世界最強の女帝 メルケルの謎 (文春新書) [Kindle]

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  • 政治風刺小説「帰ってきたヒトラー」の中で、現代に蘇ったヒトラーはメルケルを「陰気くさいオーラを自信満々に放っている不格好な女」とこき下ろしている。失礼かもしれないが、第一印象としては当たっていると思う。

    自伝や伝記すらもないメルケルには謎が多い。本書は東ドイツの物理学者であったメルケルが、どうして政治の道に進み、ドイツ首相まで登り詰め、EUで巨大な力を持つように至ったかを興味深く記述する。
    著者はジャーナリストだが、単なる政治家のゴシップ論に留まらず、メルケルの育った東ドイツの当時の情勢、欧州政治史にも言及しながら、今までのメルケルの政治判断や背景となる思想も分析する。

    とはいえ、本書の面白さはメルケルと各国首脳との駆け引き、心理戦だろう。
    ウクライナ問題では、プーチンと正面きった対話ができるのはメルケルだけ。ところが、本書は「メルケルはプ ーチンに対して 、良い感情を抱いていない」と言い切る。本書を読む前は、ドイツ語を操るプーチンに対してメルケルは好印象を抱いていると思っていた。しかし、東ドイツに K G B将校として駐在し 、情報活動に当たっていたプ ーチンを 、メルケルが好ましく思うはずはなかったと本書は分析する。また、日本では報道されなかった「犬のぬいぐるみ事件」という凄まじい嫌がらせをメルケルは受けている。

    メルケルの下でドイツは欧州の盟主となった。著者は「「ドイツ化されたヨ ーロッパ 」が成立した 。より正確に言えば 、 「ヨ ーロッパ化されたドイツによってドイツ化されたヨ ーロッパ 」という言い方になるのだろうが 、そのヨ ーロッパは 「メルケルの欧州 」 」とする。なるほど、ギリシャへの対応はまさにメルケル的だ。
    したがい、現代の欧州問題を知るにはメルケルを知るべきだろう。英国のEU離脱もメルケルに対する英国の意地も絡んでいたと理解できる。
    中国の主導するアジア投資開発銀行にいち早く参加するなど、現在は「独中蜜月」。メルケルは日本を無視し、中韓は歴史認識についてドイツを見習えと要求する。したがい、日本では「反独感情」の発生の可能性がある。著者は「反独感情」は中韓を喜ばせるだけと警告する。我々も「メルケルのドイツ」を理解する必要がある。

    一気読みの面白さ。必読の★5つ。

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