ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
4.33
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 9
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (202ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • テクノロジーの進歩が推定無罪の原則を覆す(『ユートロニカのこちら側』ネタバレ書評1/2)
    http://hiah.minibird.jp/?p=2214

    人工知能によるヒトの馴化が穴居人の時代を終わらせる(『ユートロニカのこちら側』ネタバレ書評2/2)
    http://hiah.minibird.jp/?p=2215

    ***

    ハヤカワSFコンテスト第3回目の大賞作品。
    序盤はSFの深さをあまり感じなかったが(特にUIとか)、犯罪捜査に対する考え方や、「自由」にまつわる議論はおもしろかった。一般的に言われるAIの社会的影響(人間の仕事を奪ったり、人間の機会を奪うこと)について更に一歩踏み込んで書いており、思考実験の帰結としてユートロニカ(永遠の静寂)を導いていた。
    また、物語としてのシミュレーションまで落としこめていたのも評価すべき点。複数の立場の人々からの多重的な視点は、手法としてはあるものの、未来のシミュレーションとしてよく書かれていた。
    物語としてもう一度読みたいとは思わないが、1つのシミュレーションとして概要を把握できてよかった。なお物語の観点では、SFや世界観、事件よりも、人物描写をしっかり描いていたと思う。ここまで深く人物を描いていたと言う点は留意すべき

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で、「ハヤカワSFコンテスト大賞」を受賞し、デビュー。17年『ゲームの王国』で、「山本周五郎賞」「日本SF大賞」を受賞。22年『君のクイズ』で、「日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞。23年『地図と拳』で、「直木賞」を受賞する。

小川哲の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×