何者(新潮文庫) [Kindle]

  • 新潮社 (2015年7月1日発売)
3.73
  • (131)
  • (256)
  • (217)
  • (32)
  • (9)
本棚登録 : 2511
感想 : 271
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・電子書籍 (272ページ)

みんなの感想まとめ

就活を通じて自己を模索する大学生たちの物語が描かれています。彼らはSNS全盛の現代において、表と裏の自分を持ちながら「何者」かになるために奮闘します。登場人物たちのリアルな心情や葛藤は、多くの読者に共...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 就活に臨む大学生の話。かれらは「何者」かになっていくために自己に対する模索を続けています。SNS全盛の今の就活事情、人間の表と裏を鋭く切り取っていてリアリティーがあります。私個人の話ですが、学生時代様々なバイトをしてみて、ダメダメでした。幸い、たった一つだけハマったものがありました。だから就活はこの業界しかないなと吹っ切れました。でも、バイトながら凄く大変な世界だろうなぁということは察することができました。されどこの仕事でがんばらねばならぬ。もう、相当な覚悟で勉強しました。「何者」かになるために。
    内定をもらえたときには、やっとスタートにたったんだと安心と共にプレッシャーがおそってきたのを思い出しました。結局、「何者」かなんて就活の時点ではわかりませんでした。何で採用されたのかもわからない。登場人物の負の感情も共感できました。
    就活と学業の両立で慌ただしく毎日は過ぎました。どうせ受からないだろうとも思っていたため大学でとれる資格を全てとってやろうと思っていたためです。
    本書はそんな時代の自分を思い起こさせてくれました。そして、もういい加減にしなさいと思いながら自分が「何者」なのか探り続けています。

  • 「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」
    就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす。
    -------------------------★4に近い3
    直木賞受賞作 若手作家の 朝井リョウさんの作品。お初です。
    冒頭から、若者の生きている時代感が満載で、少々ついていくのが大変なのだが
    だんだんと慣れていくことはできた、多用されるSNSのつぶやきが挟まれていき
    彼らの押しつぶされそうな現実を直視せざるを得ない感覚。
    少々辛くなっていくのだが、その極みは終わるにつれて、どんどんどんどん大きくなる。やがて、主人公拓人は理香に自分というものを、決定的に暴かれることになる。。。かなり鋭く現代の若者の心情を表現したんじゃないかなって思う。
    たぶん、この主人公たちと同世代の今の若者にとっては、「ぐさっ!ぐさっ!」っと
    心をえぐられたのではないだろうか。是非読んでみてください。

    余談ですが、三浦大輔さんの解説もおもしろかった!
    朝井リョウさんの解説がおもしろいので、ご本人は誰を選んで解説をお願いしたのかな?と興味津々でした。

    • かなさん
      この作品も読みたいんですけどねぇ…
      なかなか手が回りません(;'∀')
      そうそう、就活のお話といえば
      浅倉秋成さんの「六人の嘘つきな大...
      この作品も読みたいんですけどねぇ…
      なかなか手が回りません(;'∀')
      そうそう、就活のお話といえば
      浅倉秋成さんの「六人の嘘つきな大学生」は
      すごく面白かったですよ♪
      2024/11/27
    • ぴこさん
      かなさん。こんばんは。
      読みたい本だらけで、積読だらけで。。
      頭では読みたいんだけど、身体が足りませんね。
      ゆっくりゆっくり。そのうち読みま...
      かなさん。こんばんは。
      読みたい本だらけで、積読だらけで。。
      頭では読みたいんだけど、身体が足りませんね。
      ゆっくりゆっくり。そのうち読みましょう。

      お勧めありがとうございます。
      メモしておきます!
      2024/11/27
  • やったことないから皆目わからないけれど、就活って辛そう。とてもじゃないが自分には無理だな。
    しかも現代のSNS全盛世界。
    人と人との繋がりはSNSを抜きにしては、ほとんど何も語れないほど。
    表のアカウントの綺麗事と、裏アカのドロドロとした本音。

    こんなにプレッシャーとストレスのかかる世界に彼ら、彼女たちは生きていて、傍目には報われない努力にも見える就活で神経をすり減らしているんだ、と思うとなんだか不憫にもなる。

