トロイメライ 唄う都は雨のち晴れ (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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  • 2019.8.5読了。
    トロイメライの続編。
    テンペストと同時期の庶民の物語。
    築佐事の武太やをなり宿の三姉妹はもちろん出てくるが
    旱魃や税に苦しむ名もなき人々の姿にスポットをあてる。
    1話は間切倒に苦しむ村に改善するために現れたはずの下知役は
    鬼のごとくにさらに農民を苦しめる。
    しかしそれを聞得大君が救うというラストには痛快な話。

    2話は三姉妹と漆の職人たちが腕を競うコンテストの話。

    3話は三姉妹の元へウフスーコーと言う年忌法要の節目の盛大な料理を一晩で作って欲しいと注文しておきながら、
    支払いの前に姿を消してしまった詐欺師の話。
    詐欺師は幽霊なのだが、なぜ幽霊がそんなことをしたのか真相を追い、解決するまでの根回しがお見事!

    4話は蛇皮の横流しを追う話。
    思いがけず大貫長老の弱みを握ったり、身分の高い家での宴会に潜り込んだり。そしてラストは黒マンサージと寧温!?

    5話では風水が琉球では生活環境学として必要とされていたことがわかるお話。
    風水師が村落を鑑定して村の設計図を作ることで生産性が上がるらしい。

    6話は森の奥で上布を織る女性と国王の夏着のための上布を探す役人の切ない恋の物語。


    読み始めは『テンペスト』のスピンオフ『トロイメライ』のさらにスピンオフ作品として軽くみていたけれど、
    琉球王国の庶民が苦しい税や旱魃で、生きるのも辛い貧しさが伝わってきて、良い作品だな〜としみじみ。

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著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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