- Amazon.co.jp ・電子書籍 (448ページ)
感想・レビュー・書評
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様々なパターンのレガシーコードの解決策が記載されていた。この本が出版されたのが2004年。日本語に翻訳されたのが2009年。10年以上の古い本だが、2022年になっても通用する普遍的な内容が多い。良書といわれるだけはある。
本の内容は手続き型言語での解決方法のサンプルコードが多く、オブジェクト指向型言語を使うことが多い現在では、直接的な解決方法には結びつかないかもしれない。だが、考え方については参考になる。
本書では「テストコードがないコードがレガシーコード」と定義している。テストコードがないと、改修する際にかかる工数が、作り直しと同義になる。まずはテストコードを書いてからコーディング。
俗にいうテスト駆動開発だが、いまだに単体テストを書いてからコードすることすらしないエンジニアもいるので、心当たりがある人は読んでほしい。
といっても日本の開発現場では導入したくても導入できない事情もあるとは思うのでPM以上の人は必読である。
日本はまだ年功序列の傾向があるので、レガシーコードを書いた高齢者がそのままPMになるパターンが多く、正直って「混沌」としている現場しかない。そういう高齢者は過去の自分を否定するような環境を取り入れないので、日本のITは「破綻」している。これはIT業界だけでなく日本産業全体に言えることだが。
レガシー問題はプログラムだけでなく社会問題でもある。実は社会問題においてもこの本に書いてある改善方法は有効なんじゃないかって思う。
話がそれた。レガシーコード改善の基礎を学ぶにはいい本。また読み返したいと思う。その時はまた違う感想を持つことになるだろう。再び読み返す日を楽しみしている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
007
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レガシーコードの維持保守は、プログラマがやりたいと思う仕事の中では、かなり低い順位に位置付けられるだろう。もちろん、最下位でも全く驚かない。とはいえ、素晴らしくメンテナンスされたコードとテスト・スイートが全部揃ったプロジェクトにアサインされる可能性はかなり低いのだから、レガシー、つまり「保守または拡張が困難な既存のプロジェクト」となんとか折り合いをつけていかないことには仕方がない。
この本は、やや楽観的にすぎるきらいもあるが、レガシーコードを積極的に改善していくための、プロジェクトの様々な側面について広範にカバーしている。もちろん、リファクタリングにも章が割かれているが、それ以外のドキュメントやモチベーション、文化、コミュニケーション、自動化などについても広く浅く紹介していて網羅的。個々のトピックの内容については深掘りしないのでバイブルというわけにはいかないが、レガシーの壁に突き当たったら、一度は読んでもいい本だ。