おかしの家 DVD-BOX

出演 : オダギリジョー  尾野真千子  勝地涼  嶋田久作  前野朋哉  八千草薫 
  • TCエンタテインメント
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474170659

感想・レビュー・書評

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  • 2015年10月から12月にTBS系で放映された1話30分の深夜ドラマ。


    経営状態が苦しく月に4万円の売り上げしかない東京・下町の駄菓子屋「さくらや」を舞台に
    大切なものを見失っていた人たちが
    「さくらや」でのまったりした日々を通して少しずつ再生していく様を描いたストーリー。

    監督・脚本は、史上最年少でブルーリボン賞(映画「川の底からこんにちは」2009年)と、日本アカデミー賞最優秀作品賞(映画「舟を編む」2013年)を受賞し、
    今最も注目されている若手監督の石井裕也。


    これ、好きだったな~。
    石井監督がテレビドラマを手掛けると聞いて、ずっと楽しみにしてたけど、
    毎週ほんとに心地いい世界観で、
    友達の死と祖母との別れ、あと猫裁判の話以外は
    なんてことのない日常の話が続くのだけれど、
    最終回を見終わったあとしばらくは
    「おかしの家」ロスから立ち直れなくなるほど脱け殻になったし(笑)。


    まるで古い映画館の甘い闇の中、
    スクリーンを観ているかのような
    ノスタルジックでやわらかな映像。

    役者たちが織り成すのは何気ないセリフなのに、
    そのすべてが胸の深いところに沁みる。


    33歳の主人公・桜井太郎は両親を早くに亡くし、
    祖母・明子が営む経営状態の苦しい駄菓子屋「さくらや」を守ろうと奮闘しているがなかなか上手くいかない。
    「さくらや」の裏口にある空き地には
    常連客たちと一緒に駄菓子を食べては
    たわいもないお喋りができる「憩いの場」があって、
    太郎たちはそこに毎日集まり、何にも縛られることのない少年時代のような生活を送っていた。

    そんな中、離婚を機に5才の息子を連れて地元に戻ってきた太郎の幼なじみでシングルマザーの礼子と再会し、
    太郎の日常は変り始める…。


    キャストは桜井太郎役にオダギリジョー。

    おばあちゃん子である太郎の祖母・明子には八千草薫。

    太郎の幼なじみでシングルマザーの木村礼子に尾野真千子。

    太郎の幼なじみで脚本家志望の三枝には勝地 涼。

    近所で銭湯を経営する島崎に嶋田久作。

    落ちこぼれ勤め人の金田に前野朋哉。


    まるで映画を観たかのような綺麗な映像と
    無くしてはいけない大切なものや
    儚く消えていくものへのレクイエムを描いたストーリーだけでも感涙ものなのに、
    監督やスタッフの素晴しさは勿論だけど、演じる役者たちがほんといい演技を見せてくれた。

    オダジョーは泣きの演技が上手い。
    テレビで八千草薫が毎週観れるだけでも贅沢極まりなかったけど、
    オダジョーと八千草さんとの絡みには毎回泣かされました。

    あと、シングルマザーを演じた尾野真千子が太郎にトキメキを覚えながらも
    シングルマザーはアイドルと同じく恋愛禁止だと自分に言い聞かすシーンや
    早朝、橋の上で待ち伏せして夜間工事帰りの太郎にお弁当を渡すシーンは
    こぼれ落ちるほどの切なさと恋情が伝わってきて、心に残った。

    他にも藤原竜也が太郎の同級生で年少1億のIT社長として登場する話では、
    どんなにお金があって名声を手に入れたとしても、
    「無くしてはいけないモノ」が人にはあって、

    「本当に大切なもの」に気付くには、
    何かを考える時間が必ず必要で、
    大人であっても「さくらや」のような憩いの場にときに集まり、
    たわいない時間を過ごすことは決して無駄なんかじゃないことを教えてもらった。


    藤原竜也扮するIT社長の粋な計らいで
    太郎と祖母・明子が銀座のレストランに行くシーンも心があったかくなったし、
    (おめかしに時間をかけるお婆ちゃんが可愛い)

    天使に噛まれ天使の声になった太郎と三枝のシーンの
    ファンタジックでド・シュールな展開にもニヤリとできたし、

    太郎を思う祖母・明子の決断と
    老いから目を背けた太郎との対比。
    最終回、お互い出世し、変わってしまった太郎と三枝との友情のシーンも
    どうにもやるせなく切なかった。


