- 本 ・電子書籍 (212ページ)
感想・レビュー・書評
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<初めて明らかとなる吉本隆明の全貌>
吉本の驚くべき「思索」の営為を、「詩作」の観点から照らし出す。
つまり、巨人吉本隆明を、初期詩篇である「固有時との対話」から照射するのだ。
この視座が、巨大な思想家吉本隆明の全貌を明らかにする。
読後感は、「そうだったのか、吉本隆明!」だ。
著者は、吉本の「詩作」に個の自由の根拠を見出す。
そして、自覚的な「詩作」を行うための詩論が、独り歩きすることによって代表三部作(「言語にとって美とはなにか」「共同幻想論」「心的現象論序説」)が生まれた、と見る。
詩を書きたいがために、詩の拠って立つ根底を明らかにする詩論が、それ自体巨大化して、近代日本で稀に見る自立した思想となっていく過程が良く分かる。
自我の内部には、容易には統合しづらい抒情性と論理性の二面性がある。
その両面性の統一は、アウトプットとしては、抒情詩と批評(哲学)の統一を意味する。
その実践として生み出された普遍文学こそ、「固有時との対話」であった、と論ずる。
難解な「固有時との対話」をこれだけで明快に語った評論はない。
自然と精神の再統一という課題を、マルクスから見出し、宮沢賢治の方法論で達成する。
通常詩人は特別視されるが、その詩人を一般的人間のモデルとするユニークな方法論。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み助2018年2月18日(日)を参照のこと。 http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2018/02/post-0343.html
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菅野覚明の作品