    とはいえまだ何者でもない彼らが、必死に自分が「何者」であるかを証明できたとして、それで何か幸せになる近道や保証ができるわけでもなく。

    人生は辛く厳しいよなあ。

    仲が良い友人のように見えて、その腹の中では内定をもらう苛烈な競争、いうなればみんなライバル、ともすればはっきり敵、という関係。言葉尻に悪意や嫉みや妬みや羨望が見え隠れするこんな集まりに参加したくはないけれども。
    ほんのちょっとだけ、彼らの若さというか稚さが羨ましくも思った。

    NANIMONOという裏アカで周りを冷笑していた拓人の姿が最後に明かされて、痛々しく思ってた高良よりもさらに輪をかけて痛かったという事実、なるほどこれはしんどいな、それとこの作者の綿密で周到な仕掛けに戦慄した。

  • 自分が就活してた頃、とある企業の説明会に参加した時に一緒に参加していた受験者の子が一生懸命質問してる様子を見て、『何でそんな出しゃばってるの?』と私は心の中で笑っていた事を、理香の言葉を聞いて思い出した。
    本当は興味あるのにないふりをしたり、恥をかくのが怖いから思ってもない言葉で保険をかけたり、
    就活生じゃなくても実際そういう場面はたくさんあると思う。
    でも、主人公は裏アカウントで毒を吐くことによって自分を保ってた訳で、それはそれで別にいいんじゃない?って思ってしまった。
    見つかってしまったのが予定外って思ったけど…。人間そんな綺麗な生き物ではないです笑

  • 就職活動に懸命になる大学生ら男女の物語。
    私は年齢的にも時代的にも、違うので、前半は特に面白く感じなかったのだけど、後半のリカの反撃には、なかなかの爽快感があった。

    皆んなの前では大人しいフリをしながら、Twitterの裏アカでは、仲間を高い場所から俯瞰しているように批判する。馬鹿にする。見下す。否定する。
    今の時代だったら、普通にありそうな話。
    裏アカだからこその、心の本音。
    でも、意外とそういうのって人に見透かされるもの。
    私も若い頃は、そういう風に人を俯瞰して見下すような傾向にあったと思う。
    裏アカで同じ事をしていたかもしれない。
    でも、大人になった今となっては、そういう事自体が品の無い行為で、自信の無さの表れで、みっともないことだと分かる。
    人の生き方をジャッジしない、人の選択を否定しない、なるべく沢山の考えの違いを受け容れる、そういう大人になりたい。

  • 就活とTwitterを交えた現代的な小説。
    自分の就活時代も思い出して、少しゾッとする。内定企業先の知名度によって、その人の価値まで評価されてしまうような感覚。
    人生がうまくいっているように見える身近な存在にほど、嫉妬心を抱いてしまうドス黒い感情。

    企業側も変にプライド高い学生よりも、純粋で素直な学生をとりたいよなとも思った。

  • 【あなた自身を1分間で「表現」してください】
    とにかく『何者』というタイトルが秀逸だなぁと。「何者」にもなりきれていない人たちが、自分が「何者」かであることを周りにアピールするんだもんな、就活って。就職したからといって、「何者」かになれるものでもないと思うけど。所詮、自分は自分にしかなれないのだ。よそゆきの自分をアピールして勝手に合否を判断されるのが、就活というものなのだけど、落ちるたびに、自分を全否定された気がして、自己肯定感ダダ下がりだし、結構残酷で不思議なイベントだな。嫌でも周りの同級生と比較しちゃうし、他の人の内定が素直に喜べないのは正直共感できる。

  •  就活生たちの青春群像劇かと思いきや、さにあらず、どろりとした沼へ突き落とされるような感覚になりました。

     特に、自然とそうなってしまうのですが、拓人目線で読むとかなり痛い目にあう物語だと思います。特大のブーメランが返ってくるので・・・。

     個人的な話ですが、先日、本書で読書会をしました。一時間半かけて本書や映画化作品、スピンオフ作品について語り合いました。
    色んな話が出たのですが、キーワードはやっぱり「想像力」だとなったことは、印象的でした。

     自分が就活生のときに読んでいたら、もっと違う進路になったのではないだろうかと思ったりしましたし、2012年の作品ですが、今のこのSNS全盛期を象徴するかのようなシーンも多くて、今読んでも面白いと思います。

