不倫は個人の問題でなく、社会の問題。なるほど!
P08 思春期の第二次性徴に続き、成人後の婚外恋愛や婚外セックスにまつわる身体的・精神的 混乱は、いわば大人の思春期=「第三次性徴」と呼べるだろう。 第二次性徴に際しては社会 理解や支援があるが、この第三次性徴に関しては、前述の通りそうした理解や支援は皆 無である。医療機関にも思春期外来はあるが「不倫外来」はない。
ワクチンを打っても効 かないこともあるし、ワクチンを打たなくてもかからない人もいる。そうした状況下で、 「インフルエンザウイルスは、なぜ存在するのか」という問いを考えることには、あまり意味がない。感染した人に対して「努力が足りない」「自己責任だ」「周りの迷惑を考えろ」と バッシングを浴びせることにもまた、意味はない。
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「20世紀最高の経営者」と呼ばれたGE(ゼネラル・エレクトリック)のジャック・ウェルチ も不倫だけはうまくマネジメントできなかった。アメリカのクリントン元大統領しかり。 世界最高の経営者や権力者でもコントロールできない領域を我々凡人がコントロールでき るはずがない。「本能」という言葉に逃げるのではなく、インフルエンザと同様、「感染は防げない」という前提で考えるのが最も賢明だろう。
P38 産前産後の女性に対するケアの必要性は、国の政策の中でも主張されるようになってきた が、「産前産後の妻を持つ夫の性」に対する社会的な理解や支援は皆無である。夫の立場か らすると、妻の妊娠中から産後にかけては、セックスできない、したくても切り出せない 勇気を出して切り出しても断られる場合が多いため、そこから浮気や不倫に発展してしまうケースもある。「妊娠中に夫の浮気を防ぐにはどうすればいいか」という問いに関して、昔 から多くの回答書が出されているように、妻の産前産後は、実は男性のライフコースの中において、思春期と並んで最も性的にも精神的にも追い詰められがちな時期になる。自 分が「夫」から「父親」に変わっていくこと、パートナーが「妻」から「母親」に変わって いくことを精神的・性的に受け入れることは、実は容易ではない。
P47 セックスの快楽は、落差にひれウする。落差が大きければ大きいほど、快楽は高まる。不倫相手との初めてのセックスは、配偶者以外の相手という落差、セックスレスだった場合は時間的な落差、いつもと違う肉体・感触・匂い・空間という落差、タブー破りという精神的な落差など複数の落差の騒擾効果によってい背徳感と高揚感が高まるため、通常の性行為よりも圧倒的に強度が増す。
P79 一盗二婢三妾四妓五妻
自分にとって最も価値の低い女が他人にとっては最も価値が高い女になる、という点等がある。
P80 まとめよう。ここまで見てきた通り、不倫の問題は個人の道徳の問題、意志の弱さの問題 として片づけられるほど単純ではない。いけないことだと知りながら、それでも人が不倫へ 吸引されてしまう背景には、生物学的にも、歴史的にも、文化的にも、それなりに正当な 理由がある。人間は、男女を問わず、生物学的にも、心理学的にも、社会的にも、複数の相手ことができ、さらに複数の相手と愛し合うこともできてしまう生き物なのだ。
そして、現行の一夫一婦は構造上の欠陥を抱えている。こうした状況下での不倫は「する 側」にとっても「された側」にとっても、人間がその生涯で体験する中で、最も強烈で複雑、 蠱惑的かつ忌々しい性的体験になりうる。
P174 交際クラブで人気の出る女性の特徴を一言で 表せば、「OL以上、水商売未満」だと智子さんは語る。
P222 性的パートナーを共有することは、育児に似ている。2人のこどもを持つ人が、一人の子供を持つよりも「不誠実である」「子供に愛情をそそいでいない」ということはない。愛情は無限にわいてくるものであり、人数によって分割されるものでもない。
またこどもを育てる時は、以下リア不安、頑張りすぎ、絶望や孤独感にさいなまれれがちだ。しかし多くの人は、だからといってこどもを生み育てることをあきらめたりせず、そういった困難としっかり向き合い、育児を落として多くのことをまなんで、k「子供を産み育ててよかったという他のなにごとにも代えがたい満足缶を得ることができる。