- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988105071476
感想・レビュー・書評
-
2014年に自主制作として作られた映画だそうですが、リリーフランキーが出ていてちょっとびっくりでした。
全体的に、戦争を知らない世代の人間が、同じく戦争を知らない世代の人間に向けて作った映画だと思いました。たとえば米軍の砲撃によって人の顔や腕や内臓がちぎれて吹っ飛んでいくようなグロテスクなシーンが、これでもかとスローモーションで映される。【ひろしま】を観たあとだからなおさらそう思うのかもしれないけれど、実際にそれを経験した人なら、こういう場面をスローモーションで撮らない気がする。戦場を一生懸命想像して、その悲惨さをどうにか理解しようとした人が、同じ立場の人にその自分が想像した悲惨さを伝えようとして取った手法という感じ。もし自分自身が生存者だったり、あるいは自分のよく知っている誰かがそこにいて同じ経験をしたりしていたとしたら、凄惨な場面をスローモーションでは撮らないと思う。
原作を読んで内容はすでに知っていたので、そういうグロテスクさばかりが印象に残ってしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フィリピン・レイテ島での戦い。なんともすごい生死をさまよう極限の映画だ。結核で隊からも野戦病院からも見放された兵隊が一人レイテ島のジャングルで生き逃げる。物資補給も無く敗残する日本軍、軍というより兵隊。累々たる死体。茶の間で横になりながら見ているととても画面の中の狂気との乖離を感じる。この歴史があって今の生活がある。あの時代に生まれて招集されたら、この狂気に放り出されるのだ。否、現在紛争地域では似たようなことが起こっているのだ。累々たる蛆虫がいる死体のグロテスクな映像は強く戦争は起こしてはならないと思わせる。
原作を読んでみなければ。
2014日本
2019.8.4BSプレミアム -
大岡昇平原作の野火。原作は読んでいませんが、極限状態のカニバリズムを扱った作品なのだと思います。
戦時下でありながら、この作品で描かれる生は敵兵との戦ではなく、「食べること」である。
部隊からも野戦病院からも見放された主人公は、孤独と自由の中、本能対理性の狭間を朦朧と彷徨う。
空腹を満たせてこそ、人は人道を歩めるのかもしれません。 -
映画を観ながらかつて教科書に載っていた原作を思い返していた。
原作で感じられた言葉に表し難い漠然とした恐怖は感じられなかったけれど、人間が人間でなくなっていくことに対する葛藤は感じられた。
目を瞑りたくなるような痛みが感じられたことも塚本監督の意図であるからこの作品がつくられた意味は確かにあったように思う。
作品としての技術・表現というより、この作品がつくられたことが評価されるべきなのかもしれない。 -
いままでみた戦争映画の中でダントツ観るのがしんどかった。
景色と音楽に引き込まれる。 -
小説は高校生の頃に読んでいました。細かな内容は忘れてましたが、ストーリーは観ながら思い出しました。
これが真実かどうかはわかりませんが、当時の雰囲気はリアルです。