クレオパトラの夢 新装版 神原恵弥シリーズ (双葉文庫) [Kindle]

  • 双葉社 (2015年4月16日発売)
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本 ・電子書籍 (255ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 主人公にクセあり(笑)
    また、別シリーズ読みたい!

  • 読んでいる間は、空も地面も白く濁っていて、静かな寒い雪国にいる感覚を味わうことができ、冬に読むのにぴったりだった。内容はなかなか重くて暗いのに、主人公の快活でユニークな性格のおかげで、そこまでおどろおどろしくならずすっきりと読めた。

  • 2021/4/23

  • 不倫相手を追って東京を出ていった双子の妹・和見を呼び戻すため、北海道H市へ向かった神原恵弥。だが、真の目的はその地で密かに受け継がれてきたという〈クレオパトラ〉の在り処を突き止めること。しかし、同じ謎を追っていた若槻博士は神原が到着する前々日に事故死していた。遺品の地図に記された場所を辿り、〈クレオパトラ〉の謎と和見の思惑に振り回されながら神原が突き止めた真相とは。〈神原恵弥シリーズ〉第2作目。


    恩田さんとはジェンダー観・男女観がそんなに合わないので、作中で恵弥の言うことに感心することもないのだが、それはそれとしてこのキャラクターは面白い。
    主人公が一番の秘密主義で、途中まで読者に情報を隠しているタイプの語りは恩田作品にも多いが、この設定で主人公が無口だとすごくズルい感じがする(笑)。その点、恵弥は〈おばさん〉と揶揄されるほど饒舌でありながら情報の出し方を巧みにコントロールできるキャラクターなので、その軽口の応酬からヒントを得る楽しみがある。それが本シリーズの魅力だと思う。
    前作『MAZE』では騙す側だった恵弥が、今回和見たちのミスリードに引っかかり続けてしまうのだが、それでもアホに見えないのはスピーディな展開ゆえか、あるいは上記のような会話のうまさか。そういえば途中、多田と若槻が恋人関係だったのかなと思ったんだけど、ミスリードでいいから恵弥にもチラッとその路線を疑ってほしかったな。あと、恵弥は男っぽいルックスだから〈おばさん喋り〉をするとみんなギョッとする、という設定なのに、女装が和見以外にバレないのは矛盾している。でもこれが小説のいいところ(笑)。
    現実味ありながらサイコホラー的な解決編に陰謀論的なオチもついていて、しかも背景は函館山の夜景(笑)。やっぱりこのサービス精神が恩田陸だよね。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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