再発見 日本の哲学 吉本隆明 詩人の叡智 (講談社学術文庫) [Kindle]

  • 講談社 (2015年11月10日発売)
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  • <初めて明らかとなる吉本隆明の全貌>
    吉本の驚くべき「思索」の営為を、「詩作」の観点から照らし出す。
    つまり、巨人吉本隆明を、初期詩篇である「固有時との対話」から照射するのだ。
    この視座が、巨大な思想家吉本隆明の全貌を明らかにする。
    読後感は、「そうだったのか、吉本隆明!」だ。

    著者は、吉本の「詩作」に個の自由の根拠を見出す。
    そして、自覚的な「詩作」を行うための詩論が、独り歩きすることによって代表三部作(「言語にとって美とはなにか」「共同幻想論」「心的現象論序説」)が生まれた、と見る。
    詩を書きたいがために、詩の拠って立つ根底を明らかにする詩論が、それ自体巨大化して、近代日本で稀に見る自立した思想となっていく過程が良く分かる。

    自我の内部には、容易には統合しづらい抒情性と論理性の二面性がある。
    その両面性の統一は、アウトプットとしては、抒情詩と批評(哲学)の統一を意味する。
    その実践として生み出された普遍文学こそ、「固有時との対話」であった、と論ずる。
    難解な「固有時との対話」をこれだけで明快に語った評論はない。

    自然と精神の再統一という課題を、マルクスから見出し、宮沢賢治の方法論で達成する。
    通常詩人は特別視されるが、その詩人を一般的人間のモデルとするユニークな方法論。

  • 読み助2018年2月18日(日)を参照のこと。 http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2018/02/post-0343.html

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著者プロフィール

2021年5月現在
東京大学名誉教授。皇學館大学特別招聘教授。

「2021年 『幕末維新英傑伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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