恐怖の哲学 ホラーで人間を読む NHK出版新書 [Kindle]

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  •  恐怖はなんらかの危険にさらされた時に抱く感情であり、通常は不快感を伴う。ではなぜホラーが娯楽として成り立つのか? ホラー映画の中の怪物は実在していないと知っているにも関わらず恐怖が生じるのはなぜか? 恐怖を感じているにも関わらず映画館から飛び出したりしないのはなぜか? 本書はこういった恐怖感情とホラー映画にまつわる疑問点をきっかけに、人間の感情や情動がどのように生じるかの解明を試みている。

     著者の専門は医学や生物学ではなく哲学だ。奥付によると科学哲学というジャンルらしい。科学哲学とは何か説明されてはいないが、あとがきで著者は「哲学は生物学や脳科学とシームレスにつながるべきだ」と主張している。そのため本書も最初のうちは哲学的な議論からスタートするが、最終的には脳内の情報処理の仕組みなど脳科学面の考察に到る。

     この分野の書籍としては『脳からみた心』(山鳥重)、『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』(池上高志・石黒浩著)を最近読んだが、『脳からみた心』は脳科学からのアプローチ、『人間と機械のあいだ』は哲学的アプローチがメインだった。本書はその中間位置か、統合的なアプローチと言えるだろう。

     そういう点では面白いが、最終的な結論はどちらの方向からも中途半端になっている気がした。統合的というより総花的。また、素人向けを意識しすぎたのか文体があまりに口語的になっている。教室で講義を聞くならこのくらいがいいかもしれないが、本として読むにはまどろっこしい。

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