奇聞・太平洋戦争 (文春e-book) [Kindle]

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  • 太平洋戦争にまつわるいろいろな話をまとめた文藝春秋の戦後70周年企画。所収の話は昭和20~60年代にかけて発表されたもの。

    ここに収録されている話の一つ「日本人は同胞の肉を喰うのか」がポータルサイトで紹介されていたことから購入。この話はゾッとする(内容は関心のある方は購入して読んでいただきたい)が、シベリアの地で生死をさまよう境遇ではこのようなことも起こるのだろうと思わされる。不可侵条約を破棄しての侵攻の印象が強いロシアだけに、ロシア兵は皆人の心も持ち合わせていないとともすれば考えてしまうが、軍務とは別に日本人捕虜とおどけた感じで触れ合うロシア兵もいたのだというのは、やはり現地で実際に抑留した人の話を知らないことにはわからないし、彼らもやはり人間なのだということをこの話から再確認させられる。

    一方、最後に収録されている「白い肌と黄色い隊長」は日本海軍兵曹とインドネシアでの外国人女性捕虜たち(ここでは抑留婦女子と書かれている)についての話だ。収容所の監督に任命された山地正兵曹が、外国人婦女子を、人として敬意をもって接し、立派に収容所を運営したそのさまは、日本の降伏後に視察に来た連合軍関係者を驚かせたという。美談と銘打っているとおり、まさに美談というにふさわしい内容だ。戦犯で処刑される者もいるなか、収容者全員による山地兵曹の減刑の嘆願書が出されたことがそれを物語っている。「白い肌~」は昭和34年の発表時かなり注目を集めたそうで、映画化までされたという。この一章だけでもこの本を購入する価値がある。

  • ・8/20 読了.戦後それほど経ってない時点での戦時中の様子がうかがい知れる作品集.この手の話を読むとまるっきりではないせよ戦時中の雰囲気を少しは想像できて、戦争というものを実感するための助けになると思う.お気に入りの「海軍めしたき物語 」もそういう意味で貴重な作品のひとつ.人間がやることだもの、すべてが悪くすべてが正しいなんてことあるわけないもの.

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