世界の誕生日 (ハヤカワ文庫SF) [Kindle]

  • 早川書房 (2015年11月25日発売)
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みんなの感想まとめ

多様な世界観が織りなす濃密な物語が展開され、読むほどに生きる意義や喪失感といった深いテーマに触れることができる作品です。言葉のない部分にまで生気が宿り、読者はその世界に引き込まれます。特に「失われた楽...

感想・レビュー・書評

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  • 前半は男女比が極端だったり結婚を成立させるのに4人必要だったりする社会を描いた思考実験的短編が続く。思考実験SFというとつい思い浮かべてしまうのはテッド・チャンなのだけれど、チャンの小説はきれいな数式みたいな感触があるのに対して、ル=グィンの小説は奇妙に生々しい。ひとの肌のにおいがする。

    「孤独」は別のアンソロジーに入っていたので再読。アンソロジーに収録されるだけあって独特だし味が濃い。COVID-19のため多くの人間関係がネット越しになってしまったこともあり、大人同士が直接交流しない社会がより現実味を帯びて現れてきた。子どもが自分を持って大人と対峙できるようになるのは清々しい。

    最後の中編は映画で観たいような宇宙ドラマだった。ちょっと乙女かもしれないけどあのオチはやっぱりよい。閉鎖空間で社会はどのように変わっていくかというのが主題なんだろうけど、それはそれとしてね、幼馴染のふたりっていうのに憧れがあるんですよ...

  • 一日読んでも15分というペースで、4ヶ月くらいかかった気がする。
    いくつもの世界に入り込むことになり、どの世界もあまりに濃密で、言葉のないところには、吹く風や日差し、自制や懊悩や決意が──世界そのものが存在していて、生気が溢れているので、読書は力を要することになる。

    「失われた楽園」が最も好きだな。生きる意義がテーマとしてとっつきやすいからだろう。最後の一遍なので、読了後の記憶に新しいからかもしれないが……。

    ル・グィンの世界を解体する目は本当にすごい。ミックスジュースからそれぞれの果汁を取り出してみせるみたいだ。
    この目が遠くへ行ってしまったことを、「喪失」というのだろう。

  • ある意味、ハードSFの極北だった。安易な翻訳や言い換えを許さない文章なのだろう。火を知らない人に火を言葉のみで説明する試み。
    たまたま読み始めに作者の訃報を聞いたけど、読了するのに三週間ほどかかってしまった。かなり休み休みでないと読めない読体力の乏しさや如何。

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