イレーナの帰還 イレーナシリーズ (ハーパーBOOKS) [Kindle]
- ハーパーコリンズ・ジャパン (2016年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (493ページ)
感想・レビュー・書評
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「毒味師イレーナ」の続編。スタディシリーズ三部作の第2部である。毒味師としてのイレーナは物語には登場せず、第1部で目覚めた魔法使いとしての技量を身につけることから始まる。故郷に帰り、家族と再会するが、再会直後のギクシャクした関係からどのように修復していくかも読みどころ。国が別れてしまった恋人との再会や、馬とのほのぼのとした会話など、よりファンタジー色が全面に出てくる。前作の「毒味師イレーナ」 がファンタジー色を抑えていたので、私は世界観に浸れたが、本作品は普通のファンタジーになってしまい、自分には合わないようになってきた。第三部の「最果てのイレーナ」を読むかどうか微妙なところである。ここまで来たら読むしかなさそうだけど。
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「イレーナの帰還」
生きたいと願った死刑囚の少女、第2章。
☆あらすじ☆
<blockquote>
死刑宣告を受けながらも生き延びたイレーナは、故郷シティアに14年ぶりに戻ってきた。両親は涙ながらに娘を迎えるも、兄を始めとする他の者たちは、敵対国で育ったイレーナをあからさまに嫌悪し、密偵に違いないと疑う。またも四面楚歌となったイレーナに、さらなる危機と試練が。
</blockquote>
異世界ファンタジーというと、甘くロマンティックで、幻想的なイメージがありますが、このシリーズの特徴は、クールでドライ、かつハードでさえある点と訳者宮崎真紀さんは言います。確かにその通り。
イクシアとシティアの関係性から生まれる軋轢だけではなく、各々の国における情勢や政治やらをドライでハードに描き切っているし、頻繁に発生する戦闘シーンは、ちょっと残酷でもある。クールという点は、ヴァレクを始めとするイレーナと敵対していた人物たちが徐々に彼女と親交を深めていくシーンでも随所に登場するし、アーリとジェンコの台詞の多くがクールなものです。
もちろん、ロマンティックと幻想的なイメージもちゃんと持ってます。魔法が個々の登場人物の初期設定であり、戦闘はもちろん馬と会話ができるなど、ファンタジー要素を生かした仕掛けもあります。で、ロマンティックなところ。ここは、海外小説ではよく見られるこちらが恥ずかしくなるシーンが多いですね。
いつも思うのですが、海外小説で恋愛模様を含めるものの場合、結構すぐいちゃいちゃ関係になるケースが多いような気がします。第1巻を読んでもらえるとわかるのですが、死刑にされる予定であったイレーナに対して毒味師の役割を与える事で生かしたヴァレクが、徐々にイレーナに惹かれていくのですが、そこがそこまで深く描かれていないような。イレーナは強固に拒みつつ、しかしゆっくりと信頼関係を築き始めて(それも最初は恋愛ではなく)行く過程が描かれているのですが、ヴァレクは一気に火がついちゃう感じですw
こういう展開、結構海外小説だと多いような気がするんですよねー。今回、ヴァレクは中盤から登場するのですが、かなり熱々に描かれており、そんなこと言っちゃうの!?ってことも平気で言っちゃいます。
「イレーナの帰還」でのテーマは、ヴァレクのロマンティックすぎる台詞ではなく、”家族”です。イレーナが行方不明になって以来ほとんど崩壊寸前だった家族がどう再生するか。特に自責の念からイレーナを恨みさえするようになっていた兄リーフは、イレーナとの間に大きな溝を抱えています。そんな二人の関係がどう修復されるのか。それが大きなテーマですね。
自責の念から恨み、怒り、それと同時にイレーナに再会したことや彼女が傷つくことで心に抱かれる”ほっとした気持ち”と”相手への怒り”。そんな相反する想いがどう消化されていくのか。そこが上手く描かれているのかなーと思いました。
物語は、シティアに残る決断をとり、イクシアとシティアの懸け橋になるべく動き出すイレーナ。その道は、イレーナ(とヴァレク)の命を狙う奴らがいる中で、非常に困難な道。彼女は結び目やもつれや落とし穴が満載の、曲がりくねった長い道のよう。しかし、彼女は思う。
<blockquote>まさに、わたし好みだ。</blockquote>
常に前を向き突き進むイレーナらしい言葉である。 -
私のお気に入りの「最強の双子」!今回も登場します。ヴァレクは益々その存在が謎に。
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イレーナが故郷に帰るだけ、たいしたドラマもなさそうなんて失礼なことを思っていました。てんこ盛りです。
テンポも速く、最後まで本当に楽しめました。 -
イレーナの出生の秘密がどんどん明らかになっていく。
イレーナの強さが際立っている1冊。
スリリングさも、イレーナの突っ走りっぷりも、恋愛要素もパワーアップしていると思います。
ただ、1巻のほうが面白かったような… -
毒味師イレーナの続編。
子供の頃誘拐されたイレーナは、故郷に帰って家族と再会します。そして魔術を学ぶはずが、陰謀に巻き込まれてしまいます。
イレーナがさらにたくましく…というより突き抜けてしまった感じの今回のお話。
恋人ヴァレクは有能で冷酷な暗殺者のはずなのに、イレーナをいちいち「愛しい人」と呼ぶ…。優しすぎる、甘すぎる。
でもヴァレクの見せ場がヴァレクらしくてたのしい。
また、イレーナの愛馬が人間につけるニックネームがおもしろいです。 -
「毒味師イレーナ」よりも断然良い!
訳者が変わったせいなのかもしれないけど、どんどん読み進めたいストーリー。次回作も楽しみです。 -
ファンタジーと言ってもファンタジーの夢のような世界ではなく、後書きにあるようにクールでドライだ。
世界観がしっかりしているので、本の世界に引きずられ自分がどこにいるのか分からないような感覚にさえなる。
イレーナの状況は厳しく、誰を信じていいのか、疑えばいいのかさえ分からない。
けれども魔法の糸を引き出すよう、あきらめることなく一歩一歩自分の信念に近付いていくイレーナに勇気をもらえる。 -
2章。1章のラスト続きから始まります。
今回は少女が連れ去れて、痛めつけられて性的暴行をされて殺される連続殺人事件が発生します、というわけで…性的暴行の話が嫌いな私は読んでて気分が悪くなりました。1章程度なら許容範囲なんですがね・・。
文章の書き方(翻訳)がサラッとしているので、話の展開が早く物語はどんどん進んでいきます。
かといって説明不足ではなく、こんなに読んだのにまだ半分!?となります。さらっとしすぎてキャラに愛着があんまり沸かないという欠点も…!
あとがきにドライと書いてありましたが、ぴったりな表現ですね!