  • 叶わない、失敗、人に見られたくない心の裏側、などなど。
    就活に追われた大学生を介して生々しい痛みが描かれた作品。

    自分はこの登場人物たちのように、猛烈に駆られるような経験をせずに社会人になったので、最初こそ俯瞰して読み進めていましたが、最後に主人公の本性が見抜かれたシーンは他人事と思えなかった。読んでいてしんどいなと思いました。そういう人いるよね、では済ませることが出来ませんでした。

    なるべく正しく、上手く生きていけるようにしている中でも、きっと誰にでも歪んだ部分はあって。
    でもそれを見ない振りして格好つけるのか、恥ずかしくてダサくても、それが自分だと思うことができるのか。

    色々考えさせられました。
    いい意味で、もう読みたくないです。

  • 自分が何者なのかを常に考えてた時期は、人生で一回くらい通る道なのではないかと思う。

    「本当の自分はもっとできる」「あの人よりは優れている」だとか、人との会話でもその人より上か下か判別したり、相手の行動を蔑むときもあったかもしれない。しかも、自分の行動を棚に上げて。さらに、そんな周りを冷静に分析して、俯瞰的にみれる自分がカッコいいという自尊心にとらわれながら。

    そんな人間の根本の心情に優しくそして、重く気付かされる作品。

  • 大学の就活生達の話。

    就活、あたしも嫌な思いしたなぁ、、
    就職氷河期だったのもあってまったく決まらない。次々と周りは、受かる子は受かっていく。
    自分だけ取り残されていく焦燥感。
    なんで自分だけ?自分のダメさに心が折れていく。
    あたしもこの時嫌な感情がすごくあった。
    観察者って他人目線だから楽だよね。
    逃げたくもなる!

    拓人目線で観ていたし拓人の気持ちで
    読んでいたので里香の最後の言葉達に
    ジャブ!ストレート!ボディ!
    ボコボコにされました。

    惨めだね、でもカッコ悪くても最後自分を出そうと努力する拓人に拍手を送りたくなりました。

  • 「正欲」から朝井リョウさんが気になっていたときに書店でたまたま見かけたので読んだ

    一言で言うと面白かった
    この方の作品は私たち、特に思春期からずっとネットが傍らにあった世代、もちろん私たちよりもっと下の世代にも「刺さる」のだと思う
    ネットを通して自分とはかけ離れた価値観に触れたときに感心する人もいれば拒絶する人もいて攻撃する人もいて、そういうとき心の中にある醜い自分、否定したくなる自分を暴かれた感じ。
    作品ではネットで取り繕う人とネットでこそ素を現す人が出てくるけど、そのどちらを見ていても「痛い」自分を暴かれた気がして苦しい。
    みんな作中の光太郎になりたいし瑞月さんになりたいけど、現実の私たちは拓人であり理香であり、あるいは隆良やギンジなんだと思う

    でもこの苦しさが癖になる。
    あとタイトルが毎回秀逸すぎて、内容と繋がった時ひっくり返りそうになる。
    他の作品も読みたいな

  • 「あんたは、誰かを観察して分析することで、自分じゃない何者かになったつもりになってるんだよ。そんなの何の意味もないのに」

    痛い痛い痛い
    語り手である主人公に自然と感情移入して、無自覚に彼の価値観を当然正しいものだと思い込みながら読んでいたら、突然外側から主人公を貫通して自分に刃を突き立てられたような、そんな痛い目に遭った。こんな仕打ちがあっていいのか。
    この手の小説に珍しいちょっとした叙述トリックのようなものも楽しい。
    ん〜、でもオチがなんかなあ〜。無理して何者かになろうとするのを諦めて、プライドを捨てて、等身大で向き合うっていう心境の変化みたいなものを描いているんだろうけど、この独りよがりさ、ちょっと気持ち悪いと思ってしまった。
    何者かになるのも、何者でもないのも、苦しい。そこに救いはあるんだろうか。

  • 人生における就活って何なんだろう?就活の正解って何なんだろう?
    複数の企業から内定を得ること?早くに内定を決めること?などと考えながら読んでいました。

    最後の30ページに主人公である拓人の心の中の闇というか、心の奥底に眠っている化け物みたいなものが出てくるのが非常に読んでいてハラハラしました。

    仲間意識のようなものを持ちながらも他人の成功を喜ぶって難しいことだと感じました。そのようにして他人との関係を通じて自分が「何者」なのか知っていくのかなとも思いました。

