- Amazon.co.jp ・電子書籍 (371ページ)
感想・レビュー・書評
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特権階級として、閨閥というものに着目して書かれた本。前半が政治家、後半が財界を扱っている。
本書は、連載物が元になっているため、福田家、三井家といった家ごとに記載されているが、全体を通してみると再掲が多く、こうしたファミリーが婚姻で重層的に結びついていることが手にとるようにわかる。
全体として見ると、閨閥としては、やはり天皇家に近いところに権威があり、皇族、華族が新興の経済・政治勢力を取り込んでいった姿がよくわかる。明治初期に華族制度が成立し、貴族・武家・維新の功労者が華族になったが、三井家など財界が戦前に取り込まれていって上陸階級の厚みが増している。政治家の三木、中曽根、福田、大平と言った家もこれに連結する形で庶民から上陸階級に加えられている。戦後、華族制度が廃止され、機会均等の下、外形上は階級社会は存在していないが、かえって見えにくい形で存在しているのかも知れない。
以前に東大生の親の平均年収が1000万円を超えるという報道があったが、本書を見て驚くのが、ここに出てくる家系の中では、兄弟全員東大というのが珍しく無いこと。上流の意識と教育に時間とカネを投下できる家がそうした高い成績を生み出しているということか。
本書は昭和62年(1987年)の連載を本に仕立て直したものなので、視点としては四半世紀前、要するに一世代前のものなので、ここにかかれていることに今日的な妥当性があるかどうかはわからないが、学閥支配(就職時の取扱)、政治家の世襲ということが未だにあるということは、こういった状況もまた存在しているのかも知れない。
これまで、東大・慶應などの学閥、政治家家系、社長一家などがそれぞれ社会的に良い地位を占めているという認識があったが、それらが閨閥を通じてさらに横にネットワークを広げ、一種の階級構造となっているという視点は非常に面白かった。 -
県立になし