昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫) [Kindle]

著者 :
  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  • 題名と表紙で読みたいなーと思っていた本。

    作者は有名ドラマの脚本家なんですね。

    はじめぎこちない感じから始まりますが
    全体通してテツコとギフのほっこりさせる物語。

  • 評判が良かったのと、題名にひかれて暇つぶしに読みはじめました。ところが、夢中になってしまい、しかも、読んでいる間、幸福な気分になりました。

    19歳で結婚し、21歳で未亡人となってしまった28歳のテツコさんは、今も義父(テツコさんからはギフと呼ばれています)と同じ屋根の下で暮らしています。本書は、その2人と取り巻く人々を題材とした連作小説のようなもの。生きている人、死んでしまった人の物語が、非時系列的に綴られてゆきます。例えば、最初の物語は、笑うことが出来ない「ムムム」という女性の物語ですが、以降の物語でこの人物が、テツコさんにどういう影響を与えるのかが明らかになります。「あぁ、そういうことだったんだ」と思えるシーンが、この本では豊富であり、読書の快感が得られました。

    この作品は再生の物語。しかし、御涙頂戴的なところはなく、思い出して微笑んでしまうような作品です。ギフと山ガールとの登山の話、ギフとテツコさんとその彼氏とのやりとり、また名人芸としか言いようのない小道具の使い方。今、読む本のない方は、まずはこの本を手に取ってくださいの★★★★★。

  • ブックオフの100円コーナーで、か行の著者を発掘する企画。本屋大賞第二位&山本周五郎賞ノミネートだそうです。
    25歳の夫を亡くしたテツコと、その後も一緒に暮らす義父(ギフ)、その周りの人たちとの日常的な物語。
    テツコが悲しみを全面に出してこないので、表面上は穏やかな展開なんですが、きっと内面では悲しみや苦しみを感じているんだろうなあと。そういう心の機微を周りの人たちとのやりとりから読み取れると面白いのではないかなと思いました。かなり雲をつかむような感覚なので、残念ながら自分は今一つでしたが。
    重松清の解説を読んでから、本編を読み始めるのが良いかもしれません。

  • タイトル買い。
    ほんわかした連作短編、ほわほわしてとてもよかった。
    解説読んで、なんでほわほわするのかが、あーなるほどねと。
    こういう人の関係とかつながりとかもあるんだなあと、
    こういう生きる力もあるんだなあと、思った。

  • ずーっと気になってた本。やっと読めた。わたしの大好きな暖かい人たちをめぐるお話です。小さな事件が淡々と描かれる、人によっては退屈で人によっては平和な気持ちになる本かな。ギフとテツコが暮らす古いお家でわたしも暮らしを営んでみたい。

  • 大好きな木皿泉さんの作品。

    めちゃくちゃよかった。
    さすがという感じ。
    一人ひとりのキャラクターも
    愛すべき存在だし
    悩んだり、失敗したり、
    とらわれたりもするけど、
    ちゃんと生きているなって思った。
    愛おしい。

    ユーモアも好き。
    2話目のパワースポットは
    どういうわけか泣けた。

    〝暮らし〟とか〝つつましい〟とか
    TVドラマ『すいか』でも登場する
    ワードや世界観が好き。

    いろんな変化についていけなかったり、
    嫌悪したりする。
    自分がこだわりとらわれている時はとくに
    そこから言葉やできごとで、
    自分に気づいてまた自分も変わっていく。
    そこに希望が見えるのかもしれない。


  • ギャンブルをする夫に妻が「賭け事をやめられないなら自分を刺せ」と包丁を差し出すエピソードが好き。
    仲里依紗さんでドラマ化してたのは知らなかった〜見たい〜

    『人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね。でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ』

  • 忙しない日々の中で、落ち着ける時間をくれた一冊でした。

    テツコとギフの関係が素敵で、お互いに踏み込みすぎず、でも大切に想っているだろうということが伝わってきました。岩井さん視点の二人の生活がとても穏やかで、周りからどう見られようが手放したくないことも納得でした。

    テツコが表立って悲観的ではないからほのぼのしそうになりますが、時折覗く一樹への深い愛に胸が締め付けられます。それでも、誰かと関わって生きていく幸せを感じさせてくれました。

    「動くことは生きること。生きることは動くこと」

  • 登場人物たちがとても愛おしくなる、とくべつドラマティックな出来事など起こらなくても心あたたまるストーリー。

    こういう優しくてほっこりする、悩みを抱えた人たちが織りなす物語というのがいいんだよなぁ。

  • いい本なのに、読み終えるまで、
    ずいぶん時間がかかった。

    それぞれの話で、今だったり、過去だったり。
    死んじゃったひとも今を生きてて、
    なんだか嬉しかった。みんな、繋がってる。

    ずーっと今のままで。変わりたくない。
    でも、そんな今も変わってきたものなんだよね。

    悲しい思いをしたから、より感じる。

    幸せって、ほんと思いようかもしれない。
    幸せなひとはきっといつでも幸せなんだろう。

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著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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