- Amazon.co.jp ・電子書籍 (182ページ)
感想・レビュー・書評
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時代や世界を超えた「タテ」と「ミドリ」の物語。
中編2作。
1作目はふたりとも少女。2作目は両方若い男性(こちらのほうがなじみ深い)
「タテ」と「ミドリ(リョク)」はいつの時代も
どの世界でも出会って愛し合う
この人の世界観に慣れてきた事もあって
ちょっとお腹いっぱいかも・・・(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の話、水灯利と縦がすごく好きだった。
雪舟えまさんの恋愛小説はいつも人を好きになるっていうことの芯というか核というか、何も考えずに好きってきゅんとなっていた子供の頃の無垢な気持ちというか、なんか自分でも忘れていたけど心の1番奥にある大事なところに触れる。
きゅんと甘酸っぱくなる。
縦に愛されて幸福になれば、過去の私、も私を育ててくれた両親もその先祖もみんな幸せになる。幸せが世代や空間を超えて拡がっていく。そういう考え方、とてもいいなと思った。
幸せになりやがれ。でも、ずっと盾に執着していた緑が盾を介護するうちに、手塩にかけた盾が誰かを愛したり、愛されたりして自分とは別の新しい世界に出ていくのなら、そこに自分の功績があるのではないか。それならそれでいいじゃないか、って手放す覚悟すらしてしまうところは、本当に愛でしかなくて泣いてしまう。
すぐ忘れてしまうけれど、一緒にいることだけが愛ではない、過去になってしまってももらった愛はずっと行き続けている、だから無駄じゃない。そういうことを思い出させてくれる精神的に深い1冊。巡り会えてよかった。