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感想・レビュー・書評
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七月二十八日 石榴忌 江戸川乱歩の命日ですね。
ちょっと思いついたのですが、手持ちの本が無かったので、青空で。
1925年(大正14年) 明智小五郎シリーズ2作目
学費にも事欠く優秀だけど貧しい大学生・蕗谷。綿密な計画を立てて、大金を溜め込む老婆を殺害。友人の大学生にその殺人の疑いがかけられるが、それさえも利用しようとする。
この事件を担当した刑事が「心理テスト」を取り調べに利用する。蕗谷は、事前の練習でその心理戦に備え、乗り切った様に思えたが、ここで明智小五郎が登場。蕗谷に犯人のみ知る質問で自白に追い込まれる。
「江戸川乱歩傑作選」からの再読。その時は、ドストエフキーの「罪と罰」を読む前でした。主人公設定や、刑事との緊張感ある問答場面など、類似性になるほど。この作品は、それを下敷きにしているとのことです。トリックについても、「罪と罰」からの変換とのことですが、まあ、そうなのかもしれないけれど、日本的な独自性があるんじゃないの?と読みました。
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もう、ボッコボコ。老婆を殺し金を奪った男は警察から容疑をかけられるが、その明晰な頭脳で、取り調べの心理試験を突破する。前半は男の犯罪や心理描写に費やされ、後半からは待ってましたとばかりに明智小五郎が登場。最終的に明智くんが犯人を言葉巧みに追い込み、犯行を自白させるわけですが、どうみてもオーバーキル。犯人がとっくに諦めてるのに彼の言葉は止まりません。というか犯行を暴くことを楽しんでるように見えました。明智くんそういうところあるよね〜。
心理試験の診断表が掲載されていたりと、細かい部分まで考え抜かれた短編で、そこから炙り出される犯人の「躓き」がこの作品の醍醐味。人間の心理を的確に捉え、小説に仕上げられるのは、作者の類まれな人間観察力が成せる技か。 -
学費欲しさに老婆を殺害し、お金を盗んだ蕗屋。判事の仕掛けた心理試験に、バッチリ予習して臨み、無事クリアか…と思われたところで名探偵・明智小五郎の登場。目をつけたのが「コンマ1秒の違い」。えっ?そんな事で疑うのか…とガックリしそうになったが、それはただの前置きで、実は明智小五郎の心理試験にハマっていたのだった。…いやいや、でもそれは反則じゃね?とも感じたが、2人の心理合戦はとても面白かった。
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これホント、何回読んでも解決編がすごい。
古畑任三郎みたいな感じもする笑 -
『D坂の殺人事件』から数年後の事件で、探偵術が世間から立派に認められた<明智小五郎>が登場します。素人心理学ながら容疑者の心理を連想診断することで、実行犯か否かの判断材料として<心理試験>を試みる予審判事(笠森)の応援に駆けつけた明智と容疑者との知恵比べが読みどころです。種明かしをされれば単純なトリックですが、<嘘発見器>の上をいく明智小五郎に凱歌があがった大正14年の作品です。
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青空文庫にて。
前情報なしで読んだけど明智シリーズの2作目ってことだよね?
わかりやすくちょうどいい長さでテンポよく飽きさせない。解決パートも気分爽快。江戸川乱歩の作品ではもっと気持ち悪いのが好みだけど、これは結構好きだった。さっぱりし過ぎでちょっと印象には残りづらいけど。
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夢野は一種の失望 と酷評したが個人的には蕗屋の思考経路の描写が面白かったので D坂より良かった。
#読了
#江戸川乱歩
知りませんでした。
財産家の持て余した金を、貧しい俺が使った方が役に立つんだ、そんな思いが蕗谷にはあったのではないか...
知りませんでした。
財産家の持て余した金を、貧しい俺が使った方が役に立つんだ、そんな思いが蕗谷にはあったのではないかと思っています。
そうなんです。初読の時は、全く知らずに。
でも、そう言われて読めば、納得の作品でした。
罪と罰の...
そうなんです。初読の時は、全く知らずに。
でも、そう言われて読めば、納得の作品でした。
罪と罰の主人公も、全くその通りで、貧しいだけで優秀な自分にお金が必要なんだと犯行に及びます。そして、最後になるまで反省しないのです。
ちょっとした古典も面白いですよね。