いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3) (モーニングコミックス) [Kindle]
- 講談社 (2015年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (181ページ)
感想・レビュー・書評
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福島第一原子力発電所労働記、待ちに待った3巻目です。
2012年から2014年編。
福島原発の作業員が漫画で現場の記録を残すのには、大変な勇気がいったことだと思う。
デリケートな内容だから、批判も覚悟の上だったでしょう。
しかし、世間が知りたいのは嘘記事ばかりの雑誌ではなく本物の体験談。
私も、いちえふから実態を知ったといっても過言ではない。
水素爆発当時のままの原子炉建屋を生で目の前にし、その横の突き出た大物搬入口にて、作業員の人達は現場待機をしているのだから、随分と体を張った仕事をされている。
放射線量が低い場所で待機しているとはいえ、読者は作業員の体を心配せずにはいられないことと思う。
とんでもなく危険な仕事をされているのが、よくよくわかる。
遠隔操作のロボットたちをオペレートする様子や、どういった内部の作業をしているのか、かなり詳しく描かれている。
作業の完了には、まだまだ時間がかかるわけで、今日も危険と隣り合わせで作業している方たちに頭が下がる思いです。 -
いちえふ=福島第一原子力発電所で働く作業員・漫画家の原発労働記である。
竜田一人はペンネーム。漫画を描いていることがバレると働かせてもらえなくなるかもしれないため、名は伏せている(それでも、わかってしまう人にはバレてしまっているのだが)。
これまで、比較的低線量の場所で働いていた著者だが、ついに、最前線に入る機会を得る。この巻ではその顛末と過去の回の裏話を。
本作の長所は徹底した現場感覚と「普通の人」感覚が同時に貫かれていることだろう。
作業員としてのポリシー・誇りを持ちつつ、でもやはり現場がどうなっているか知りたいよね、という感覚がある。守秘義務にあたる部分を回避しつつも、現場を知らない人が「あれ? それってどういうこと?」と思うであろうことを丁寧に拾って、コマ外に「ツッコミ」形式で解説する。
もちろん、現場の本当の本当はそこに行かねばわからないだろうし、一方でまた全貌となると現場でもわからない部分はあるだろう。だが、やはり誰もが行けるわけではないところのルポを、なるべくわかりやすい形で残したところに本作の意義があると思う。
そんな視線は、いちえふ内だけでなく、周囲地域に暮らす人々へも注がれる。
完全な終結までには時間が掛かる。けれど、着実に前に進んでいる。
この後、続編が描かれるかどうかはわからないが、本作はひとまず一区切りとなる。 -
1Fの現状を正しく伝えている。
どんな報道より、素晴らしい。