いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3) (モーニングコミックス) [Kindle]

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  • 講談社
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  • いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3) (モーニングコミックス) 2015/10/23

    ロボット化が進んだいちえふ
    2017年5月6日記述

    竜田一人氏(仮名)による著作。第3巻。
    「モーニング」2015年13号、17号、24号、28号、31号、
    36・37合併号、41号、45号に掲載された作品を収録。

    年間被爆限度に達し一旦首都圏へ戻った著者。
    福島第一原発での体験記を漫画にするまでの過程を描いている。
    内容が内容だけに載せることに躊躇した雑誌もあったようだ。
    ただ漫画の世界はやはり売れた者勝ちなのだ。
    メディアからの取材や漫画の内容をどうするかなど当時のことを振り返っている。
    2014年7月に再び1Fに戻ることになった著者。
    急に仕事が決まる辺りは2012年と同様だ。
    1年以上たった1Fでの変化はロボット化が進んだことだ。
    被爆限度のある人間とは違いメリットが大きい。

    2012年に勤務していた時の同僚達も休憩所が閉まった関係でバラバラになった模様。
    ルームシェアしていた2人の内の1人は熊本県に帰り、もう1人はかなり日焼けしていた。
    (外での除染作業の為)

    ロボットをファミコン、ゲームのコントローラーで操作するのはちょっと楽しそう。
    米軍の無人爆撃機の勤務もゲームセンターっぽいと思った。
    それに似ていると思う。

    一旦漫画は中締めということでまた来ます!とのこと。
    継続して勤務しにくいのはやむを得ないが・・・
    少しずつでも廃炉に向け現場で働かれている方々には
    くれぐれもご安全に!と言いたい。

  • 福島第一原子力発電所労働記、待ちに待った3巻目です。
    2012年から2014年編。

    福島原発の作業員が漫画で現場の記録を残すのには、大変な勇気がいったことだと思う。
    デリケートな内容だから、批判も覚悟の上だったでしょう。
    しかし、世間が知りたいのは嘘記事ばかりの雑誌ではなく本物の体験談。
    私も、いちえふから実態を知ったといっても過言ではない。

    水素爆発当時のままの原子炉建屋を生で目の前にし、その横の突き出た大物搬入口にて、作業員の人達は現場待機をしているのだから、随分と体を張った仕事をされている。
    放射線量が低い場所で待機しているとはいえ、読者は作業員の体を心配せずにはいられないことと思う。
    とんでもなく危険な仕事をされているのが、よくよくわかる。

    遠隔操作のロボットたちをオペレートする様子や、どういった内部の作業をしているのか、かなり詳しく描かれている。
    作業の完了には、まだまだ時間がかかるわけで、今日も危険と隣り合わせで作業している方たちに頭が下がる思いです。

  • いちえふ=福島第一原子力発電所で働く作業員・漫画家の原発労働記である。
    竜田一人はペンネーム。漫画を描いていることがバレると働かせてもらえなくなるかもしれないため、名は伏せている(それでも、わかってしまう人にはバレてしまっているのだが)。

    これまで、比較的低線量の場所で働いていた著者だが、ついに、最前線に入る機会を得る。この巻ではその顛末と過去の回の裏話を。

    本作の長所は徹底した現場感覚と「普通の人」感覚が同時に貫かれていることだろう。
    作業員としてのポリシー・誇りを持ちつつ、でもやはり現場がどうなっているか知りたいよね、という感覚がある。守秘義務にあたる部分を回避しつつも、現場を知らない人が「あれ? それってどういうこと?」と思うであろうことを丁寧に拾って、コマ外に「ツッコミ」形式で解説する。
    もちろん、現場の本当の本当はそこに行かねばわからないだろうし、一方でまた全貌となると現場でもわからない部分はあるだろう。だが、やはり誰もが行けるわけではないところのルポを、なるべくわかりやすい形で残したところに本作の意義があると思う。
    そんな視線は、いちえふ内だけでなく、周囲地域に暮らす人々へも注がれる。
    完全な終結までには時間が掛かる。けれど、着実に前に進んでいる。
    この後、続編が描かれるかどうかはわからないが、本作はひとまず一区切りとなる。

  • 1Fの現状を正しく伝えている。
    どんな報道より、素晴らしい。

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著者プロフィール

大学卒業後、職を転々とし、東日本大震災後、福島第一原子力発電所の作業員となる。

「2015年 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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