若い読者のための短編小説案内 (文春文庫) [Kindle]

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  • 村上春樹氏が短編小説というものをテーマに読み解いていく一冊。取り上げられているのは下記6作品。
    吉行淳之介 『水の畔り』
    小島信夫 『馬』
    安岡章太郎 『ガラスの靴』
    庄野潤三 『静物』
    丸谷才一 『樹影譚』
    長谷川四郎 『阿久正の話』

    取り上げられた作品の個々の興味深さはさておき、(私は読んだことがなく、不勉強で取り上げられた作家たちもほぼ読んだことがなかった)
    どちらかというと、「なぜ小説家は短編を書くのか」というところを見出そうとする中でいくつかの作家と作品を取り上げている感じ。
    実験的で、とりとめもなく、時に捉え所もわかりづらい短編小説の、読んだあとのなんとも言えない感覚に対して、村上春樹的な答えを見出そうとしている。

    この本での解釈や指摘の正否はまったくわかりませんが(なんせ題材を読んだことがないので)、でも、「短編小説ってどう読むべきなんだろう」という疑問を多くの人が抱えていて、それに一つの答えを出す本があったのが嬉しい。
    それに加えて、書き手ならではの、文章への向き合い方みたいなのが読み取れて、面白かった。

    この本が書かれたのは90年代後半。もう少し文章との関わりが変わった現代なら、どういう形になるかな。
    思っていた内容とは少し違ったけれど、タイトル通りの内容だったと思います、読んでよかった。

  • まだ村上春樹の作品があまりKindleに入ってなかったときに、比較的早い段階でKindle化されていたので買っていた本。なんか紙の本にこだわりがあってのことかと思えば別にそんなことはなく、後にどんどんKindle化されていくのである。

    タイトルのとおりの短編小説案内で、紹介されている短編小説たちの多くがKindleでは読めず、現物買いに行くのもなあ、ってことでほとんど紹介されているものを読まないままで読み進めてしまった。
    それじゃあんまりよくわからないのは当然で、結局、単に村上春樹の文体を読む、くらいの読み方になっている。
    いずれ紹介されているものもちゃんと読もう。

  • 若くはないけど、読みました。(笑)
    本の読み方(感じ方)は、人それぞれで、決して一つではない。当たり前ですが。
    ただ今回、村上春樹氏はこうやって読むのかと、それを知れたのはなかなかに面白かった。
    取り扱い作品を、備忘録としてメモ。いつか読んでみたいかも。
    吉行淳之介「水の畔り」
    小島信夫「馬」
    安岡章太郎「ガラスの靴」
    庄野潤三「静物」
    丸谷才一「樹影譚」
    長谷川四郎「阿久正の話」

  • 村上春樹がアメリカの2大学での講義をもとに、日本の出版社でもディスカッションを行い、それを自分の文章でまとめた本。

    自分でも言っているように、研究者でも評論家でもないひとりの作家としての読書案内である、という立ち位置。

    作者の人生でどのような時期に執筆されたのかという情報から、「この作品やシーンを書くときにこういう意図を持っていたのではないか」という見解は面白かったけれども、その正当性は分からないので、あくまで「ハルキムラカミはこう思った」という部分に価値を感じて読んだ。
    短編という形式への向き合い方、比喩についてのくだりなど面白かった。

    いつもとは違うひらき気味の文章。端正でとても良かった。

  • 村上春樹の短編小説案内。やはり小説家の分析細かかった...勉強にはなりましたが、ちょっと難しかった

  • 【あらすじ】
    吉行淳之介をはじめ、戦後日本を代表する作家6名の短編小説を村上春樹が紹介する。アメリカの大学での講義をまとめたもので、村上氏の分析だけでなく、生徒との質疑応答も収録している。
    ***
    【感想】
    フィクションとはいえ、やはり作品には作家の人となりが投影するもの。作家の経歴にはさほど興味がないのだけれど、「著者がシベリアへ行かず日本に留まっていたら、この表現をしたのだろうか?」「裕福な家庭に育っていれば、展開は変わったのでは?」など、タラレバを考えながら作品を読んでみると、また新しい楽しみ方ができるのかもしれない。

  • 村上春樹が日本人作家の作品について語ることはあまり無いので珍しかった。そして知らない作品ばかりだったけど、村上節の解説を読む限りそれほど食指も動かず。

  • アメリカの大学でクラスを持った時にテキストとして取り上げた作品、
    吉行淳之介『水の畔り』小島信夫『馬』安岡章太郎『ガラスの靴』
    庄野潤三『静物』丸谷才一『樹影譚』長谷川四郎『阿久正の話』
    をもう一度あらためて読みなおした「私的な読書案内」と序文にあるが、
    説得力のある読解が胸にストンと落ちる良書。
    日本の小説と村上さんとの関係性についても同じく序文で語られている。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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