  • 「観察者」という単語が心に残った。自分も身に覚えがある。何事も綺麗にスマートに物事を進めていこうとする傾向が自分にもある。もっと泥臭く生きていくことも大切だと痛感する。

  • 最後はある意味どんでん返し。
    決して荒唐無稽なストーリーではなく、現実にありふれている就活時の情景。その人間心理を、SNSを絡めて丸裸にした感じ。終盤は心をキリキリさせながら読みました。登場人物の言葉に印象的なものが多かったな。


  • グサグサきた。

    今まで理香のようなひとをずっと心の内でバカにしてきた。
    いつでも明るく、やりたいことに真っ直ぐで必死になれる人。
    だけどそういう人のことを、どこかで羨ましく思う自分にも気付いていた。

    頑張れない自分をうまく受け入れることができず、失敗しないように保険をかけている。
    そんなんだからいつまで経っても自分のことを認められず、誰かをバカにすることでしか自分を保てない。
    誰が読んでも自分を省みれる一冊。
    作者にまんまと誘導されていく感じが、ラストはもはや心地良くて笑ってしまった。

    あまり読んでこなかった朝井リョウさんの話題作(それこそ天邪鬼で)、もっと手に取ってみたいと思えました。

  • インターネットに企業の裏情報や就活ノウハウが溢れ、就活生自身も日々SNSで状況を短く発信していく。そこでは、人からこう見られたいという見栄や願望、自己防衛本能の裏返しの自虐や誹謗中傷が飛び交っている、というのが最近の大学生の就活状況らしい。

    本書は、SNSでの呟きを織り混ぜながら、主人公、二宮拓人の視点で大学5年生4人(いや5人かも)の就活を通した交流が描かれている。お互いライバルであり同志、という微妙な関係の4人繰り広げる就活&恋愛事情。

    それぞれ紆余曲折有りながらも何とか内定にこぎ着けるのかと思いきや、なんとラストに大どんでん返しが! 読み終わってみれば、拓人の心の闇がテーマの割と重めの作品だった。まあ、自分に自信が持てなくて斜に構えてしまうことって、程度の差こそあれ多くの人に有るんじゃないかな。読み終わってちょっとドキッとした。

    なお、理香の独りよがりのアピールでは,内定を取るのがかなり難しいだろうな。おそらく採否の基準は面接官が一緒に仕事をしたいと思うかどうかだろうから。

  • 主人公に感情移入して読めば読むほど大火傷を喰らう作品。
    理香のプライドも理想も高いがそれが現実に追い付いていない姿が非常に滑稽で、なんて安心して下に見れる女なんだと嘲笑いながら読んでいた。なので主人公がいつ理香に現実を叩きつけるのかしらとワクワクしていたら、まさかの理香に現実を叩きつけられた。
    深淵を覗く時深淵もまたこちらを見ている状態だったとは本当に驚いた。

    メアドとリンクしてる方を本音垢にするのはさすがに自己承認欲求がすぎるだろとは感じたが、こっそりと自分だと気づいてほしい気持ちが見え隠れしているところが共感できてしまいもどかしい。
    他人の言葉はバカにするが自分の言葉は何か特別な意味を持っている気がするところとか刺さって仕方がなかったので理香の言葉のナイフが鋭すぎた。バカにしていた分100倍で返された感じだった。

    取り敢えず動いてみないと始まらないということを教えられた作品だった。胸が痛い。

  • 就職活動中の男性主人公の目線で、同じく就職活動中の男女のグループ、それぞれの人間模様を会話やTwitterの書き込みから描く作品。
    何気ない日常であるのだが、人には普段見せる面と見せない面があることを再認識させられる。
    でも、どちらの面も総合してその人。
    それを理解して生きていく必要があると改めて思った。

全208件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、21年『正欲』は第34回「柴田錬三郎賞」を受賞し、どちらも映画化された。作家生活15周年記念作品『イン・ザ・メガチャーチ』は第9回「未来屋小説大賞」を受賞した。その他著書に、『どうしても生きてる』『時をかけるゆとり』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『生殖記』等がある。

朝井リョウの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×