アルバート家の令嬢は没落をご所望です 2 (角川ビーンズ文庫) [Kindle]
- KADOKAWA (2015年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (328ページ)
感想・レビュー・書評
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見た目完璧な残念お嬢様メアリと、美形だけど無礼な従者アディ。
長年メアリに片想いをしていたアディの想いがついにむくわれる…かもしれない!?
「このままだと本当に俺が頂いちゃいますよ」ドキドキ必至の第2巻!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"「あ、あのぉ……」
手際よく何かの段取りを進めるパトリックに、その隣であたふたとしていたアディが恐る恐るといった様子で声をかける。彼の表情が若干だが青ざめているように見えるのは気のせいだろうか。
そんな様子をメアリは眺めながら、それにしても司祭様にまで話をするとは随分と大事だこと……と、まるで他人事のように用意された紅茶をすすった。
「あの……やっぱり本人抜きに話を進めるのはどうかと思うんですけど……」
「アディ、どうした」
「いえ、なんかこう……大事になりすぎてる気がしまして」
しどろもどろながら止めようとするアディに、パトリックがその肩を叩いた。諭すようなパトリックの姿は五歳の年の差がまるで逆転したかのようである。
「いいかアディ、よく聞くんだ」
「……はい」
「相手はあのメアリだ。言質は取ってあるんだから、あとは徹底的に外堀を埋めろ!」
「権力と行動力を持ち合わせた人ってこれだから恐ろしい……」
真剣な瞳で恐ろしいことを言い放つパトリックに、アディが頬を引きつらせる。
そんな二人のやりとりを見守っていたメアリがおやと首を傾げた。今パトリックは自分の名前を口にしていたような……。つまり、この騒動は自分に関係しているということか。
「ねぇちょっと、いったい何の話をしてるの?」"
新たな前世持ちが現れてもメアリはどこ吹く風……向こうは存在するはずのないメアリがまた前世持ちであると、最後にメアリ側からヒントを投げかけられるまで気付かなかったのな。
「みんな頑張って!」と周囲を鼓舞するメアリが……そんなメアリが好きだよ……。
この辺り純粋に爵位の件しか考えてないんだろうなぁとかそのタイミングでアップルパイの話をしだすあたりとかほんとメアリらしくって面白い。それでもここで一番に考えてるのがアディのことなんだよなぁ……。アディの内心たるや……
屋敷中駆け回って報告に回るメアリが可愛すぎてにやにやが止まらない。
パルフェットとの会話も可愛すぎて面白すぎて……なんだかんだのメアリの面倒見の良さがよくわかるシーンなのに、やり取りが絶妙でやっぱりにやにや笑いが止まらない。
メアリの双子の兄の出番増えないかな……イラスト……イラストをください……。
野心家令嬢には是非とも名前を……。
少し気になるといえば、別の章で語ったことをもう一度語るのはなんでだろうな。作者の癖かな。
ただ単に主人公とつながりのある子たちだけが……じゃなく、その周辺をも巻き込んで事態を変えていく様に、もしかしからこの一晩、このひと時だけのことかも知れないけど、周囲を巻き込みながら世界のあり方を変えてみせたという展開が好きすぎて泣いた。