彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? Wシリーズ (講談社タイガ) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ウォーカロンはここまで来ましたか。百年シリーズのロイディが改めて別の意味で可愛く思えるほどのロボット感の消失。人間とウォーカロンを見分ける方法が研究されるまでに人間らしくなってしまったウォーカロンが正直怖い。漠然と怖い。ウォーカロンは完璧に近い。その賢さが抑えられるほどに。欠陥が少ない。整っている。そして穏やかだ。人間の、人間らしさを示すところは何だろう。
    森氏ならではの哲学的な問いかけが面白い。Wシリーズ、期待大。現時点で自分がどの程度理解できているのか怪しいが、これからも振り落とされないよう注意しよう。

  • おもしろかった。
    何もかも淡泊で執着なく進んでいくのにどうしてこうもおもしろいのだろう。ウォーカロンとその陰謀がどう紐解かれるのかワクワクしっぱなしだった。
    ウォーカロンて名前カッコいいな。
    そこで着地なの?と思ったらシリーズがあと10冊もあるらしい。おぉう、そうなのですね。

    相も変わらず森博嗣のこの除菌されたような清潔な香りの漂う文章が綺麗で好きだ。叩いたら澄んだ高い音がしそうな。
    しばらく頭の中での考え事がそういう組み立ての文章になる程度には。
    ヒステリックな喧嘩が無さそうな世界も静かで居心地いいんだと思う。
    よくある人間のブレ、「この前言ってた時と違うじゃん!」な揺らぎが見えにくいのが好きだ。

    シリーズ物が多くてプラス巻数も多いので全部一巻目だけ読んで終わりになってしまっている。
    いつか読破したい。

  • ウォーカロンの存在、子供が生まれない世界、などのSF的設定が謎として示されて、読み進めながらこの世界を理解していく感じ。
    考えさせられる部分はあるものの、シリーズ化が前提で一冊の本としては完結できていないように感じた。

  • 2023.04.17.

    思った以上に面白かった!
    人間とwalk-alone 区別する必要があるのか、ないのか
    未来の世界として描いているけど、
    色々問われているような気がする。

    紹介文
    ウォーカロン(walk-alone)。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。
    研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。
    人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。

  • 小説内の世界は、さまざまな仕掛けがそれなりの説得力を持って描かれているし、物語の中で次第にそれが明らかになっていく過程も興味深い。巻き込まれ型のサスペンスSF的で気持ちよく読むことができた。

    ただ、この1冊だけについて言えば、舞台設定と登場人物の紹介だけをして終わった感じで、とても物足りなくて残念だった。全10巻読まないとわかないんだろうなあと思って、最後の頁を読んで呆然としてしまった。

    S&Mシリーズは夢中で読んだが、その後は何冊か読んで冷めてしまった。ミステリと思うから駄目だったのかもしれない(「百年密室」もミステリと思わなければおもしろかった)。どうしようか、迷いどころ。

  • ハギリとウグイだった頃の話だなあ。わかった上で読みかえしたので面白さ倍増かも。ウグイがバスの襲撃で死んだと思われた時、「真面目過ぎた。他の客に紛れていれば命まで失わなかったのに」という文が、ウグイっぽいなと思った。職務に忠実。

  • 【注:本レビューは,旭川高専図書館Webサイトの「私の推薦する本」に掲載した文章を,執筆者の許可を得て転載しています】

    これはもはやサイエンスフィクションではなく、既に世界のどこかで始まっていることかもしれません。
    医療、そして科学の発展により、人間が「死ななくなった」時代、次に社会が直面した問題は、人間が「産まれない」ことでした。
     研究者であるハギリ博士は、人工細胞で作られた生命体であるウォーカロンに纏わる研究を行う中で、奇怪な事件に遭遇したり、なんだか死にかけたり、え、海外ドラマですか?(あ、いや、個人の意見です。)的なアクションと、そんな博士の最強ボディガード、ウグイとの掛け合いが絶妙な、そんなミステリィ、と言わせてください。
     ハギリ博士が研究や事件を通して出会う様々な人間、ウォーカロン、そして人工知能やトランスファ、誰が「生きていて」、誰が「生きていない」のか?人間とプログラムの違いは何なのか?世界で、社会で、人間に何が起こっているのか?真相に迫っていくドキドキは、読めば読むほど、今後社会がどうなっていくのかじとっと考えさせられるシリーズです。
     本書の中で引用されているのは、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(フィリップ・K・ディック 著)」ですが、こちらを読んだことがある方は、きっと本書もぐさっと胸に刺さる(かもしれない)ことでしょう。
     作者、森博嗣先生は、「すべてがFになる」シリーズの小説をはじめ、他にも多くの小説やエッセイなども著されています。国立大学工学部の元教官らしい独特の切り口と癖のある言い回し、工学系あるある、やみつきになりますので、興味があればぜひお手に取って読んでみていただければ嬉しく思います。

    (技術創造部 長谷部和)

  • かなり久しぶりの森作品です。
    登場人物の会話のテンポが良くて、暇さえあれば聴きたくなって、、2日間で聴き終わりました。
    いかにも研究者の会話が耳心地いいです。調べたところ、このシリーズ続けて聴く前に、他のシリーズを読んだ方がいいとのこと。すべてがFのおさらいから始めます。

  • 人間とはなにか、について問題に挙げているSFを読むのは初めてで、面白かった。キャラクターも面白く、シリーズ物らしいので2作目以降も読みたい。

  • ミステリーと思って読み始めたので、予想とかなり違った。最初からSFとして読み返したい。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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