IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • IoTやIoT社会についてわかりやすく解説するとともに、日本のICT戦略の課題についても書かれた本。

    IoTが社会に浸透するかどうかは「インターネットのようにオープンになる」かどうか。失敗を強く恐れるあまり「閉じた」状態になってしまうと、いつまでも新しいステージに進めず、世界に遅れをとってしまいます。

  • IoTの第一人者による本なだけあって、単なる技術の説明ではなく、その意義や目指す社会など深い話につながっていて面白かった。

    印象に残ったポイント
    ・情報公開のありかたとして、資料のpdfを公開するようなやりかたはもう古い。プログラマが利用可能なAPIとして公開する方法が主流になりつつある。
    ・インターネットがもつオープンな特性をIoTも持たなくてはならない。誰かが性能を保証してくれるわけではないベストエフォートの世界でなければ、広がりが期待できない。
    ・日本が遅れをとりそうなのは、技術的な面というよりも、ガバナンスの面である。新しい技術を社会に適用するときに、負担の分担、責任の取り方、などを迅速に決められない。
    ・プログラム教育の重要性は高まる。大事なのはプログラミングの専門家だけでなく、プログラミングのできるいろいろな分野の専門家を育てることである。
    ・IoTでは、あらゆるものが、自分の置かれている状況を認識して、お互いに働きかけあう。
    ・位置情報は、絶対的な座標情報があればそれで済むというものではない。そこは、トイレなのか、廊下なのか、食堂なのかといった意味が重要である。
    ・たとえば、最近の車では、複数のカメラの情報を統合して、あたかも空から自車を撮影したような映像を提供する。それぞれのカメラで、撮影が完結するわけではなく、カメラは「見る」ことに徹し、集められた情報を統合するのはカメラとは別の計算機である。そういう風に機器の分業がすすむ。
    ・さまざまな種類のセンサーから集められた情報が統合され、計算機上にもうひとつの現実がたちあらわれるイメージ。そして、計算機上の現実の操作が、本当の現実にも反映される。

  • IoTの概念をずっと提唱して研究している人の本。IoTに関して一般的な事例を説明するのではなく、俺がIoTだと言わんばかりに自分の研究を紹介していくスタイル。

    この人のIoTの本質はデータの規格化にある。特定の企業内で完結するのではなく、APIを解放することによって各自で好きな使い方ができる世界を目指している。

    IoTというとウェアラブルデバイスがここ数年流行りだが、せっかく計測したデータも、見ることができるのは専用のスマホアプリでのみということが多い。やはりデータはオープンにするべきだと、この本を読んで改めて思った。

  • 1962年にできた日本の電気用品安全法には、当然なことにインターネットに関する規定はない──だから使ってはいけない。法律に書かれていないから使えない日本と、ないから使える米国。イノベーションを素早く社会に出すにあたり、英米法と大陸法のどちらが適しているかは明らかだろう

    とは言っても既存ルール変えるのは相当骨が折れます。以前ある作業の電子化を訴えました。他の作業への影響を検討したいだの、電子化で負荷が増えるかもしれないだのを経て、訴えてからかれこれ一年半、ようやくトライアルです。まだ正式運用ではございません。正式運用は、うまくいけば来年度かなと。

    これでも完全電子化ではない、一部アナログな作業が残ります。正しいと思うことをいろんな人達に納得して頂くのは大変です、でも頑張ります。少なくとも、この手の作業の電子化は使命くらいの意気込みで取り組んでいます。

  • IoTに関する詳細な解説本。技術的な話も面白いが、IoT社会の実現には哲学が重要など、社会学的な見地からの意見も大変興味深い

  •  IoTは直訳すれば「モノのインターネット」だが、それは具体的にどういうものなのか。日本でその取組を先導してきた著者が解説している。著者はTRONプロジェクトやユビキタス・コンピューティングなどの構想においても中心的な役割を担ってきた方であり、現在はそれらを融合した新たなコンピュータのありかたを提唱している。

     ユビキタスが提唱された時に目指していたものは、スマホの登場と普及によって大きく実現に近づいている。というより、スマホが普及した理由はユビキタス的な活用そのものだったのだろう。iモードが登場した時にも感じたが、それが電話という形だったのは携帯コンピュータを人々に受け容れさせるためのカモフラージュに過ぎなかったのだと思う。

     本書はさらにIoTが普及していくための条件として、リスクコントロールの発想を転換することが必要だと説いている。ベストエフォートという言葉で説明しているが、むしろ自己責任の方がしっくりくる。システム全体について誰も責任を持たず、利用者が個々にルールを守って協調することで安全を確保する。これまで日本はそういう体制を受け容れてこなかったが、受け入れる必要があると考えている。

     必要であると同時に、日本ではなかなか受け容れられないだろうという点も含めて、まったくその通りだろうと思う。しかし徐々に変化の様子は認められるので、あと10年もすれば、つまり私が老人になる前には、そういう社会になっているだろう。

     その時、「昔はちゃんと誰かが責任を持って管理していたのに、今じゃみんな無責任に好き放題だ、なげかわしい」などと言わないように、早めに慣れておきたいものだ。

  • 改めて坂村先生のIoT論を復習。アグリゲート・コンピューティングの世界は技術的にはもはや可能になっている。システム全体のガバナンスや制度のあり方の課題を突破することがむしろ喫緊の課題だと思う。

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著者プロフィール

東京大学大学院 情報学環 教授・工学博士
コンピュータアーキテクト(電脳建築家)。
IoTの原型となるオープンなコンピュータアーキテクチャ「TRONプロジェクト」を1984 年に開始。カメラ、モバイル端末、家電などの組込みOSとして世界中で多数利用されている。さらに家具、住宅、ミュージアム、ビル、都市などへの広範囲なデザイン展開を行っている。
2002年よりYRP ユビキタス・ネットワーキング研究所長を兼任。2009年より東京大学大学院情報学環 ユビキタス情報社会基盤研究センターセンター長を兼任。
2017年4月から東洋大学情報連携学部INIAD学部長就任予定。
IEEE Life Fellow, IEEE CS Golden Core Member。2003年紫綬褒章、2006年日本学士院賞、2015年ITU150周年賞受賞。


「2016年 『オープンIoT―考え方と実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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