幻化 [Kindle]

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  • 2016年3月15日発売
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感想・レビュー・書評

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  •  梅崎春生の本作を、ある本で町田康が面白いと書いていた。曰く、痛みと快楽が同時にあって、精神が「くわあ」となる不思議を体験できる、と。


     さて、その「くわあ」体験とは如何?と思い、早速読み始めたのですが、今回は訳あって全編音読してみました。
    すると、まあすごいすごい。見事にタマらない感じになりました。
    これが「くわあ」なのかなと一知半解ですが面白かったです。


     あらすじは、五郎という中年男が主人公で、東京の精神科病棟から抜け出して、昔、第二次世界大戦で兵役中に駐在していた、九州を旅する話です。道中で出会った同じく中年男と阿蘇山に登ったりする話、というか、ラストが阿蘇山でそこのラストを、町田康が精神が「くわあ」となる痛みと快楽がある作品だ、と評していたということで、ただそれだけで読む私も私ではあるのですが、なんとも引き込まれる作品でした。


     音読していて、この五郎という男の心理状態は、明らかに現代でいう統合失調症の症状じゃないか、というシーンが何度もあり、五郎は不眠症でもあるので、共感がかなり持てましたし、なんかこの小説はずうっと不穏な空気が漂ってるんです。
    全ては五郎の幻覚ではないか?という不気味さというか、出てくる人物が妙に親しげだったりはあるんですが、五郎と対話もするんですが、うたぐり深い五郎は楽しいコミュニケーションなんて出来ないんですよね。
    でも、五郎の身体を指圧する爺さんや女性は実際にいるわけで、ボディ的には彼は健康体なんだけど、メンタル的には不調です。酒は飲むけども。


     ラスト、出会った中年男とおっさん同士で山に登って賭けをするんですが、そのフラフラっとなるシーンが最後の最後まで不穏でした。ややセンシティブなところもありますが、面白いです。

    (7万文字超の作品で、4時間半かかって音読できましたが、手汗がすごかったです…!)

  • ★2.5かな。
    心象に焦点を当てた作という感じを受けましたが、あまり響いて来なかったかも。自らを語らないようにして自らを題材に話を紡ぐのはなかなかに難しいことを痛感させる作品かと。

  • 青空文庫にて「幻化」読了。カフカのように居心地の悪い不可解さがあります。主人公は精神病院を抜け出し、“あの日”に戻るような旅をしますが、目的を持って行動しているわけではありません。全編を通して、虚無感が覆っていて、いつ死んでも不思議ではない状態ですね。「漢字海」で調べると、タイトルの「幻化(げんけ)」とは事物に実体がなく虚妄であること、とあります。絶筆ですが、辛い人生だったろうと推察します。

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著者プロフィール

梅崎 春生(うめざき・はるお):1915年福岡市生まれ。東京帝国大学国文学科卒業。在学中に「風宴」発表。42年陸軍に、44年海軍に召集、暗号通信分遣隊長として坊ノ津で終戦を迎える。復員後、戦争体験をもとに『桜島』『日の果て』を発表、一躍第一次戦後派作家の代表的存在となる。『ボロ家の春秋』で直木賞、『砂時計』で新潮社文学賞、『狂い凧』で芸術選奨文部大臣賞、『幻化』で毎日出版文化賞。1965年没。

「2025年 『ウスバカ談義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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