    様々な出会いや出来事を経て
    自分自身と徐々に向き合い、
    やがて大人へと変わっていく太郎が嬉しくもあり、切なくもあり…。

    大人の生きづらさ、子供の苦労、お金の大切さ、夢を追うリスク、理想と現実、友情や結婚、突然降りかかる見知らぬ悪意、死や老いについてなど、
    登場人物たちに自分を重ね
    いろいろなことを考えさせられた本当に良質なドラマだった。


    低予算の深夜ドラマながら、
    毎回ヨダレたらたらだった
    フードスタイリストの飯島奈美さんの作る日常を彩る料理や
    緻密過ぎるくらい緻密に作られた昭和の匂い漂う背景や
    リアルな駄菓子屋のセットや小道具にも要注目。

    また主題歌であるRCサクセションの『空がまた暗くなる』が
    物語のテーマとあまりにもピッタシで
    毎週エンディングで涙腺崩壊でした。


    おとなだろ 勇気をだせよ
    おとなだろ 知ってるはずさ
    悲しいときも 涙なんか
    誰にも 見せられない



    なお、このドラマは
    優秀なドラマ作品を対象とした2015年12月度のギャラクシー賞と
    第2回コンフィデンスアワード・ドラマ賞
    脚本賞(石井裕也・登米裕一)を受賞しています。


    https://youtu.be/r64ex6UNwJE

    『おかしの家』第1話

    https://youtu.be/CXja11qAWC0

    『空がまた暗くなる / RCサクセション』

    • vilureefさん
      こちらでもこんにちは。

      私もこのドラマ好きでした~。
      30分というありそうでなさそうな尺がまた何ともいえず。
      オダジョーが好きって...
      こちらでもこんにちは。

      私もこのドラマ好きでした~。
      30分というありそうでなさそうな尺がまた何ともいえず。
      オダジョーが好きって言うのはもちろんですが、他のキャストももちろん監督もみんな良かったですね。

      失われていくものへのノスタルジーというか青臭さというか、こういう感覚昭和な人間にはたまりません!

      なんだろ、このドラマと言い、前にコメントさせていただいた高山なおみのエッセイと言い、リアルでは語り合う人もいないのですが、円軌道の外さんとは通じるというか・・・。

      ホント、戻ってきてくれてありがとうございます。
      嬉しいです。

      あ、私も齊藤由貴の曲好きです。
      アルバム聞きこんだなー。
      他のアイドルとは違って彼女の造り出す曲の世界にずいぶん私も助けられました。
      「ひまわり」とか好きだったなぁ。
      でも最近YouTubeで聞き直したら、想像以上の歌の下手さに愕然としました(笑)
      2018/01/30
  • CATVでやってたのを録画して鑑賞。
    ちょうど「重版出来!」を観終わったところで、オダギリジョーの五百旗頭さんかっこよすぎる…!となっていたところだったので。

    優しく温かい世界。石井裕也監督って「舟を編む」の人かあ。淡々とした穏やかな世界が描かれてるのが共通しているような気がする。

  • 関西ではやってなかったので、DVD化待ってたー。
    オダギリさんの言う通り!こういうのテレビで作り続けて欲しい。

  • 感動の名作でもないし、腹をかかえて笑うこともない。
    それでも、ドラマとしては成功。

  • 家族との思い出とか友達との思い出とか、ほっとする大事なものを思い出させてくれる質のよいドラマだった。役者さんも演出もいい。もっとこういうドラマ増えてほしいなあ。

  • 録画したドラマ見終わりました。
    オダジョが出ているので見始めました。
    最初のほうは、展開がよく分からなかったけど・・・
    後半はいろんなどこにでもありそうな日常の内容がてんこ盛り。
    見る人によって、思うことが違く見えるドラマだと思った。

  • なんやろこのドラマ。
    本当に不思議。
    なんやろこの感覚。
    言葉では伝えにくいこの空気。
    とても普通でどこにでもありそうな日常のひとこま。
    そこがたまらなくいい。たまらなく好き。

    天使の歌声の件には笑ってしまった。

    最終回は涙ボロボロ。
    大切だと思っていたものを忘れていってしまう悲しさ。
    昔ははっきり見えてたのに、時が経つと離れていってしまうんだよね。忘れたくないのに。忙しさにかまけて距離が出来てしまうんだよね。
    大切なものをもっと大切にしたいな。そう暮らしていきたいな。
    こんな素敵なドラマに出会えてよかった。

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