書記バートルビー/漂流船 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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  • ■1011。一読。2022年03月21日。

  • 帯にある、メルヴィルがアメリカ最大の文豪かどうかだけど、この2編は大変面白く、訳も読みやすい。漂流船は一気に読ませる中編で、とても臨場感あふれる作品。バートルビーは不条理な作品でミステリアスな内容のなかで、読後のもやもや感がたまらない。白鯨も未読なので、評判の岩波の方で読んでみたい。

  • 大学時代から読もうと思っていたバートルビー。ついに読了。多くを語らないバートルビーだが、最後にこれまでの経歴が明らかになり、なぜあんな陰鬱とした雰囲気や言動を醸し出していたのか、少しだけ理解できた気がした。

  • 白鯨しか読んだことがなかったメルヴィルの中編。この2作も謎めいている。特にバートルビーの虚無な存在は強烈に印象に残る。

  • 緩慢な自殺というべきか無言の抵抗というべきか。あらゆる要求を拒否するバートルビーの姿、言動には何かしら考えさせられるものがある。
    そして漂流船、超一級のサスペンスではなかろうか。
    読み手の先入観を巧みに利用した手に汗握る展開と、
    固定された視点による後味の悪い結び。
    一度読んだだけで心にひっかかって残ってしまう。

  • 『書記バートルビー』
    バートルビーという男はいったい何を表しているのだろう?と思考がさまざまに巡る読書だった。
    労基法的なものを厳守し給料内の職務のみを愚直なまでに敢行しているのか、資本主義社会や労働のありようといった『常識』とされているものに異議を唱えているのか、心疾患なのか、障害者雇用もしくは引きこもり無職の風刺なのか……と考えているうちに、ラストで『デッド・レターズ(配達不能郵便物)』と一応の解が示される。最後の最後にますますアレゴリー色が濃厚になる上、巻末の解説を見ても腑に落ちるような回答は得られずにいるが、とりあえず彼はデッド・レターズなのだ。
    バートルビーは主人公の在所宛に「人に伝える使命を抱きながら」送られてきた手紙であるが、正しく開封されることはなく、配達不能郵便物として「墓場」へ捨てられる。主人公がこの手紙を受け取らなかったのは別人向けの宛名など宛先不明であったからか、すでに救われない状態であったからか。
    キャラクターとしてはニッパーズがおもしろかった。

    『漂流船』
    黒人は奴隷として黒人・白人双方で売買され、白人水夫や白人の奴隷所有者は当時の社会で常識とされている職務を行なっている。
    デラーノは黒人を当たり前のように劣った存在と見做し、犬と同列に好感を抱いている。この価値観は現代の我々が何らかに対して有している「常識」と当たらずといえども遠からずなのではないだろうか。50年、100年後の人間の目には、現在の我々の常識もこのように映るのだろうと思うと、本書で描かれる彼らの様子を過去のものと安心することは難しい。

    冗長な一人称小説は好みではないのだが、スペイン人船長がなかなか握手を離さないかと思えばボートに飛び降り、それに白人水夫が続くシーンのスピード感はよかった。

  • すべてを丁重に拒否。
    パンク小説。

  • この物語を読むきっかけになったのは、ある漫画だった。
    だから読み出した始めは、頭の中で動き出す人物たちが皆そのイメージから離れなかったが、物語が進むにつれていつしか漫画の趣は消え、光線を帯びた人間として舞台を織り成していく。

    弁護士である語り手が、書記として雇ったバートルビーという青年の人生と人柄を、自身の心情を豊かに綴りながら物語が作られていく。
    独白であるから、主人公の心の動きが細やかになぞられていく形になる。
    それだけで、まるで花弁を静かに開いていく様を思わせる。

    初めは弁護士や他の雇用人、言ってみれば社会的な観点からすれば「普通に」仕事をこなしていたように見えたバートルビーであったが、徐々に彼を取り巻く人々との間に奇妙な問題が浮かび上がってくる。
    最後に主人公はバートルビーの僅かな過去を追い、彼を解釈しようとするが、謎だったものがさらに深い謎となって、物語の幕が下りる。

    物語としては短いが、人間の複雑で未知の部分を簡潔に表したものだと思う。
    どんな人が欠けても、人間の良さを本当には感じることが出来ない。
    そんな気持ちにさせてくれるいい物語だと思う。

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著者プロフィール

(1819年8月1日 - 1891年9月28日)ニューヨーク出身。著作は代表作『白鯨』の他、『代書人バートルビー』『ビリー・バッド』などがある。

「2015年 『白鯨 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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