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- / ISBN・EAN: 4910032011157
感想・レビュー・書評
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11月号の表紙は白地にブルーの猫。誌名ロゴの欠けさせかたが大胆で目を惹く。
今月は群像新人評論賞の発表があった。当選作が該当作無しだったのは残念だが、優秀賞が『反偶然の共生空間──愛と正義のジョン・ロールズ』と『ケセルの想像力』の2本。読み物として面白かったのは後者の方かな。ただ、どちらも文章に余り個性を感じられなかったのが気になった。吉田健一とまでは言わないが、文体で読ませる批評の書き手が登場して欲しいなぁ……。
創作は本谷有希子の『異類婚姻譚』が一挙掲載。本作は巷間でよく言われる『夫婦は似てくる』という話をちょっとホラータッチで描いた中編。細やかな夫婦関係のエピソードが、最初は微笑ましいものの、ストーリーが進むに従って不気味な様相を帯び、切ないラストへと繋がって行く。
連載小説はいとうせいこう『我々の恋愛』が最終回。奥泉光『ビビビ・ビ・バップ』と川上弘美の連作『運命』もそろそろ終盤だろうか。どちらも続きが気になる。
『現代短歌ノート』は『サザエさんの歌』。ここのところで一番シュールだと思うのだが、どうだろう……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
異類婚姻譚
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芥川賞受賞 本谷有希子 中篇140枚「異類婚姻譚」
夫婦は顔が似てくる、ということに端を発して不条理の世界へ妄想が展開。その夫婦観がどうこうということではなく、筆力を見せつける作品なのだろう。 -
本谷有希子「異類婚姻譚」が掲載されている「群像」。
「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」――結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く。
2015年下期芥川賞作。約十年前に読んだ著者の小説デビュー当時の作品は輝いていたのにその後は魅力激減。本作も猫を山に捨てに行くシーンに嫌悪感を覚えただけではなく、全体的に散漫というのが感想。
(D) -
芥川賞受賞の本谷有希子『異類婚姻譚』読了
専業主婦の主人公はある日旦那と自分の顔が似てきているのに気づく。旦那は主人公が自分に似ることを望む。
描写が物足りなかったり最後の展開があまりに唐突で考察は不必要かなあという感じ -
「異類婚姻譚」本谷有希子
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本谷有希子「異類婚姻譚」読了。ちょっとしたSF。芥川賞にこういう感じの多いかも。なんか設定は好きだけど着地点がこれ?って感。
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〈中篇140枚〉
異類婚姻譚 本谷有希子
〈新連載評論〉
美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって 熊野純彦
〈第59回群像新人評論賞発表〉
〈優秀作〉
反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ 荒木優太
ケセルの想像力 高原 到
受賞のことば
選評 大澤真幸 熊野純彦 鷲田清一
予選通過作品発表
〈鼎談〉
安倍総理に捧げる小説 島田雅彦×片山杜秀×中島岳志
〈連作評論〉〔最終回〕
はにかみパンク外道の生真面目――町田 康『くっすん大黒』 清水良典
〈連載小説〉
我々の恋愛 最終回 いとうせいこう
オライオン飛行〔9〕 髙樹のぶ子
尻尾と心臓〔16〕 伊井直行
ビビビ・ビ・バップ〔23〕 奥泉 光
〈連作小説〉
ホサナ〔12〕 町田 康
運命 川上弘美
〈連作批評〉
新・私小説論〔2〕 佐々木 敦
〈連載〉
モンテーニュの書斎〔2〕 保苅瑞穂
現代短歌ノート〔67〕 穂村 弘
〈随筆〉
『ルンタ』への長い旅 池谷 薫
やなせたかし先生の「秘密の恋」 小手鞠るい
膨らむ、伸びる、中世の夢 橘 明美
〈私のベスト3〉
およそ4×10n年の脳内逆変換 加藤総夫
サメと歩む人生 西田清徳
お手紙拝見 乗代雄介
〈書評〉
人間の複合アイデンティティーを描いた傑作(『虚人の星』島田雅彦)佐藤 優
姉と弟の神話(『Yの木』辻原 登)三浦雅士
思わず眼鏡をかけ直す(『繭』青山七恵)阿部公彦
クズ湯に肩までつかって(『呪文』星野智幸)酉島伝法
〈創作合評〉
春日武彦+清水良典+沼野充義
「モナドの領域」筒井康隆(新潮2015年10月号)
「幼なじみ」谷崎由依(群像2015年10月号)
「まるで砂糖菓子」乙川優三郎(群像2015年10月号)