亜人 一 (初回生産限定版) [Blu-ray]

出演 : 宮野真守  細谷佳正  大塚芳忠  櫻井孝宏  小松未可子  平川大輔  洲崎綾  木下浩之 
  • キングレコード
3.54
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003836641

感想・レビュー・書評

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  • 1期分(1-13)と2期分(14-26)の感想を分けて書きます。

    <1期>

    『シドニアの騎士』と同じスタジオが制作と言うことで、いまさらながらに視聴。しかし『シドニアの騎士』に比べると見応えがどうしても劣るのは女性キャラクターの少なさゆえか。

    アクション部分が本作の見せ場で、確かに亜人の「黒い幽霊」同士の戦いは「黒い幽霊」自身のフォルムの格好良さがあるので見応えがある、といえばある。けれども、人間の動きは派手なアクションから些細な日常の動作まで、どうしても単調で見応えがない。男性キャラクターの動きがほぼ同じなのですね。言葉を選ばずに言うと、全員が、筋肉のついていないオッサンの動きなのです。

    逆に言えば『シドニアの騎士』のときには、人間の男よりも人間の女のほうが登場数が多く、ロボット物でもありますから当然、ロボットのアクションもあり、加えて生物学的要素の強いSFでもありましたから、未知の生物のアクションも豊富でした。あるいは超人的な身体能力をもつ女の子もいました。結果的に動きの異なる存在の多く出演したアニメになっていたので、アクションを飽きずに見続けることができたのですね。

    ところが本作は登場人物の大半が、年齢にばらつきがあるとはいえ男で、彼らの動きはおそらく女性キャラクターほどには、動き自体にキャラ付けがなされていない。たとえば『シドニアの騎士』だと年齢の高めの女性で、かつ男勝りな性格設定の佐々木と、いたいけな少女の容姿の星白では動きが異なっていましたし、勝気な性格の少女のユハタの歩き方はキビキビしていて、中性であったために女性陣の中では長身のイザナは、その長身のために同じアクションをしても何となく他の女の子とは違って見える。本作でも年齢や性格の異なる男たちがたくさん出ていますから、彼らの動きにキャラ付けがあってしかるべきと思うのですが、全員が比較的ゆっくりと左右にブレながら歩き、おおげさな仕草で手を振ります。違いがあるのは表情くらいなのですね。ここは非常に残念なところです。

    帽子やその周辺の男たちがダルそうに歩くのは構わないし、海斗がこの歩き方なのも納得はいく、そして確かに、田中や戸崎は多少キビキビ歩いているんですが、それにしても肉体派の田中はもっとパワフルに歩くだろうし、官僚の戸崎は風を切ってスタスタ歩くだろうと思うのですよね。実際に東京の町中を歩いて、私服の男たちとスーツの男たちの歩き方を比べてみると、実際には本作で見られた以上に、歩き方に差異があると思うのですが、どうなのでしょう。特にスーツを着た人々の歩く速さはすさまじいものがあると思うのですけれども。

    二次元でも三次元でもアニメの良いところは、キャラクターやキャラクターの置かれている背景、世界観、物語についての理解が不十分な役者が演じたせいで、作品全体がコケてしまうということがないところです。特にドラマでは、演技のいまいちな俳優を起用すると、シナリオがよくても全然ドラマに入っていけない、役者の役柄についての無理解ばかりが目に付く、というようなことが起こりやすいのですが、アニメだと、キャラクターの表情はそのまま真実の表情ですし、確かに声優さんが声を当ててはいますが、声の当て方にも特殊な法則というか型があって、多くの場合(特に女性声優の方は)、その型に忠実ですから、キャラクターへの無理解が表面化しづらいという利点があります。ここで表現したいのはこの感情だから、こういう型に沿って演じます、という、音声のルールがあるのです。

    もちろん、ドラマとアニメでは扱っている題材の差もあります。本作もそうですが、アニメではファンタジー要素のある作品が多く(それは技術的に実写が難しいのでSFをはじめファンタジーに興味のある人がアニメに流れやすいということもあると思う)、ドラマでは職業ものが流行っていますから、どうしても理解の不十分さが目につくのはドラマで扱っているようなリアルな題材ということになります。そういう意味でもドラマは非常に不利な要素を多く抱えた作品の形態だと思います。

    ただ、本作のような手の込んだ3D映像だと、やはり生の役者が演じるような、キャラクターの所作にも表れる性格やバックグラウンドの違い、適応環境の違いというものを見たいと思うのです。神経質な官僚の戸崎を実写で演じることになった役者は、おそらくキビキビと直線的に歩き、歩く速度は佐藤の取り巻きたちとは格段に違っているでしょう。煙草の煙を払う仕草ひとつとっても、弧を描くような手の動きではなく、直線的で素早い動きをするでしょう。そういう部分を再現するためには、3Dを制作する段階で、製作者が人物の動きをシビアに検討する段階を必要としますから、現時点では非常に難しいものがあるのかもしれません。

    ある程度、多くのキャラクターを作った実績が積み重なれば、おおまかに分類したキャラクターの性格ごとのすぐれたパターンが判明してきて、それをベースに細かい微修正を行うことで特定のキャラクターの動作が再現されていくのかもしれません。ただ本作の段階では、まだそこまでは到達していないような印象を受けます。

    そういうわけで、アクションを楽しもうと思えば断然『シドニアの騎士』のほうに軍配が上がるのですが、しかしやはり本作も高級な感じはします。作画崩壊の危険も少なくリアリティのあるアクションシーンが見られます。

