新選組血風録 〈改版〉 (中公文庫) [Kindle]

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  •  大河ドラマ『新選組 !』やゲーム『維新の嵐 幕末志士伝』、
     『幕末恋華・新選組』に触れて、新撰組についてもっと知りたい、
     それにはまず有名どころを押さえよう……と手に取ったのが本作。


     しかし、1話目で挫折。


     内容が悪かったわけではない。
     未来に行ったり過去に行ったり、視点があちこち飛んだりする文体が
     どうしても好みでなく、読むのが非常につらかったためだ。



     ちなみに司馬遼太郎は初めて読んだ。

     巷では「読みやすい」とされている彼の作品が
     自分にとってはこんなにも読みにくいのかと、軽くショックを受けた。


     話としては面白かっただけに、己の文体の好き嫌いの激しさが大いに悔やまれる。

     リハビリが進んで読書力がついたら、いつかは再挑戦したい。

  • 「新選組血風録」。
    司馬遼太郎さんは、1962年がブレイク年でした。1961年に新聞記者を辞めて、専業作家になります。
    そして翌年、1962年に、新選組モノの「燃えよ剣」と「新選組血風録」、そして「竜馬がゆく」を連載開始しています。
    この3つの小説は、全て当時にテレビドラマ化されて、大ヒット。
    司馬遼太郎さんは、人気小説化の地位を確保します。

    その1つである、「新選組血風録」。
    新選組の色んな人たちをそれぞれに主人公にした、連作短編です。
    だから、通して登場する脇役、というのが、近藤勇、土方歳三になる、という趣向。
    これはこれで、土方歳三の生き様を密着した「燃えよ剣」と違って、やや醒めて皮肉の利いた司馬さんの一面が見れます。

    13編、それぞれにオモシロイものばかりですが、
    個人的に好きだったのは、やはり沖田モノ。
    「沖田総司の恋」は普通に短編小説として哀しくて笑えて泣ける、という見事な作品だと思いました。

    それから「菊一文字」は、早世することを受け入れざるを得ない沖田が、七百年の歳月を生きてきた名刀に想いを込める、という心の機微が、はっとするくらい鮮やかに描かれています。脱帽。

    それにしても、結局どこまで行っても、現存する「物語としての新選組」のキャラクターイメージっていうのは、
    どうしても司馬遼太郎さんの描いたベースを超えられないんですねえ。
    と、あらためて嘆息するくらい、結局はキャラクターを描くのが上質、ということなんだなあ、司馬さんは。

    #

    ①油小路の決闘

    篠原泰之進、という、伊東甲子太郎たちと共に一時期だけ新選組にいた隊士の話。
    有名な「油小路の決闘」で生き残った人。

    ②芹沢鴨の暗殺

    一時期新選組の局長だった、芹沢鴨。その愛人のお梅。
    ふたりは、近藤や土方によって暗殺される。
    その顛末を、土方目線で語る。

    ③長州の間者

    名もなき隊士たちが、長州の間者と間違われて殺される話。

    ④池田屋異聞

    新選組のスパイ役?として有名な山崎烝の話。大阪の町人(家計を辿れば武士)出身。
    かつて身分上の屈辱を受けた相手に、池田屋で報復する話。

    ⑤鴨川銭取橋

    武田観柳斎の話。
    新選組の幹部にまでなったが、党内の勢力争いから薩摩に裏切ろうとして、殺される。

    ⑥虎徹

    近藤勇の長刀は虎徹という銘柄?で有名だが、それが実はニセモノだったという話。

    ⑦前髪の惣三郎

    大島渚監督で「御法度」という映画になった一篇。
    新選組内の同性愛のもつれ、殺人という話。

    ⑧胡沙笛を吹く武士

    ひょんなことから女と所帯を持った隊士が、そこから死ぬのが怖くなって、
    結局は士道不覚悟に問われて殺される。

    ⑨三条磧乱刃

    井上源三郎の話。
    近藤、土方、沖田と同門である、と言う理由で優遇されざるを得ない実直な中年男性の、
    活躍?と、それを救うために犠牲を払う新選組。

    ⑩海仙寺異聞

    細かいことは忘れてしまった…
    確か甲州出身の隊士が女がらみで討たれて。
    討った新選組隊士を、歳三が対外的軋轢を恐れて逃がしてやる、という話だったはず。

    ⑪沖田総司の恋

    労咳を病み始めた沖田総司が、医師の家の娘に片想いする。
    片想いしているだけで十分だったのだけど、近藤、土方が気を利かせて縁談にしてしまう。

    ⑫槍は宝蔵院流

    谷三十郎の話。
    名家の血筋と槍が上手いということを武器に、近藤勇に取り入って出世する谷。
    だがやがていろいろとメッキがはがれて、最後は討たれてしまう。

