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- / ISBN・EAN: 4547462100962
感想・レビュー・書評
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ローリングストーン誌の記者デヴィッド・リプスキーは作家デヴィッド・フォスター・ウォレスが自殺したと聞き、12年前の同行取材を振り返る。
ただただ二人の男が会話をするだけの映画。映画というより舞台演劇に近い。しかも起承転結もあるんだがないんだか。。。
でもそんな二人の会話がなんだかとても大事なことを話してるような気がして見入ってしまう。リプスキーが「この5日間の会話が人生で一番大事な時間だった」と最後に話すが、それが不思議と受け入れられる。
これ、実話らしいんだけど、二人の会話もどこまで本当なんだろう?
見る人を選ぶ映画ではあるが、これは名作の一つであると思う。
邦題は言いたいことは分からなくはないが、コメディ映画へのミスリードになっててちょっといただけない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2008年に自殺した作家、デヴィッド・フォスター・ウォレスのブックツアーの同行取材をもとに描かれた映画。
内容が素晴だけに、この邦題とパッケージデザインが残念すぎる。
エンドロールで流れるTindersticksによるペイブメントのカバー「here」が作品とマッチしており心に染みる。
”俺は成功するために着飾っていた
絶対来ない勝利のために
おまえの下らないジョークに
笑ってやるのは俺一人
おまえのジョークはいつも最低さ
でもこれほどじゃない
俺たちと一緒に祈ろう
待っているから、ここで待っているから
ここで何もかもが終わるのさ
おまえが投げてよこすからっぽのいろいろを
俺はしつこく打ち返していた
それは見上げる額に降って来る
あまりはっきりし過ぎて命中しないけど
最後のひとときは当てもなく過ごそう
もう一度だけ異界に行くんだ
稚児と奴隷の肖像画
下らないジョークに笑うのは
彼らだけ
そのジョークときたらいつも最低
彼らはスペインの蝋燭を全部売ったのに
”” -
☆☆☆☆映画として見ごたがあるかと云われると、高い評価は得られないかもしれないけど、
ウォレスとリプスキーの会話が、繰り返されることによって2人の人物像が浮かび上がってくる様に仕上がっている。
映画を観ながら、大学時代に友達2人で2週間北海道を旅行したときのことを思い出した。朝から晩まで、2人で電車の中、北海道の長い道を歩いていると、仲の良い友人であったのに気まずい雰囲気に陥いり、残り10日を残して別々の行動をすることになったことがあった。
ウォレスとリプスキーも、それぞれに大切しているものに、他者が近づいたことで機嫌を損ね、気まずい関係が続くところがあったが、5日間ほぼ2人っきりで過ごすという期間はそれをも修復し、より深いものにすることを可能にしてくれた。それは、このままこの男と“この距離感のままで別れたくない”という修復を試みる何かを感じたからなのだろう。
リプスキーがツアーインタビューのなかで、記事にするために、読者にの知りたいウォレスの隠された部分(ドラッグの常習や恋人の事等)を探ろうとする何度かの質問に対して、それまでは、デヴィッドの真の姿を伝える反応は得られなかったが、
今日でリプスキーとのツアーインタビューが終了するという時、ウォレスがぼそぼそと囁いた言葉
『燃えさかる高層ビルから人が飛び降りることがある。強くないからじゃない、そこにいるほうが悲惨だからだ。どれほどの悲惨さだと思う? 死のダイブが逃げ道に思えるなんて。』
『心を病むというのはどんなケガよりもツラいんだ。大昔なら魂の危機とでも言ったかも。
人生の命題がすべて偽りと悟ったような空虚な感覚だ。何もかも幻想なんだ、幻想の中では自分は誰よりも優れている。でも人として機能できない。最悪の気分だ』
『人はきっと変われない、昔と同じ自分が残っているから。 主導権を奪われないように抵抗している』
これが、リプスキーのなかにウォレスという人物像を創り上げて、5日間にみたウォレスを肉付けしていった。
役者に語らせる言葉が、監督のメッセージである作品は多い。そして、私はこのメッセージを理解したときが映画を観て良かったと感じる瞬間だと思っている。
2016/05/06 -
しゃべるだけのシーンが続く映画なんだけど、じわじわと孤独と苦悩が浮かび上がってきて沁みる。