    ただ、どうなんでしょうね、本作でもオーバーにならない程度のキャラクターによる動きの区別はあって、その区別が控えめであることが逆にリアリティだ、というふうにも言えるかもしれません。あるいは単純に二次元っぽい顔のまま3Dの動きをさせてしまうと、動きだけがリアルだと浮いてしまうということなのかもしれない。しかし私は「全員が筋肉のないオッサンの動きじゃないか!」というのがやはり気になったわけで……どうなんでしょう。

    ※追記
    人の歩く速さが(おそらく早く歩いている人でも)遅く感じるのは、モーションキャプチャをしている部屋というか、室内で動ける空間が物理的に狭いせいかもしれないと思うなど。狭い空間だと、そもそも早歩きをするにも大股で歩くことに制約がかかり、小股のまま早歩きと言うことになるかもしれない。


    <2期>

    漫画を書く人の周りに公務員関係について詳しい人がいないのかな……と漫画作品での公務員の取り扱いを見るたびに思うわけですが、それは原作について言うべきことで、アニメについて言うべきではないのだけれども、書かずにはいられない……

    とりあえず理解できそうな部分を挙げるなら、戸崎さんの厚労省入りについて。厚労省に入って堅実な収入を得ようとした矢先に婚約者が病に倒れた、と言うならば、彼の職場が厚労省なのも解る。婚約者が家庭的に不遇なのも踏まえて、全国転勤のある仕事と言うのも理解できる。

    というのはさておき、2期の見どころは人間ドラマでしたね。いろいろとありえなさに突っ込みたくなる部分も盛大にあるのですが、永井君の心の動き、それから戸崎さんと下村さんのあたりは見応えがあります。特に下村さんのエピソードを見て以来、戸崎さんに婚約者がいるというのが悔やまれてならない……むしろ戸崎さんの性分には、不憫な女性を放っておけない、というような部分があるんじゃないか、とは思うものの、それがどうしてあんなに下村さんに当たりがキツイ1期になるのか不思議でならない。亜人に関する知識が戸崎さんの側にもなくて、そのせいで過度に下村さんを恐れていた部分があるのか、あるいはあの育ちの下村さんなので、いつ寝返られるか解らない、という警戒感があったからなのか。

    アクションシーンが多いので、見応えがあるといえばあるのですが、やはり男性キャラクターが多いせいで、動きが多彩でないのはツライところ。

    本作はしかし、役者陣も良い演技でしたね。中でも戸崎さん、奥山くん、海斗の3人は本当に良かった。戸崎さんの中の人の演技力には頭ひとつ抜きんでたものがあるので、ここで言及する必要すらないように思うのですが、それにしても驚いたのは奥山君の中の人ですし、海斗の中の人もはまる役には本当にはまる。

    奥山君の中の人は演技力、これまで、そんなに高くないような印象があったのですね。それがまあ、あの喋りをすると、本当に「ちょっとヤバいオタク」の感じがよく出ている。奥山君、最後こそ寝返ったのでマトモに見えるかもしれませんが、それでもやっぱり大暴れしている人ではあるのです。感情があまり乗らず、のらりくらいとした、つかみどころのない声でありながら、どこか残酷さ、怠惰さ、そういうものを漂わせるあの喋り方に、あの声音が合わさって、本当に何考えているのか解らない「ちょっとヤバいオタク」を怪演しています。

    そして海斗の中の人も、演技力があるんだかないんだか良くわからない、いつもの調子なのですが、あんまり細かいこと考えていなさそうな、ちょっとボンヤリした、でも包容力のありそうなあの声音と喋り方に、本作ではちょっとした寂しさも感じさせる弱さがあって、おんなじ脳筋系の中野くんと見事にキャラが被らなかった。おおらかで無神経な演技が彼の得意分野だと思っていましたが、おおらかで無神経でありながら繊細さも併せ持つような役もできるのですね。良い演技でした。

    脳筋の中野君は、鉄砲玉みたいな声音でしたね。常に叫んでいる(笑)

    物語としての面白さを追求すると、リアリティを失っていくのかもしれない、とは解ってはいるものの、本作においては、そこが残念でもあり、ならばほかにどんな方法があったか考えつかないのが私の残念なところです。しかしまあ現代社会ですので、いきなり非人道的な展開にはならんだろうという突っ込みを常に入れたくなってしまうのが問題ではありますが、漫画だろうが小説だろうが映画だろうが、SFは何かが過剰であるということを描くのが得意な分野でもありますし、これに関してはこういうもの、とも思います。

    とはいえ、面白い作品でした。アクションは見応えがありますよ! 女性キャラクターが少ないので、そういう意味では単調ですが、それでもやっぱり格好良いアクションには変わりありません。2期の難点は主題歌。

  • 全26話。分割二クール。面白かった。ポンコツ泉ちゃんがよかった。

  • テレビ版にて全13話視聴。
    「悪の華」を思わせる動き。(どういう作り方なのか調べていないが)
    なのに、妙に少年漫画っぽい顔。
    そして後付設定ぼろぼろ。
    さらには、本編終了後は劇場版数部作! というあこぎな商法。
    鳥打帽の「佐藤さん」がやけにかっこいいくらい。

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著者プロフィール

1983年生まれ。埼玉県出身。7歳のころから劇団ひまわりに所属し、子役として活動。2001年より声優活動を開始し、08年にアーティストデビュー。17年10月期テレビアニメ『王様ゲーム The Animation』に主演。11月より公演中の劇団☆新感線の舞台『髑髏城の七人 Season月〈下弦の月〉』で主人公・捨之介役を演じている。

「2018年 『宮野真守 Meet&Smile』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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