日本語訳、なるほどな。。東京学芸が東京教育にならなかったのは、すでに東京教育大があったから。なるほどな。。。

  • Audibleにて。

  • 原子力、自衛隊、政治、米軍・・・戦後史のキーワードがわかりやすく解説されています。
    自分自身がリアルタイムで経験していたことも、あぁこういう背景だったのね、と。
    Audiobookなので聞き流してしまった部分もあるので、何度か聞き返してみようと思います。

  • 今までの同筆者の本のおさらいができます。
    コンビニの新商品を見ている気持ちになれます。

  • 参院選間近ということで日本の論点をサクッと振り返るために手に取った。

    Audibleで散歩がてら聴いた。現代史の書籍は散歩しながら聴くのに最適だ。8割知ってる事実に2割著者独自の視点や知らなかったことが加わっていくのが心地よい。

    現代史は新聞やニュースでは用語解説がされるが歴史の授業では時間切れが迫る3学期で端折られがち。池上さん解説にそこは登場してもらうのが良いでしょう。

    原子力、戦後復興、自衛隊と憲法、55年体制から連立政権、短命首相ら、日米安保、エネルギー、高度成長、日米安保、全共闘、沖縄、韓国、日本の教育についてサクッと振り返ることができる。

  • ※2019.6.28購入@kindle版

  • 私の学生の頃は、戦後史になる位に、授業が終わってしまって、戦争の事も、うやむやで、学んだような感じでした。

    「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
    戦争を知らずに育ったと、、、歌に迄ありましたが、、、昔の戦争を知っている人は、戦争の悲惨さと命の儚さとで、過去を語ることをあまりしませんでした。
    我が父母も、、、
    父母の結婚式は、ホテルで白無垢の衣装とタキシード姿の写真があります。
    その当時では、普通の人が、できなかったと知ったのは、私が、成人して、理解出来たことです。(気付くのが遅いけど)

    政治についても、この現代史を読んで、そうそう、あの時は、こんな政党もあったのだ、、、何て思い出しておりました。

    私にとって、ほんの以前の話でも、知らない子供達が、おおいと、思います。
    阪神大震災も、、、そして、2011年3月の東日本大震災も、平成生まれの人でも、知らない人が多いのでは・・・

    東京オリンピックも、このコロナウイルスの騒ぎで、延期になりましたが、昭和39年のオリンピックの以前は、東京の町は、まだまだ、ゴミの多い地域でした。
    川も汚れていて、、、今の高層ビルの並ぶような東京は、考えも出来ない夢のような事でした。

    この本を読んでいて、反日、デフレ、安保、学生運動、安全保障問題、バブル、土地神話崩壊、大手金融破産、大地震、原発、、、、その時代に生きていても、ただ何気なく時を過ごしていただけで、もっと理解しないといけないと、思うようになりました。

    そして、池上氏が、この本のコラムで、東工大の生徒に縦書きのレポートを提出させているとの事、、、、、
    今の人達は、携帯、スマホと育っているせいで、横書き、行の変更など、昔の私のような原稿用紙で、書くような事そして居ないから、、、、書き方も異なっているのでしょう。

    先日、手紙の封筒の書き方も知らない若い人達が、テレビで、放映されており、全て、メールなどで、送信してしまうの、切手の貼る所や、あて名書きの場所も知らない方が、胃て、ビックリでした。

    私も、遠くに住んで居る子供達に、出来るだけ、昔の出来事、感じた事を、この時期に話をしておきたいと、思っている。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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