    ⑬弥兵衛奮迅

    富山弥兵衛、という薩摩人。
    新選組に入って「薩摩の間者だろう」と思われたが、そうぢゃなかった。
    と、思ったらやっぱり間者だった、という話。凄腕のスパイ。

    ⑫四斤山

    永倉新八の知人、というだけで隊に入った中年男が、砲術師範に就任。
    だが、実際は素人だった。
    お陰様で新選組は鳥羽伏見で敗戦。
    これを、最後には薩摩軍に寝返っていた阿部という隊士の目線で描く。

    ⑬菊一文字

    オオトリは、沖田総司。
    新選組隊士が連続して狙われる。
    犯人らしき人を沖田は斬る機会があったが、もらい物の名刀「菊一文字」を汚したくない、と切らなかった。
    そして、最後は隊名で、相手を斬る。

  • 現代の新撰組モノの作家のほとんどの原点が、これと燃えよ剣なんだろうなあ。


    自分用備忘メモ。
    ■油小路の決闘
    篠原泰之進の話。伊東と共に入隊した武辺もの、からっと爽やかで思想には無頓着。隊規に照らすと切腹になる傷を隠すうちに新撰組が憎くなり、伊東の離反の背中を押すことになった、のかも。という話。
    ■芹沢鴨の暗殺
    芹沢さんのああいうやり方、私は好きだな、などと無邪気?に言う総司が印象的。
    ■長州の間者
    長州の間者、ただし下っ端も下っ端、最末端の間者として入隊する深町新作の話。「虫けらのようだな、俺は」。木内昇の地虫鳴くみたいな味わい。松永主膳、荒木田左馬亮。
    ■池田屋異聞
    山崎蒸の話。討ち入りに加わった四十七士以外の浅野家家臣たちがものすごい差別を受けてきていて、その子孫たちもそれを隠して生きている。考えたことなかった。山崎もそういう家の子孫で云々という因縁。才子肌の隊士はみな近藤・土方によって殺されている、という話も印象的。
    ■鴨川銭取橋
    武田観柳斎の話。嫌なやつだったみたいだが、意外と死に際だけは堂々たる感じの描かれ方だった。
    ■虎徹
    近藤さんが虎徹だと思って江戸で買い求めた刀は実際のところ偽物で、後から京で本物を手に入れたりもしたんだけども、これが俺の虎徹だと思い込んで(偽物とわかった上で)使っている近藤との間に不思議な相思相愛関係でも生まれたのか、この偽虎徹が強いんだなこれが、という話。
    ■前髪の惣三郎
    新撰組内の衆道話。すごい美男子が入隊してひと悶着ある。近藤・土方・山崎もちょっと動揺しちゃうところが面白い。加納惣三郎、田代彪蔵、湯沢藤次郎。
    ■胡沙笛を吹く武士
    南部藩出身の鹿内薫。アイヌの話などもありつつ。隊内でも剽悍で知られた男だったが、京都で妻子を持ち、死を恐れるようになり、士道不覚悟で粛清される。
    ■三条磧乱刃
    強くないけど近藤・土方の兄弟子である井上源三郎、と、彼を慕う新人隊士の国枝大二郎。を救うために幹部たちも出動して死者三人も出したのを、どうなの?と思わずにいられない一隊士、福沢圭之助。源さんは弱くないよ!と吼えていた地元のおじいさんを思い出す。
    ■海仙寺党異聞
    嫌われものの甲州浪人中倉主膳、同郷の長坂小十郎、ふたりの隊士の奇縁。本当は医者になりたかった長坂、そつなく会計方としての隊務をこなし、人当たりもよく、順応性も高く、実は腕も立つ。珍しいケースだが土方から餞別を貰って脱退、長崎で医学を学び維新後麻布で開業。名は広沢一豊と改めた。
    ■沖田総司の恋
    沖田総司の恋。多摩組の「友情」関係や沖田家のことなど。
    ■槍は宝蔵院流
    谷三兄弟のことを斎藤一の視点から。斎藤一を好きという人の気持ちが少しずつわかりつつある今日この頃。
    ■弥兵衛奮迅
    伊東派が離反するとき、薩摩へと手引きしたのが富山弥兵衛。薩摩の間者。伊東の小者感、木内昇とちがって司馬さん容赦なし(笑)
    ■四斤山砲
    新八の師匠と名乗る大林兵庫と、平隊士阿部十郎、ふたりの砲術方の話。近藤の適当な人事と大林の尊大さとを遠因として、鳥羽伏見の戦いでの敗北があったのだったりして…。
    ■菊一文字
    沖田総司と日本刀・菊一文字則宗の話。血風録は沖田の死で終わるんだな。

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