またやぶけの夕焼け (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • クレイジーなトラベラーとして数々の紀行文をリリースしてい
    る高野秀行が、(おそらく)自らの幼少期の体験を延々と綴っ
    た私小説的な作品。

    キャッチコピーによると、ジャンルは「青春小説」らしいのだ
    が、感覚的にはそれよりも随分前、男の子が思春期に入るか入
    らないかくらいの時期を描いたモノ。まぁ、かんたんに言うと
    都下(この小説の場合は八王子)に住む1960年代後半に生ま
    れた小学生が、毎日をどのように過ごしていたか?が、キッチ
    リ理解出来るホンワカ系。ほぼ同世代の僕としては、非常に
    共感度が高く、最後までしっかり楽しめたのだけど・・・。

    正直、女性とかの受けは悪いかもしれない(^^;)。
    男性なら、「ああ、あったあった、そんなこと!」というエピ
    ソードが満載で、ニヤニヤしながら読めると思うけど、さすが
    に女の子はなぁ・・・。ただ、作者はきっとそのあたりを全く
    ターゲットにしていない、というのも非常によく解る。そのあ
    たりの潔さ、決してキライじゃ無いです、僕は。

    そして、この人の文章は単純に面白い。それも、思わずプッと
    吹き出してしまうような言い回しを絶妙なタイミングで使って
    おり、読んでいて非常に楽しい。紀行文もいいけど、こういう
    作品でもしっかり真価を発揮できているのだから、この人の懐
    も結構深い気がする。

    ・・・なんかクワガタ取りに行きたくなってきた(^^;)。
    ノスタルジーに浸りたい同年代男性、ぜひ読むべし!

  • 辺境ノンフィクション作家として知られる高野秀行さんの自伝的小説『またやぶけの青春(集英社文庫)』読了。懐かしさを覚えながらあっという間に読み終えた。
    かつて田舎の少年たちは、誰もが秘密基地に憧れていた。
    裏山、宝探し、虫捕り、スパイ、〇〇軍団、アホ丸出しのウソ、女子への対抗心、少年たちは一見バカバカしい遊びに夢中になり、時に苦い思い出を残しながら大人になっていったものだ。
    ぼくが子どもの頃に流行った最も危険な遊びは地獄スキー。コンクリートの側溝を鉄板に跨って滑り降りる遊びだ。摩擦で火を噴きながら滑り落ち、落ち切った瞬間に猛烈な衝撃が股間にはしる。ほかにもローラースケート鬼ごっこなどもよくやった。すべて懐かしい想い出。ぼくもいつの間にかいいおっさんになったんだと思った。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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